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【蒔絵講習の記録】第一回。置目(おきめ)。

はい、第一回目に行うのは”置目”です。
置目、Weblio辞書によると、以下のように出ます。

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今回、蒔絵を施すのは漆の塗られた練習用のパネルです。(こういうものが、あるのですね)
そこに下絵を写していくのですが、以下のような手順で行います。

  ①図案に和紙(裏面)を重ね、薄墨でなぞる。
  ②和紙(表面)に、墨の線を透かしながら、図案を焼き漆で描く。
  ③焼き漆で描いた面をパネルに当て、上から刷毛で押さえて転写する。

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①、の、図案を薄墨でなぞっておくことが、前回出された宿題でした。

墨で線を描く、という細い面相筆の仕事は日本画生的にはお手の物。のはずが、かれこれ15年絵筆を握っていないわたしの手は、すっかり線を描くという運動を忘れ、神経も、筋肉も消えていました…。
よって描かれた線は、悲しいかな、ふにゃふにゃのヨレヨレ。それでも「上出来ー!」と褒めてくれる、優しい朋子先生に救われます。

②、①で描いた墨の線を写す、置目にかかります。
置目には、”焼き漆”を使います。
焼き漆は、言葉のままで、漆を「焼く」のですが、焼くことで漆が乾きにくくなり、ピタッと貼りつけて図案をパネルに写すことができます。量感もあるので、同じ図柄を量産する際もいくつも同じ図案を転写することが可能になるそうです。

<焼き漆の作り方>
精製漆に弁柄を適量混ぜて、練り練りし、スプーンに載せて、スプーンの下からライターで炙ります。全体がぶくぶく泡立つ寸前、なんとなく匂いが立ってきたら終了、焼き漆のできあがりです。

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↑ちょっと焼きすぎた


焼き漆ができたところで、早速、置目の作業に入りたいところですが、その前に、新品の蒔絵筆の”筆おろし”をしないとなりません。

前回noteに書きましたが、大切な大切な蒔絵筆です。丁重に扱っていきます。

<How to 筆おろし>
蒔絵筆は、まず、長さの調整をします。
なんと、筆先が取れて長さを調整できるようになっているのです。ここでまず驚き!

(↓ 筆については、以下のページがとてもわかりやすいかと思います。)

長さが適当になったら、筆の毛の奥まで植物油を染み込ませていきます。

スクリーンショット 2021-08-25 16.48.40

しばらく置いてから、
薄めた漆でちょっとずつ、付けては拭き取り、付けたら拭き取り、を繰り返して、植物油と漆を交換できたら、筆おろしは終了です。

ここで、ようやく、
新品の蒔絵筆が使える状態になりましたので、焼き漆を用いての置目を進めます。
置目は、和紙(表面)をアクリル板に乗せて、明るい方を向き、図案の墨の線を透かしながら、焼き漆でなぞって描いていきます。
こんな状態です。

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蒔絵は「手で持てるものは持つ!」が基本姿勢だそうで、腹筋と背筋と、太ももが緊張状態にあります。

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↑今回置目したのは、基本の3種の紋様。直線と曲線がリズムよく並びます。焼き漆でなぞった状態の写真。またもヨレヨレ…。

③、焼き漆で描いた面を、漆のパネルに当て、上から刷毛で押さえて転写します。

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見えるでしょうか…光の反射具合で、うっすら付いているのが見えます。

そこに、さらっと銀粉を真綿で回してつけると、模様が浮かび上がりました!
きゃーーー。儚い線。でもなんて眩いことよ。。。

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これで置目が完成です。(つまり、ようやく下絵が描けた段階です。)

筆を、またまた優しく、丁寧に油で洗って、きれいに拭いて、保管して、今日の作業は終了です。


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