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CtoCサービスの法務のこと

はじめに

テクノロジーによって情報の流通がスムーズになり、「シェア」の価値観も広く浸透しつつある。
メルカリなどに代表される「CtoC(個人間取引)サービス」を日常的に利用している人も多いだろう。

CtoCサービスは、ユーザー間の取引の「場」を提供するサービス。
クラウドファンディングサービス「Readyfor」もCtoCサービスに入るので、実感をもって感じるが、「場」のルールはとても重要である。

「場」のルールの持つ意味

CtoCサービスは、ユーザー間の取引の「場」であるが、ユーザー間で厳密に契約交渉を行うことは想定されていない(逐一契約交渉が必要となれば、ユーザー体験は損なわれてしまうだろう)。

では、どのようにユーザー間の契約条件(ユーザーの負担する債務の内容やキャンセル条件など)が決定されるかといえば、基本的には、サービスの利用規約やサイト上に表示された内容にしたがって決定されることになる。

そうであるからこそ、サービス提供者としては、あらかじめ、適切な「場」のルールを設定しておくとともに、ユーザーに対しても、利用に際して必要十分な表示を行うように案内する必要がある。
また、ユーザ―間の契約条件については、ユーザーが適切な形で参照できるように配慮することも必要となる。
これらの対応が不十分であると、ユーザー間で無用な紛争を招き、ユーザーが不測の不利益を被ることにもなりかねない。

また、サービスの認知度が高まるほど、サービスの悪用防止という観点から適切にルール設計をする必要性が高まる。
例えば、他のユーザーを欺こうとする悪意あるユーザーを排除できる態勢を整えなければいけない。
また、以前、フリマアプリで現金が売買されていたことが話題になったこともあったが、サービスが抜け穴として利用されることも避けなければならない。

ルール設計の難しさ

ルール設計において悩ましいのは、単に厳しいルールを設計すればよいというわけではないことだ。

いうまでもなく、サービスの「安心・安全」は大切だ。
ユーザーが不測の不利益を被ることは避けなければならない。
大きな不祥事が起これば、行政・立法が規制措置を講じざるを得なくなり、結果としてサービスの未来が閉ざされてしまう可能性すらある。

他方、過剰なルールを課せば、ユーザーにとっての利便性が損なわれる可能性もあるし、サービスをスケーラブルなものにすることも難しい。
過剰なルールによってサービスの運営に支障が生じれば元も子もない。

一義的な答もなく、ルール設計は難しいが、それだけにやりがいがある。

法務のみで完結しないおもしろさ

適法・違法という線引きはルール設計上のひとつの考慮要素にすぎず、現場の知見(リスク感覚など)こそが重要な意味を持つことも少なくない。

また、ルールは設計して終わりではなく、現場の担当者と協議しながらオペレーションに落とし込まなければならない場合も多い。
その際、オペレーションの負担が重くなりすぎないように、プロダクトマネージャーやエンジニアもいれて、テクノロジーの力を活用できないかを議論することもあるだろう。

さらに、問題の解決手段は、そもそも、ルール設計に限定されるものですらない。
UI(ユーザーインタ―フェース)の設計を工夫することで解決できる問題もあるだろうし(「アーキテクチャ」による規制)、その方が実効性を確保できる場合も多い。

このように、ルール設計・問題解決は法務だけでは完結しない。
現場の担当者、プロダクトマネージャー、エンジニアなどと一緒に、それぞれの知見を持ち合いながら、課題解決のために議論することは、純粋に勉強になるし、おもしろい。

さいごに

適切なルールの設計は、サービスの「安心・安全」を実現し、その信頼性を高めるもの。

「このサービスを社会に実装することが世の中を前進させる」と信じられるなら、法務担当者としては、自身の仕事に大きなやりがいを感じられると思う。

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