見出し画像

アフターコロナの新人フォローについて


この4月に株式会社を設立する前、2/28(金)までは職員1,000人ほどの公的機関で育成人事をやっておりました、株式会社PLOWの加藤ことツイッター名マダムです。

政府の緊急事態宣言を受けて、4/8現在東京では新人に出社させている組織はごく少数だと思います。
4月初に新人たちが受ける世の中の研修はほとんどオンライン化されたようですが、この短期間でオンライン化に対応された研修会社、人事の皆様のご尽力に頭が下がるばかりです。
前職では本来なら今週いっぱいで全体の研修が終わり、来週からはOJTが本格的に始まるはずでした。
いま自宅待機中の新卒新人の皆さんはどんな風に日々を過ごしているんだろうか・・・地方から上京して一人暮らしを始めたこのタイミングで自宅待機の日々って、お店や病院の情報もあまりない状態で不安じゃないのかな・・・
私なりにできることはないのか考えた結果、自宅待機が解除され通勤が始まった後の新人受入れで注意すべきことを書いてみたいと思います。


【このnoteの目的】
 自宅待機解除後の新人受け入れにあたって配慮すべきことをお伝えし、少しでも新人が組織にうまく馴染めるためのヒントとなること


【このnoteを届けたい人】
 育成を担当している人事の方、新人の上司になる方、OJT指導者になる方
 ※ 人事の中で採用と育成の担当が分かれている組織規模を想定していますので、スタートアップの方には当てはまらない記述もあるかもしれません。ご承知おきください。



そもそもなぜ新人研修が必要なのか

まずは共通認識を確認する意味でお付き合いください。
研修とは、組織内でそのポジションに求められている働きを達成するためにあるべき姿と、配属された個人の現在のパフォーマンスとのギャップを埋める手段の一つです。
能力があるのに(意に反した配属への不満などを理由に)発揮しないのであれば、研修よりも上司や先輩との1on1の方が効果的でしょう。
技術的なキャッチアップの分野や内容によっては、専門書を自分で読んだり輪読する方が効果的でしょう。
では新人にはどんな不足があるのか?
 ・ 教育は受けるものと思っている
   → 自ら学ぶ姿勢の不足
 ・ 先に権利を主張しがち
   → 価値創出の意識が不足

事務系、技術系、エンジニアなど職種によるスキルを身につける前に、4月初の段階で人事が必要と考えている項目は(時代により変遷があるのですが)以下でほぼ同意いただけるのではないでしょうか。
 ・ 社会人、組織人としてのマインドセット
 ・ セルフマネジメント
   (時間管理の初歩、PDCAの基本)
 ・ 上司・先輩とのコミュニケーションの取り方、ほうれんそうの重要性
 ・ 電話応対やメールマナー、名刺マナーなどのビジネスマナー
 ・ excelの基礎、イントラや社内SNS、メールの使い方などPC周りのスキル
これらは、職種に関わらず配属後にOJTを受けて学んでいくためのOSとなる能力です。
新人研修抜きでは、新人は配属先で与えられる日々の仕事とは別に、自分には不足している能力があることを認識することすらできないかもしれません。この認識不足は、当たり前に組織人として行動している周りのメンバーとの間に精神的な溝を作ってしまう危険性があります。

配属前に指導を受け入れ吸収できるようになるための前提条件を整えるため、これが新人研修が必要な理由です。


新人研修のゴールってなに?

私の定義ですが、新人研修のゴールは「1年後に入ってきた次の新人に自分が教わったことを教えられること」です。
説明すると、学びの深度は以下の順に進みます。
習う→真似て実践する→テキストやメモを見ながら自立してできるようになる→習熟する→自分のものにする
自分のものになった状態に到達していれば、人に教えることができます。
この1年後の姿が新人研修のゴールです。
ここでお気づきかと思いますが、研修とは本来受講するその日だけで完結するものではありません。上述の1年後の状態は「行動定着」という言葉で表せますが、できなかったことができるようになり、その行動が定着するまでには相当の時間がかかります。つまり、研修で学んだことは実際のビジネスの場面やOJTで経験することでやっと身につき始めるのです。


新人がイレギュラーな時期に配属されることのデメリット

ここまで研修の教科書のようなことをつらつら書いてきた理由を再度まとめます。
 ・ 新人研修が必要な理由:新人からみれば学びを得るための準備であり、指導する側から見れば社会人としての共通言語を身につけてもらうため
 ・ 新人研修のゴールは1年後の行動定着。そのためにはOJTとのスムーズな連結が必要不可欠である

この2点を実現するためには、本人の努力はもちろんですが、部署のメンバーの受け入れ態勢が決定的に重要です。
その受け入れ態勢を整えるという点で、4月スタートには意味があります。
会計年度が変わり、異動もあり、プライベートでも子供が進学したり、社会全体に「節目感」が漂います。つまり周りの人間にとっても新人であることを意識してあげられやすいのです。例えば、新人が配属されなかった部署の人がでんわをしてきて、新人が電話をとって部署名をうまく復唱できなかったとしても、「ああこの部署には新人が配属されたのだな」と簡単に気づいてあげることができます。
逆に8月や11月に新人が配属されることを想像してみてください。
事情を知らない人は「半年近くも経ってまだ電話もろくに取れないのか」と思うかもしれません。
部署内の空気も同様です。年度計画も個人の目標もとっくに動き出しており、プロジェクトもどんどん進んでいる。年度始めの余裕はもう雰囲気から消えています。異動した人もすっかり部署に馴染み、お弁当仲間やランチのグループもできあがっている。そこに「初めて社会人になる人」がたった一人飛び込まなくてはいけないのです。中途採用者のオンボーディング以上にきめ細かい配慮が必要なことがお分かりいただけるかと思います。


デメリットを克服するための工夫とご提案

以下に多少のアイデアをリストアップしますが、ここまで読んでいただけたならきっと皆さんの組織にあったベターなアイデアが湧いてくると思います!
どんなアイデアでもやらないよりやった方がいいです。2020年の新人が早く笑顔で過ごせる日が来ることを心から願っています。

アイデア例
<自宅待機中>
 ・ OJT指導者とこまめに連絡を取る。
   (日報などの堅いものでなくてもチャットでOKだが内容が肝心。ツイッターで知り合った人とオフラインであったらいきなり深い話ができるように、OJT指導者側から積極的に自分の価値観を開示する。失敗話を披露するときは、どうリカバリーしたか、周囲のサポートについても必ずセットで話すこと。)
 
<自宅待機解除後>
 ・ 配属されたばかりであることを他部署にも認知してもらう工夫
   (挨拶回り、イントラなどに歓迎会の様子をアップする、他部署の人にも歓迎会の案内出す)
 ・ 新人研修から時間が経っている+オンラインのため新人研修の内容を新人はすっかり忘れていて行動できないという前提で接する
   (人事主催で再度新人研修があればベスト、なければ事業部単位や有志を募ってでも新人研修をもう一度やったほうがいい。時間は2〜3時間で十分)

以上、長々とお付き合いいただきありがとうございました!

自宅待機中の新人さん、育成人事の方、お手伝いできることがあればDMおまちしてます。
https://twitter.com/ats_madame/status/1247733250002309124?s=21


ここまで読んで下さってありがとう! 働きたい主婦が能力を活かせる仕事に就ける世の中に変わっていくよう、あなたの声を聞かせてください。