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リーフの歴史⑫ ~リーフへ~

連載もいよいよ完結。

それまでは大阪南港店のほかに、奈良店、大阪南店と3店舗で運営していたのだけど、家具自体の業績の低下に歯止めがかからず、ホーム事業に取り組むことが経営的にも必然となってきた。そこで、拠点を大阪南港のみに一本化し、シャルドネホームのモデルルームをとしても使えるように店内を大改装。大阪南店と、奈良店は閉店した。

ホーム事業は当初はかって婚礼家具を購入いただいた購入者様、のちに、インテリア雑誌などで広告をみた新規のお客様から年間数棟規模だったが継続的に受注が見込めるようになる。設計段階からかかわり、家具インテリアの提案も行い、室内仕上の仕様を天然木の家具キッチンに合うような自然素材仕上にしていく。本部であった本店は年間着工件数50棟に迫り、工務店としても中堅処になってきた。しかし、経営は山あり谷あり。ここでまた、次の谷がやってきた。

本部が住宅事業に傾注するあまり、本来の家具の開発がおろそかになってくる。また、巷で天然木オイル仕上の家具も我々より低価格で氾濫してくる。そのころから商品開発にぶれが生じ出した。従来踏襲してきた「天然木のオイル仕上で木の良さを伝える」というところから「見た目の豪華さ、派手さ」を訴求するようになってくる。

また、家具インテリア事業というものはいくら良いデザインの商品を作ってもそれを並べているだけでは販売につながらない。見せ方、販売方法、告知、ストーリー作り、様々なブランド構築の仕組みがあって初めて販売につながる。「商品力」だけではなく「店舗力」「集客力」「販売力」のすべてが絡み合ってブランドにつながる。元々、シャルドネが描いてきたストーリーから離れた商品開発は正直言ってあまり共感を得ることができなくなってきた。「従来からの顧客さんに違和感なく選んでいただける商品を」という考えで、このころからリーフオリジナルデザインの家具、キッチンの開発に着手した。

ホーム事業においても、本部が定借方式の分譲マンション事業に進みだした。戸建て注文住宅に比べればはるかに必要資金も大きくなり、リスクも高まる。当社でも何度か検討したが、従来の事業に集中すべしとして、マンション事業には参画しなかった。思えば、このころがターニングポイントだったように思う。本部がマンションや他の事業分野に行くにつれて、本来の「家具、キッチン、住宅」の開発も販売実績も滞ってきた。その行く末に漠然とした不安を感じるようになる。

「やはり天然木、自然素材にこだわり、家具から始める家づくり、家具キッチンを設計段階からトータルコーディネートで考え、お客様の家族、子供たちがすくすくのびのびと暮らせる住環境を造りたい」という想いは日増しに強くなってくる。また、この頃になるとお引渡したホームのお客様の件数も10数棟を超えてきた。定期メンテナンスでお伺いした際に、建物デザイン、インテリアには満足していただいているものの、特に冬季、「リビングに設置した階段から冷気が下りてくる」というお声を何軒かいただくようになる。

たまたまそのころ、ホーム事業でお世話になっていた設計士さんに誘われて、2月の厳寒期、大阪府北部の箕面までパッシブ住宅の設計の第一人者、松尾設計室さんの手掛けた住宅の完成見学会に赴いた。2月というのに室内に入れば優しい暖かさに包まれる。床暖房をしているわけでもなく、機械暖房はエアコン1台だけということだった。このころから家の性能、「高気密」や「高断熱」またそれを数値で客観的に示すことの大切さを痛感するようになった。

様々な出来事が起こった2015年から2016年にかけて、自分は次の決断をする。シャルドネが追求しようとしていた天然木の家具キッチン、自然素材住宅での「家具から始める家づくり」を「リーフ」ブランドで再構築する事。
従来、取り組んできたホーム事業に「数値で証明できる高性能」を付加する事。そのための方法として2016年8月にホームページを大幅にリニューアル。「リーフ」の名前を前面に出し、「家具から始める家づくり」を謳い、当社オリジナルの家具キッチンも掲載するようにした。

