七月九日・十日・十一日@ウィーン

七月九日

論文の改稿作業を徐々に進めているのだが、思っているような感じに仕上がらなくて焦る。土曜日だが作業しようと思うが、前日にそこそこ頑張ったのでやる気が出ない。もう少しだから終わらせて自由になりたいのに。

頭の中では論文直さなきゃと思いつつ、身体は休みを欲しているので結局作業しない。他にしたくないことがある時に限ってマイクラの建築案とか改築案が湧いてきてやめられなくなる。そしてしばらく中断していたどうぶつの森(スマホでできるやつ)を再開して果物を集めたり、オンライン麻雀で時間を潰す。それも難しい作業じゃないけど電子機器の前に座っているので、休みになっているのかわからない。かぎ編みでもすればよかった。

昼は写真を撮ろうと思って近くの市場を見に行くが、十二時前ですでにピークを過ぎており、ぼちぼち帰り始めている模様。マーケットらしい様子がとりたければ早く行かなければならない。先週スマホで撮ったのはこんな感じ。こういうマーケットに徒歩一分のところに住んでいるだけでラッキー。

写真を撮りに行ったついでにSparで買い物をしていると、知らないおばさんが私のところにやってきて、私が手に持っていたBIOの卵とレーズンに25%の割引ステッカーみたいなのを貼ってくれた。おそらく割引期限がもうすぐで使い切れないから誰か見つけてはステッカーを貼っていたのだと思うが、こんなあからさまな外国人の私にも声をかけてステッカーをくれる(というか勝手に貼られただけだが)なんて、すごくありがたいなと思った。知らず知らずに外国人だからという気持ちが自分の物事判断の素地に出来上がってきて、何か悪いことがあっても割り引いて考えるようになっていたのだが、こういういいことがあると外国人だからって考えてるのは本当は自分で卑屈になっているだけなのかもしれないと思ったりする。

夕方は明日のパンを仕込んだり、少し論文の関連文献を読んだりするが、特に休んだとも働いたともない感じで一日が終わる。先週の参議院選挙投票からもう一週間経ったのかと思うとゾッとする。

七月十日

明日先生がバケーションから帰ってくるので、流石にもう改稿を終わらせなければならないと思うとプレッシャーを感じる。昨日仕込んだパンを焼く。最近はストレスを軽減させるために三日に一回ぐらいパンを焼いている(もちろん忙しい時はやらないのだが)。今回は初めて具入りにして、くるみとレーズンを入れた。

まだパンも焼き始めたばかりで勉強中という感じだが、ものすごく出来が悪いものはできたことないので、それなりに向いてるのではと思ったりする。私の作り方は、長時間発酵させてこねないというやつなので、こねる技術もいらないし、時間さえあれば誰でもできるから楽である。こうやって一からパンを作ると、巷のパンは高いなぁと改めて思ったりする。昔好んで買っていたJoseph Brotなんか、定番の小麦粉700gぐらい使用した大きめのパンを買ったら、一つ八ユーロぐらいすると思う。自分で作ったら一ユーロもしない。もちろん自分のパンとプロのパンは比べ物にならないが、意外とそんなに変わらなかったりする(褒め過ぎか?)。

パンを焼いた後は大学に言って改稿作業を進める。ひたすら黙々とやって終わらないことに気づいて絶望する。絶望していたら、一ヶ月ぐらい前に「一緒に私のポスドクのフェローシップの申請書を書いてくれませんか」とお願いした先生からメールが返ってくる。正直、個人的な繋がりがない人だし、完全に無視されているのかなと思った。まぁ、よくあることと聞くし、そんなもんかと思ってあんまり期待もしていなくて忘れようと思っていたが、単純にお忙しいようであった。詳しくは書けないがまた六ヶ月後ぐらいに話し合うことにして、いったん保留。別に気にしていないつもりだったがなんだか心の奥でほっとして気持ちがあがる。

夜は家に帰って早めに寝て、朝早く起きようと思う。

七月十一日

朝早く起きようと思って五時半ぐらいに一回起きたが、二度寝したので結局七時半ぐらいに起きる。色々やばいやばいと思っていたので、大学に行かずに家でそのままひたすら書き続け、これはもうどうにもならんと思ったので、自分のイメージしていた50%ぐらいの出来でなかば強引に提出して自分を解放してあげる。

そもそも自分の50%って、先生からしたら80%かもしれないし、はたまた20%かもしれないので、どれくらいできたかという質的な感覚より時間を区切って早く出した方がいいのはわかっている。わかっているし、昔と比べたらだいぶできるようになってきたと思うが、たまに負のスパイラルに入って永遠に考え始めて手が進まなかったり、どうしても納得できなくて自分の手にずっと置いてしまうことがある。今回はまさにそんな感じで、客観的にいうとなんだか自分にかわいそうなことをしたなぁと思うが、やめるかやめないかを決めるのは自分でもあるので、自業自得である。

流石に午後一番にはもう提出して、本当にすいませんというようなメールを認めてファイルを添付して送信して後は振り返らない。家のそこそこ近くにたくみラーメン(麺処 匠-TAKUMI-)があって、この前デュッセルドルフに行った時にいけなかったので、今日はストレス発散も兼ねて食べに行く。唐揚げの醤油ラーメンを食べておいしかった。ついでに餃子もつけた。

日本のラーメンよりは劣ると思われているかもしれないが、ヨーロッパの都会にいるとそれなりに日本のクオリティを再現している日本食に会えるので、そんなに悪くない。もちろん日本よりおいしいと言っているわけではないが、びっくりするほど悪い日本食ばかりではないのである(とはいえ一度オランダの田舎でラーメンを食べた時は、みそ汁に麺が入ったようなものがでてきて、これはラーメンではないと思ったことがある。味は美味しかったので、ラーメンではないがむしろヘルシーな麺料理と思えば受け入れられる)。

午後は締め切りを延ばしてもらった査読をやろうと思ったがなんだか全然やる気が出なくてアブストラクトだけ読んで終わる。そんなに長くなさそうでよかったと思う。しかしなんだかここ三ヶ月ぐらい慢性的に疲れている感じがあって、一ヶ月ぐらい休みが欲しいのが正直なところである(そんな贅沢を言っている場合ではないのだが)。