心理カウンセリングを受けた話

今日は初めて学校にある心理カウンセリングを受けに行きました。私の大学では無料でカウンセリングが受けれるサービスがあり、それに申し込みました。ただ設備がそこまで整ってないのかカウンセラー不足で、予約してからだいたい三週間ぐらい待ちました。

日本のカウンセリングと違うと思いますが、せっかくなので記憶が新しいうちに記録しておこうと思います。

朝から部屋の前に一分ぐらい前に着くと、カウンセリング室の横のトイレから、物腰の柔らかそうなおじさんが出てきて、もう少し待ってねと言われました。そこから待たされること7分。

別に待つのは構わないし怒ってもないのですが、私は学部の学位が教育学(心理学専攻)で、その際に今専門の実験心理学と同じぐらい臨床心理学を学んだので、その時の実習のことを思い出したりしていました。臨床のとある実習では、当時の大学院生が学部生に「カウンセリングは枠(主に時間の)がとても大切です。なので、この実習もそれにならって、五分以上遅刻した場合は授業に参加できません」みたいなことを言われた記憶があります。

実習だったので、参加できないとレポートが書けない(こともないが大変になる)ため、ほぼ参加必須だったのですが、このルールは厳しく、五分一秒でも遅れたら入れてもらえないような緊張した空気でした。しかしお国柄でしょうが、余裕でカウンセリングの枠を破ってくるなぁとしみじみ考えていました(終わる時間はきっちりだったけど…)。まぁこれは関係のない話。

カウンセラーの方はハンガリー人で、挨拶して握手した後、部屋に案内してもらうと、お互い向かい合う形ではなく、外が見える窓があって、同じ方向に斜めに椅子を向けて座り、ちょっと体を傾けてお話するような感じでした。

先ほど言ったように、多少臨床心理学の実習などを受けていたものですがら、なんとなく自己紹介をしてから家族歴など聞かれるのかなど予想していましたが、とりあえず最初は自分の話したいことを適当に話して良いような感じでした。あまりにもオープンすぎて、何を話せばいいのかわからないから、何を話せばいいのかいいのか(what topics should I talk - what should I talk?)を聞いたら、shouldは気にしなくてよろしいみたいなことを言われて、あぁカウンセラーっぽいなぁとなんだか変に客観的に見ていました。

まず自分のやってることなどを話して、そこから最近の問題(モチベーションの低さ、集中力の低下、SNSへの依存)などを話しているうちに、週末は何をしているのか、仕事の日は何をしているかなど聞かれます。そのうち予想していた家族のこととか、恋人のこととか、友達のこととか、人間関係について聞かれます。日々の過ごし方については問題なく答えることができて、家族と恋人のことは多少防衛的?というかなんだかあまりうまく答えることができなかったので、もしかしたらここが私の気になる点なのかと自己分析などをしていました。

西洋的だからなのか、たまたまこのカウンセラーがそうなのか、もらったアドバイスは実用的なものばかりでした。私が大学の時に習っていたのは臨床心理学でも特に変わったユング派の先生が多かったので、カウンセラーの方から具体的な生活の知恵みたいなのをもらえるとは思っていなかったけど、教えてくれたことは、これまでに友達からもらったアドバイスや、ネットに書いてあるような情報でした。が、それが有益ではないというわけでなく、カウンセラーの方から見た私の印象を教えてもらえることで、知っていた知識もなるほどなぁとさらに思える部分がありました(全てにではないですが)。

1. 運動しなさすぎ

これは自分でもわかっていたけど、とにかく運動が足りてないということでした。まぁ、最近は特に寒くなってから朝も走らなくなったし、バスで大学に行くようになったので特にそう。ということは頭ではずーーーーっと何ヶ月もわかっていたけど、結局実行せずにそのまま。しかも気が向いたら走る程度ではなくて毎日か最悪二日に一度ぐらい続ける程度をやってみたら良いということ。

運動したら身体が気持ちいいのはわかっているけど、お風呂とか歯磨きと一緒で、やる前までの気だるさが非常に強く、結局走らなくても生きていけるので走らないという選択をし続けた結果、今に至るという感じです。運動しろと言われたのは初めてでもないし、自分でもわかっていたけど、改めてカウンセラーの方から言われると、それなりに深刻なのかもしれないと思い始めました。

2. 自分のための時間がなさすぎ

私の行動を聞く限り、朝から大学に行って、週末も大学に行って、ずーっと研究とかネットを見続けたりとか、とにかく何かをしているということ。ただ何もせず(多分視覚情報や聴覚情報を入れすぎずということかな)、コーヒーや紅茶を飲んだり、ヨガや瞑想なんかをして、自分のためにゆっくり使ってる時間がなさすぎるらしい。カウンセラーの方曰く、こういったスケジュールは博士学生の鬱々とした気分の初期段階に起こりがちで、これが放っておいて長引くとバーンアウトになって、研究それ自体が面白くないと思い始め、感情が無になっていくということ。

ということで私の場合は、とにかくゆっくり何か自分のための時間をスケジュールの中に組み込みなさいということでした。朝コーヒーを入れる時もきっと丁寧にそれに向き合って時間を作ったり(コーヒー自体は毎日入れてるけど、もはや作業と化しているので)、ヨガや瞑想(マインドフルネス)などを取り入れたりなどはいかがかという提案でした。