また2016年から手掛けた2棟のホームの仕様は、従来のシャルドネホームの内装をできるだけ維持しながら、「高気密高断熱施工」に取り組み、はじめてUa値計算やC値の実測を行った。しかしながら、弊社単独での「高気密高断熱施工」はノウハウもさることながら、材料の仕入れなどコスト面での制約が多かった。なにか、そのノウハウを得れるところはないかといろいろ探し求めていたところに巡り合ったのがR+houseという高性能のデザイン住宅を造るネットワークだった。

これにいままでシャルドネホームで培ってきた自然素材のインテリアと天然木の家具キッチンを備えれば自分が求めていた理想の空間をお客様に提供できるようなる。そう考え、加入を決意。2018年の夏から研修をスタートし、10月からは事業のスタートを計った。

時はちょうどそのR+houseの加入を決めて研修がスタートしだしたこの8月31日。シャルドネの岐阜本店の代表から電話が鳴る。今日を持って岐阜本店と直営店であった名古屋店の営業を終了する、という内容だった。衝撃を受けつつも、心の奥底では予想もしていた事態だった。一番大切な対応、すなわち、17年前の開業から現在に至るまでの家具キッチン、住宅のオーナー様に迷惑が掛からないようにするため、シャルドネの家具や建材を取り扱っていたメーカーへの連絡をとる。家具や住宅はお客様が使い始めてからがスタート。長い年月使っている間にパーツの交換が必要になったり、同じデザインで追加の家具が必要になったりした際に安定して商品供給できる体制を作った。

ようやく落ち着いた10月、岐阜のシャルドネを運営していた会社の破産が決定する。会社は存続せねばならない。ここに集まってくれている従業員を守るため。そして20年近く私たちを支えて下さっているお客様を守るためだ。私のなかでは「シャルドネ」の名前は永遠に不滅だ。家具から始める家づくりの進める「リーフ」の取り扱いブランドの一つとしてこれからも「シャルドネ」と「シャルドネホーム」の商品供給、メンテナンスなどのアフターフォローを継続していく。

高校生のころ、大学への進路を決めるときに考えていた「建築と家具の関係」色々な経験を経て今それが実際に仕事としてできている自分は大変な幸せ者だと思う。家具屋の3代目として生まれ、今までに体験してきた全ての事が無駄になっていないと思う。しかし、自分一人では何もできなかったとも考える。いくつもあった転機でいろいろな人と出会い、支えられ、示唆をいただき、気づきを与えられた。

自分が、この会社をこれからも経営していくうえで持っているビジョン

家はそこに住む家族にとって安心して帰れる場所。その場所が居心地よく、家族みんなが健康に暮らせ、感性も育まれることで幸せな家庭が生まれる。幸せな家庭が広がれば、幸せな地域が、職場が、社会が広がる。そして幸せな世界広がる。

私たちはそのために天然木や自然素材の良さを住空間に取り入れ、家具から始める家づくりを提唱していく。また、将来的にはお客様それぞれのライフステージの変化に合わせその都度その都度出てくる「住」に関する様々な問題に対応するため住まいのワンストップサービスを提供していく。

天然木のオーダー家具キッチンを扱うインテリアショップ
LEAF FURNITURE  & KICHEN

高性能な自然素材住宅を扱う一級建築士事務所
LEAF ARCHITECTURE

中古マンションの仲介リノベーションを扱う専門店
Re:LEAF

1級建築士事務所、建設業、不動産業の資格を持つインテリアショップの我々だからこそできるこの業態。これを実現していくことがこれからのテーマだ。

過去を振り返ることでこれからの進むべき道が明確になる。一緒に働いてくれているスタッフの皆と今まで支えて下さっているお客様、そしていくつもあったターニングポイントで手助けをしていただいた沢山の方々に対し、感謝の気持ちを忘れずに、目標の実現に向かって進みたいと思う。


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