九月十九日・二十日@ウィーン

九月十九日

今日は久しぶりにネットの人とボドゲをすることになっていたので、朝ゆったり過ごしてから大学に行く。いつも通りちょっと遅れる(ごめんなさい)。

学部のボドゲ好きの人が面白いと言っていた「ウイングスパン」というゲームがあって、常々やりたいと思っていたのだがなかなか機会がなく、今回その機会があったのでまずルールなどを聞く。めちゃくちゃ複雑というわけではないけどそれなりに色んなアクションがあるので難しそうである。グラフィックがとても綺麗で、鳥好きの私としては眺めているだけで楽しい。

ルールを説明してもらって早速やろうと思ったが、Tabletop Simulatorのデータが重すぎて接続できない人がいたのと私の時間もあまりなかったので、結局いつもやっているカルカソンヌをやることにする。カルカソンヌはすごくシンプルなゲームだけどまだ全然下手くそである。

夜、かねがね自分で分散系SNSのサーバーを建ててみたいと思い、夏休みの宿題(楽しみ)としてやろうと思っていたが、なんだかんだ忙しい&億劫で手を出していなかったのを、思い立ってやってみる。SNSのサーバーを建てるのはイメージで言うと自分でTwitterみたいな場所を作るということだが、そもそも何の仕組みも知らないのでこれはなかなかハードルが高かった。

しかし世の中には色々なチュートリアルが転がっており、親切な説明を読みながら進め、つまづいたところがあったら自分のアカウントがあるSNSで投稿をして助けを求め、日本時間の超深夜にも関わらず総勢で十人ぐらいの人があれやこれや助けてくれてなんとか自分のサーバーを建てることができた。

私はITエンジニアでもないしコンピュータのことは何も知らないのだが、それでも自分でちょっと技術的なところを勉強して実践してみると言うのは純粋に楽しいと感じた。それ以上に、インターネット上の私と利害関係のない人々が(と言うとちょっと味気ないが)、こんなにも助けてくれたと言うことに感動した。私自身は何もないけれど、もしかしたら私の周りの人と協力すればすごいことができるかもしれないと思った(言葉にしてしまうと陳腐だが、自分での発見としては新鮮)。

まぁ、おそらく教えてくれた人たちも単純に私を助けたいという気持ちだけではなく、誰かにサーバーを建てさせるのが好きとかそういう興味や関心がないとは言い切れないのだが(オタクはよくわからない)、しかし本当に感謝してもし切れない夜であった。

九月二十日

今日は次の引越し先の大家さんと会って今月半分の家賃を支払い(とはいえまだ今のアパートメントにいるのだが)鍵をもらう予定だ。十時に行く予定だったが十時半にきてと言われて、既に出発していたので最寄駅のカフェで時間をつぶす。特に目新しいカフェではなかったが何となく居心地がよくて、ここに通いたいなと思う(後から調べるとカフェという名前がついているがどちらかというとバーのようだ。日曜日だけ午前中から開けているがそれ以外は夜のみ)。

家に行ってみたら大家さんとその従姉妹が朝ごはんを食べていて、私もコーヒーを出してもらってゆっくり談笑する。何だかとても優しい大家さんだし、家の内装はすごい好みだし、新しい生活がとても楽しみだ。

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本格的に住むのは十月からなので、今日はWiFiのセットアップと荷物を置くだけにする。行きはトラムできたが、帰りはブラブラ街を歩きながらアパートにたどり着く。

何だかよくわからないが住めば住むほど居心地がいいウィーン。少し困惑している。というのもこの土地に何も期待していなかったからである。今まで住んだヨーロッパの都市はイギリスのヨークとハンガリーのブダペストだけだが、前者は初めての海外生活という高揚があり、後者は憧れの東欧(しかもハンガリー)だったから期待もあり実際にいい経験ばっかりだった。一方ウィーンはそもそも自分の意思で引っ越すわけではないし、今まで何度も旅行で行った限りでは、裕福で美しいけれど特に面白くない街という印象だった(悪い意味ではなくて、もう発達しきっているから特に伸び代がないというか)。

まだ住み始めて一ヶ月だし、特別いいことがあったわけでもないのだが(むしろ最初に契約した大家さんとトラブルさえあったほどだが)、意外と住んでみると日常生活にお金はかからないし(交際費(外食・芸術鑑賞)などは何かにつけて高いがそもそもコロナのせいもあってどこにも行かない)、緑が多くて空気は綺麗だし、何だか存在しているだけで心地良い場所である。

コロナのこともあってここで社会生活などないに等しいのだが、ただ存在しているだけで心地の良い居場所ってそんなになかなかない気がする。私はハンガリーが特別好きだと思っていたし、もちろん今でも帰りたいと思うのだが、しかし長く住むのならもしかしたらウィーン(オーストリア)みたいなところが合っているのかもしれない。しかし考えれば考えるほどブダペストとどこが決定的に違うのかはよくわからない(もちろん違うところはたくさんあるけれど)。

こんな感じでやはりサーバーを建てることもウィーンへ引っ越すことも、やってみて初めて感じることがあるので、予め人生プランを建てるのは楽しむ程度に妄想するのはよくても、真剣に考えることじゃないなと思い始めた。年齢のせいか、博士終わりかけのせいか、そろそろ自分の生き方を収束させるような方向に考えていたのだが(まずどこかに定住すること、何かしらの人間関係の基盤を作ること、そして当面の仕事)、まぁ結局なるようにしかならない。

最近ちょっと自分らしくなかったというか、そろそろ日本に帰ろうかな、とか、この人とはこういう付き合い方をしようかな、とか、やたら安定した将来に繋げようと打算的な考えに走っていた気がするが、そんなの全部捨ててしまいたい。もちろん自分の人生を適当に考えるのではないし、他人の人生も適当に扱いたくないのだが、しかしもっと自分の直感にそって生きていきたいものだ。

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オーストリアで博士学生をやってます。専門は認知科学(認知心理学)。将来の夢は雑貨を売る科学者です。https://atsukotominaga.com/

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  • 13本

ブタペスト・ウィーン滞在中の暮らしについて書いています。2020年9月〜現在:博士課程4年生

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