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レアル・ソシエダ|「Jリーグが最も参考にしたい」世界有数の美食の街&育成特化の地域産のチーム

「LaLiga チーム・ガイドブック」では、ラ・リーガを見始めた方も存分に試合を楽しんでいただくために、そのクラブの地域性や歴史、文化などの”変わらない価値”収集を心がけ、概要・特徴をまとめています。

こちらの記事では、バスク州ギプスコア県サン・セバスティアンを本拠地とするレアル・ソシエダの地域性や特徴をまとめています。みなさんのラ・リーガ 観戦の助けになれば幸いです。

【地域】 世界から注目を集めつづける美食の街

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地域名:サン・セバスティアン(バスク語: Donostia、スペイン語: San Sebastián)
州:バスク州
県:ギプスコア県
人口:186,095 人
※州>県>地域:バスク州ギプスコア県サン・セバスティアン

サン・セバスティアンは、世界有数の美食の街として名高い。まちづくりに関わる人であれば必ず聞いたことがある地名だ。約60km²の決して大きくはない街の中に、ミシュラン星を獲得しているレストラン、「世界のベストレストラン(食のアカデミー賞)」に選ばれる名店が密集しており、2016年の欧州文化首都にも選定されている。

そんな美食の街サン・セバスティアンを象徴する文化のひとつが、地元の男たちが自由に料理をしにあつまる民間組織「美食倶楽部」だ。その施設は市街のあちこちに佇み、自分たちで料理し集まって食事を楽しむ。100年以上前から存在しているこの風習は食が日常に溶け込むこの街の土壌となっている。そして”男達が集う”この美食倶楽部はサン・セバスティアンに根付く豊かなフットボール文化とも底でつながってくる。

【概要】 レアル・ソシエダ

やさしいチームガイド(地図)

名称:レアル・ソシエダ(Real Sociedad de Fútbol)
愛称:ラ・レアル、レアル等
地域:バスク州ギプスコア県サン・セバスティアン
創設:1909年
クラブカラー:青&白
スタジアム:アノエタ(Estadio Municipal de Anoeta)<39,500人>
最高成績:優勝(2回)
公式サイト:https://www.realsociedad.eus/

スペインにおける「レアル」と言えば、レアル・ソシエダを示す(※レアル・マドリードは「マドリー」が一般的)。世界から注目を集め続ける美食の街「サン・セバスティアン」を本拠地とするこのチームは、1900年代初頭イギリスから帰国した学生や労働者によってサッカーがもちこまれ誕生した。リーガ・エスパニョーラ(全国リーグ)発足クラブ10チームの一つでもあるこのチームの歴史とともに醸成された地域性とクラブ方針は、まさに今Jリーグが最も参考にしたいチームの一つとして位置付けられている。

特徴1.女人禁制だった!? サッカーを語り尽くす場「美食倶楽部」の存在

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先述した美食の街サン・セバスティアンの土壌をつくる文化のひとつ「美食倶楽部」はかつて、女人禁制だった。その理由や定説はさまざまだが「男達がフットボールを語り明かすため」にできたという説がある。実際に、試合後にバーやお店がしまっている国や地域が多い中、サン・セバスティアンは空いているお店が多いという。住民交流、観光需要や地域活性などあらゆる観点で注目されるその食文化は、レアル・ソシエダに対する熱いフットボール文化の醸成にも大いなる貢献を果たしているかもしれない。

スポーツライター小宮良之氏の著書「ラ・リーガ 劇場」は、バスクの地元人との対話を通じてバスク文化独特の熱気がより感じられるのでお勧めです。

特徴2.スペインにおける「レアル(王朝)」はソシエダを示す

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「レアル」ときくと、日本ではレアル・マドリードを想起するひとが多いがスペインでは違う。「レアル」はソシエダの呼称だ。そもそも「レアル」という言葉はスペインで「王室の、王朝の」という意味をもつ。つまり、ソシエダは歴史的にスペイン王朝と関係あるチームであることがわかる。

その始まりは1910年、サン・セバスティアンを夏の首都として使用していたアルフォンソ13世(物凄いサッカー好き)がその年に誕生した「ソシエダ・デ・フットボール (現:レアル・ソシエダ )」に初めて「レアル」の称号を与えた。これがレアル・ソシエダを「ラ・レアル」or「レアル」と指す由来となっている。正式名称に「レアル」が入っているクラブは、エンブレムに王冠が描かれている場合が多いので、ぜひ探してみて欲しい。

※その後、アルフォンソ13世はスペイン各地のクラブに「レアル」の冠名を与え、ついには自分のサッカークラブまで持つことになる。それが現在の「RCDマジョルカ (Real Club Deportivo Mallorca)」。もちろんマジョルカのエンブレムにも王冠が描かれている。


特徴3.「育成選手の8割は地元出身、トップは育成から6割を目指す」 育成特化の地域産のチーム

レアル・ソシエダの地域の土壌でボトムアップ式に作られていくアプローチは、Jリーグが最も参考にしたいクラブの一つと言われている。スポーツライターの木村浩嗣氏とPeriodistaの小澤一郎氏の贅沢な対談の中でその話題が出ているのでここで一部ご紹介したい(上記動画)。※小澤一郎氏のTwitterアカウントはこちら

小澤氏:今シーズンのトップの編成26名中17名がカンテラ出身で、うち12名がギプスコア(バスク州>ギプスコア県>サン・セバスティアン)出身で、日本から見ると「こんなの無理でしょ、ユートピアだな笑」という印象ですが、これができる理由についてどう思いますか?

木村氏:全部は言えないけどスポーツディレクターに聞いたところ、彼らは育成の8割を人口70万人のギプスコア県からまかない、その育成から6割はトップに出すというはっきり数字として目標を示している。70万人でできるなら日本でもできる。(以下省略)

ソシエダのあるギプスコア県の人口70万人という都市規模は日本の大田区や静岡市ほどである。この都市規模から世界屈指のラ・リーガで存在感を示すクラブを醸成しているソシエダという存在は、Jリーグの目標にしたいロールモデルかもしれない。

【レアル・ソシエダ情報収集】オススメTwitterアカウント

▼レアル・ソシエダ(公式アカウント)

▼日本公式レアルソシエダペーニャ


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関連note

「LaLiga チーム・ガイドブック」では地域や歴史なそそれぞれのチームの”変わらない価値”収集を心がけています。皆で共有しておきたい魅力的な情報は随時募集しています。











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