3. 優先順位のつけ方を変える

これが一番面白いというか新しい発見だったのですが、カウンセラーの方から、

「もし緊急の用件とあなたにとって大切な用件、両方があればどちらから取り組みますか?」

という質問をされました。私は、

「緊急の用件からですかね?」

と答えると、あなたもそのタイプねと言わんばかりの穏やかな笑みを浮かべて、その優先順位のつけ方を、もしかしたら変えてみたらいいのかもしれないということ。

研究者に限らないと思いますが、一般的にやることが多くある人は、仕事に優先順位をつけていて、だいたい多くの人が「緊急なもの」から取り組み初めて、大切だけど緊急じゃないものは後回しにしがちとのこと。カウンセラーの方に提案された優先順位のつけ方は、

1. 大切でかつ緊急なもの
2. 大切なもの
3. 緊急なもの
4. ゴミ(その他やらなくてもいいことはやらない)

という風に考えてみてはどうだということでした。例えば、私だったら、緊急なものとかは、授業の前に読まないと論文とか準備しないと資料のことなんだけど、授業は研究の素地にはなりうるけれど、それ自体は大切なものではない(単位が取れる程度に適当にやればいい)。

それを振り返って確かになぁと思ったのは、授業があると「あぁ授業のものから読まなきゃ、読んでから実験のスクリプト書こうとか、研究のための論文を読もう」と言って後回しにするうちに、ほぼ全ての時間を授業に使ってしまい、特にここのところ最近先生とミーティングするたびに「一週間あったのにほぼ何もしていない、毎日大学に来ているのになんでだ!?」という状況になっていたのだと思います(もちろん一因は絶対SNSなんだけど、それだけではなかったよう)。

4. 時間管理を意識的にする

これは、修士の時にはやっていたことで特に新しくなかったのですが、カウンセラーの方が見る限り、今の私の生活に型(structure)が出来上がっていなくて、運動の時間、自分の時間、研究の時間(研究の時間は、数時間単位に何をするか決めること:「研究する」とかはダメ)を全部あらかた決めて見るといいのではということ。

とにかくタスク管理とか時間管理が苦手で、それでも修士の時はやることがたくさんありすぎて、なんとか無理矢理でも終わらせないと単位が取れないという(多分そんな恐れなくてもよかったのに)謎の恐怖感に襲われて下記のページを参考にGoogle Keepでタスク管理してました(修論提出までの半年ほど)。

この時は別に自分はADHDでもないと思ってたけど、この記事を改めてみたらADHDって書いてあり、その症状など見ると、複数の項目が今の私に当てはまってもしや自分ってADHDなのかと疑い始める今日この頃。下記の記事を読んで自分と近いなぁと思う(診断されてないからわからないけど)。

という感じのアドバイスを受けた後、理解できてるかどれくらい納得できているかなどをゆっくり考えて、また三週間後に会いますか?と言われました。

一回きりで終わりなのかなぁと思ったのですが、是非ともとお願いして次は三月に再び来ることに。

カウンセリング中は正直上に書いてあるようなアドバイス、どこかで聞いたことがあるものが多かったので、「まぁ別に来なくてもよかったかなぁ」と思ったのですが、よくよくゆっくり考えてみると、これらが本当に私には今必要なのだろうなということがもっと危機迫って感じられたし(無理矢理時間を作ってでもやらねばという感覚がある)、三週間後に会うということで、その間カウンセラーの方にある種スーパーバイズされているような形があって、より真剣に向き合おうと思ったという点では、一人で勝手に分析してどうにかしようとしていたのとは違うなと思いました。

もっと対処のしやすそうなSNS依存の辞め方とか、リアルの人間関係を充実させろとか言われるのかと思いましたが(多少は言われましたけど)、とりあえず生活習慣があまりよろしくない印象を持たれたようです。多分そのあとに人間関係については取り組めたらいいのかな。

つらつらと書きましたが、早めの段階で行っておいてよかったなぁと思います。いや、正直別に早くはないと思いますが、もっと明からさまな鬱の状態(無気力など)まで達する前に行けてよかったかなと思います。そして学部の同僚たちが皆ヨガだったりジムに行ってる理由も、単純にシェイプアップではなくて心のメンテナンスも含んでいるんだろうなと改めて実感しました。というか、わかっていたけど、あまりそこにリスペクトがなかったというか。

思い立ったらすぐしてしまう衝動性がいいのか悪いのか、早速朝一で明日からジムに通おうと思います。予約してしまうと嫌でも行くことになるので、とりあえず何も考えずに予約しました。日本と比べるとジム代もすごくリーズナブルで、あと多分年齢層問わず体を鍛えるのが一般的なのか色んな層に向けての10種類以上の運動(水泳、走る、ヨガ、ピラティスとか様々)が毎日行われているので、飽きずに通えたらいいなと思いつつ、これで少しずつ研究に集中できれば良いなぁと思っています。

まあ、正直今更気づいてももう遅いかもしれませんし、すでに致命的なほど遅れていて、通常より一年以上長くかかって卒業ということになってしまうのかもしれませんが、その時はその時でしょう。なんだか、仕事にのめり込んでいると人生での大切なことを忘れがちになってしまって、不安になりますね。

こんな仕事いつでも辞めてやるという、この気持ちでまったり頑張りたいものです。これしかないって思うとろくなことにならないから。