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それは赤道付近で…(by理科系夫)

「桃を買ってきた」
と、理科系夫。

ああ、もう桃の時期になったんだ。
暑いけど季節はちゃんと進んでいる。
ーーー

あつこ「デザートに食べたら美味しそう」

理科系夫「1個400円だった」

あつこ「えっ。…高いね」

理科系夫「2個セットで800円と
600円のものがあって、
迷ったんだけど」

あつこ「うん」

理科系夫「桃1個あたりにすれば、
400円と300円で100円の違いだし」

あつこ「……」

理科系夫「1人分にすれば50円の違いだから
おいしいほうがいいと思って」

あつこ「なんだか保険の勧誘みたいだね。
一日あたりいくらみたいな」

理科系夫「…まったく違うけど」

ーーーー
そしてお夕飯準備。

理科系夫「デザートも作っておこう」

取り出した桃を眺めて。

ささっと水で洗った

理科系夫「ポイントは赤道」

あつこ「はぁ?」

理科系夫「桃を地球と見立ててみると」


切る場所を探している

理科系夫「赤道はこのあたり」


赤道を切っている

ナイフを、ぐるりと1周させて。

理科系夫「さて、ここから。
桃を手にとり、両手をそれぞれ逆方向にひねる」

あつこ「なんだかプロっぽいね」

理科系夫「何かでこの方法を見て、
一度やってみたかった」


そっと

桃がつぶれたら大変だからそおっと。


種が

あつこ「種が見えてきました」


あつこ「2つに分かれた」

理科系夫「そりゃあね」

美しく半分に

理科系夫「さて、この種の付いた方をどうするか」

種のある方


理科系夫「せっかくここまで
きれいに出来てるから」

皆さんならどうやって種を取りますか?

ーーー

ちょっと考えて、出してきたのがこちら。

キッチンバサミです。
我が家のキッチンバサミはヘンケル。
そのとっての部分のギザギザを使いました。
本来の使い方は、ふたを開ける、ですが。


種をはさんだまま


ゆっくりと回転させて

すぼっ。
なんていう音はしなかったけれど。

まるでそんな音がしたみたいに。
あざやかに種が取れました。

タネも仕掛けもありません
種、あるか

あつこ「おおー」

ーーーー

理科系夫「皮をむいて」

するするする


一丁あがり
あ、まだ半分

もう片方も皮をむいて
食べやすく切りました。


ジューシー

理科系夫「裏返すとどんな感じかな」

こんな感じです

ーーーー
冷蔵庫で冷やして
食後にいただきました。

あつこ「うーん、季節の味わい。
爽やかな甘さが口の中にいっぱい」

理科系夫「こうやって食べると良いでしょ」

あつこ「資生堂パーラーか、千疋屋かっていう感じね。
すごいね。ありがとう!」

理科系夫がうすく笑っています。
ほめられたのが、嬉しいのです。

わかりにくいけどわかりやすい。
それが理科系夫。

ーーーー

あつこ「ところで、
なんでこの赤道から切る
切り方をしようと思ったの」

理科系夫「いつもの方法だと
皮を剥いて
その場で切り分けて行くよね」

あつこ「うん」

理科系夫「そうすると大きい切れ端があったり、小さいものがあったり」

あつこ「確かにね。さっさと切り分けていくから、大きさに配慮なんかできない。」

理科系夫「ちょっと甘くない部分があったり」

あつこ(まあ、そうだけど)

理科系夫「種子の周りに実がくっついてしまっていて、しゃぶるしかない」

あつこ「それは私がよくやっていますが」

理科系夫「そのあたりを平等にしようと思った
赤道があるならば、
南極方向も北極方向も
平等に分けることができるように」

ーーー

理科系夫「きれいに等分できれば、
美味しい所も
あまり甘くないところも平等に食べられる。
種の周りも無駄にならない」

あつこ「……。 なんだかそれ」

あつこ、思い当たる。

あつこ「それって、
わたしが果物の分け方で
いつも文句を言っているみたいに聞こえる」

理科系夫「そうだよ」
(さらりと、言い放つ)

理科系夫「今日の分け方なら、あつこから文句は出ない」

あつこ(ぐぬぬぬ)

ちょっと悔しい。

あつこ「じゃぁ、これから桃は
このむき方でお願いします」

理科系夫「時間のある時は、そうしよう」

なんだかうまくやられた気もするけれど。

わざわざ考えてくれたんだよね。

ーーー

こうやって
定年夫婦、2人きりの
夕食後くつろぎタイムは過ぎていきます。

桃を美味しく切るポイントは
●赤道付近で切り目を入れる
●種をキッチンバサミで美しく取る
●食べる直前まで冷やす(冷やしすぎない)

です。

味がずいぶん変わります。
オススメです。

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