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『天使の翼』第6章~吟遊詩人デイテの冒険~

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ようやくたどり着いたレプゴウ男爵の宮都は、峻厳な山々に囲まれた広大な盆地、オアシスであった。そこで出会う男爵とはいかなる人物か?そして衝撃の事実が……
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記事一覧

『天使の翼』第6章(35)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 突然、それはやってきた――  白夜のような薄明かりの中、希望だけは失わずに   寒々と生…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(34)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 照明の落とされた大広間は、シンと静まり返っている。  わたしとシャルルは、照度を抑えた…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(33)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「殿下」  そこへ、マリピエーロ宮内長官が、つと歩み寄った。  「どうやら準備が整ったよ…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(32)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 今回の海図には、わたしもちょっとだけ貢献した――  「だったら名前はどう変える?」  そ…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(31)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「第二に、出発は、男爵にも分からないよう、今夜のうちに出港する」  ……確かにそれが良…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(30)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「デイテ」  「……」  「ここは、やはり、一番正統的な方法で行くのが良さそうだ」  「…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(29)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「第二のオプションは、油断した振りをして、公爵――かどうかは、まだ分からないけれど――、その悪の手下にわざと捕まってしまう手だ」  ……なんとなく予想できたことだけれど、それだけは、絶対嫌だと叫びたい……身の毛もよだつ……  シャルルは、わたしの嫌悪感を察して――  「ごめんね、デイテ。でも、この手には、決定的に有利な点がある」  「……」  「僕たちがスカルラッティ公爵を疑っているのは、あくまで状況証拠の域を出ない。もし違っていたら、3500光年かけてアクィレイアへ行くの

『天使の翼』第6章(28)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「ところで、デイテ――」  シャルルが、改めて真剣な面持ちで語りかけてきた。  「……」…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(27)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、ちょっと熱めのシャワーを全身に浴びながら、今日歌う歌を愛の喜びの歌にすること…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(26)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 シャルルが、苦笑交じりにわたしから離れると、急いで上着を羽織って扉口へと行った。  薄…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(25)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 シャルルが、裸の上半身で、気持ち良さそうにわたしの体を抱いてきた。わたしの首筋に顔をう…

武田敦
1年前
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『天使の翼』第6章(24)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、心の中で叫んでいた――顔は真っ赤になっていたと思う……ついこないだ、遠い昔の…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(23)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 見詰め返すと、彼の瞳は、熱っぽく、くい入るようにわたしの顔を捉えている……それは、女性…

武田敦
1年前

『天使の翼』第6章(22)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「宰相は、あくまで名目上だが、バージニア・クリプトンの後援者代表ということになっている」  「……」  「――そのこと自体は、今度の件に関して、プラスにもマイナスにも働かないけれど……」  ……それはそうだけれど、何か胡散臭い……わたしが色眼鏡で見ているからだろうか……  「……メジャーな音楽業界に係わることで、吟遊詩人に対する異常な執着をカムフラージュしている、ともとれる」  ……表の顔と裏の顔、正規の部下と悪の手下……つい先頃まで、そのようなことに頭を悩ませる必要のなか