かけっこ練習ノート - 考えて筋力UP
7月15日(木)
蝉の声があちこちから聞こえる本格的な夏が来ました。
もうすぐ夏休みですね。
今日は5年生9名、3年生1名、2年生4名が参加してくれました。
さて突然ですが、スポーツをする時に大切な筋肉。
この筋肉はどうやって強くなるかわかりますか?
「食べたとき」
「練習したとき」
「鍛えたとき」
残念ながら、どれもブーー!
これを知らないと、筋肉を効率よく鍛えられません。
それどころか、逆に筋肉を弱らせてしまうことも…。
そこで今日は、知っていればお得な効率のいいトレーニングの考え方ついてみんなと話したいと思います。
筋肉が傷ついた
さて、激しい運動や練習をしたとき、みんなの筋肉はどうなるでしょう?
疲れますね。
疲れるというのは、筋肉のすじに傷がつくということです。
では筋肉の傷は、休息をとるとどうなるでしょう。
次第に傷が修復されて回復していきます。
(このときにタンパク質を始めとした栄養素がとても大切!)
そして完全に回復した後、少しだけ元の筋力よりも強くなります。
でもそのまま休息を続けると、筋力はもとに戻っていきます。
この「①トレーニング→②筋肉が傷つき筋力低下→③筋力が元のレベルに回復→④前より少し強くなる→⑤再び元に戻る」という流れが筋力トレーニングの基礎です。
このサイクルがイメージできているかどうかで、トレーニングの効率は大きく変わってきます。
疲れたままのトレーニング
例えば、②の筋力が低下している期間に同じ筋肉を使ったトレーニングをするとどうなるでしょうか。
筋力が回復する前にさらに傷がつき、筋力はさらに低下します。
これを繰り返すと、練習のパフォーマンスが下がり、試合では結果が出ず、下手をするとけがにつながります。
これをオーバートレーニングと言います。
間をあけすぎたトレーニング
別のパターンとして、⑤の筋力が元に戻った状態から再びトレーニングをするとどうなるでしょう。
トレーニング前の筋力の状態から始まるので、前回のトレーニングが生かされていません。
これでは何度トレーニングをしても筋力は変わりません。
下向きのエスカレーターを上る
休息期間が短すぎたり、逆に休息期間が長すぎるトレーニングは、例えるなら下向きのエスカレーターを上にのぼっているようなものです。
のぼってものぼっても、上にいけないどころか、下手をしたら下がってしまっている。
せっかくがんばってトレーニングしているのに、何かもったいない!
せっかくなら、もっと効率よくやりたくないですか。
いつ練習すればいいのか?
そのためにはどのタイミングで次のトレーニングをするべきでしょうか?
そう、④の筋力が前より少し強くなったときです。
筋力が完全に回復し、その後少しだけ前よりも強くなるタイミングがあります。
これを超回復といいます。
かっこいいですね。スーパーコンペンセーション!
この超回復の期間に再び同じ筋肉を使うトレーニングをすると、前回よりも筋肉が少しだけ高出力を出すことができて、より高負荷なトレーニングができます。
するとまた筋力は低下して、回復し、またまた超回復が訪れます。
そして、この超回復は前回の超回復よりもさらに少しだけ筋力が強くなっています。
このように超回復に合わせて同じ筋肉を鍛えることを繰り返すことで、少しずつ、でも着実に筋力が強くなっていくのです。
階段を着実にのぼっていけるのです。
一番知りたいこと
ここで質問が出ました。
「どうやって超回復になったかがわかるの?」
そうですよね。そこが一番知りたいところ。
でも、実はこれがなかなか難しいのです。
超回復はトレーニング後1日から5日に訪れると言われています。
多くは2~3日と言われていますが、それでもずいぶん幅がありますよね。
これは筋肉によって、回復するスピードが異なるからです。
もう少し具体的に言うと、小さい筋肉は回復が速く、大きい筋肉は回復が遅いのです。
手や足の先など体の末端の筋肉は小さな筋肉が多く、中心に近いと大きい筋肉というイメージがわかりやすいですね。
また、軽い負荷なら筋肉の回復は早く、大きな負荷だと回復は遅いと言われています。
トレーニングによって鍛えられる筋肉や負荷は違いますから、理想的にはトレーニング毎に超回復が訪れる期間を見極める必要があるということです。
難しすぎる答え
いやいや、これは超難しいですよ!
正直、小学生が考えられるレベルではないです。
専門のコーチがついてトレーニング計画を立ててくれないと、なかなか実現は難しい。
では、なぜ今日こんなお話をしたのでしょう?
それは、自分自身で効率のいいトレーニングとは何かを考えてほしいからです。
例え厳密に超回復を狙ってのトレーニングができなくても、このトレーニング理論を知っているか知っていないかで、非効率な、時にはマイナスなトレーニングをすることを避けれるからです。
ポイントは以下の2つ。
① 筋力が回復する前に(同じ筋肉を使う)トレーニングをすると、パフォーマンスは低下する。
② 超回復が終わったあとにトレーニングをしても、筋力は変わらない。
この2つさえしっかり理解していれば、超回復の時期が厳密にはわからなくても、自分自身で十分トレーニング計画を考えられると思います。
練習をしない理由にはならない
ここで大切な注意点です!!
この理論を聞くと、多くの子がまず思うのが
「毎日トレーニングするのは意味ないのか~」
ということだと思います。
でも、この理論をもって練習量を下げる事ばかりに目を向けるのは、まだまだ考えが浅いと思います。
むしろ、工夫することでより効率のいいトレーニングを考えてほしいのです。
例えば、日によって使う筋肉を変えれば、それぞれの筋肉の超回復が交互にくるので、毎日トレーニングをしてもオーバートレーニングになりません。
筋力トレーニングと技術トレーニング
また、筋力と技術は異なるということも要注意です。
今回の理論はあくまでも筋力の話ですが、神経系の練習(フォームや反射神経、タイミング、ラダー練習など)は技術の練習です。
野球やサッカーなどの球技系や陸上競技のトレーニングの多くは筋力と技術の複合練習です。
このような複合練習の場合、技術練習を主眼に置くのであれば毎日でもいいのかもしれません。
逆に筋力を主眼に置いた場合は、2~3日おきがいいと思います。
素振り練習を例にとったとき、目的が技術であるならば毎日でもいいと思いますし、筋力の強化であれば2~3日おきでいい、そんな感じです。
少しずつでも自分で考えられるように
周りの言うことにそのまま従うのではなく、それが自分として納得がいくのか、いかないのであればどうすればよくなるのか、それを自分自身で考えられる力を少しずつでもつけていければいいですね。
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