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毎日名玄のうどんを食べてしまう

 人生の残された時間の中でピンクフロイドの『狂気』をあと何回聴けるのか、これは多くの人が常日頃から考え、悩んでいることではあるけれど、自分はそれにプラスで名玄のうどんをあと何杯を食べられるのだろうかということをいつも考えている。

 名玄との心の距離は近くてすぐそばにある気ではいるけれど、東京にいる限りは物理的な距離があって、名玄のうどんを食べられない問題がある。

 長いこと社会人のフリをしてうまいこと世渡りをしていると、1ヶ月ほど丸々と休みにすることに成功した。休みとはいっても毎日特別に何かをするわけでもなく、本を読んだり、衰えた散歩筋を鍛えなおすために1日30000歩あるいたりしているだけだったのにも飽きて、せっかくだからと帰省することにした。

 岡山に帰ると、名玄との物理的な距離がとても近くなる。

 名玄は毎日うどんを打っているから、当然ながら朝方のほうがうどんは出来立てでおいしい。一方、夕方はダシが少し煮詰まっていて濃厚だったりする。岡山にいれば名玄に毎日通えることに気がついたから、日々の味のブレについて知りたくなり、せっせと時間帯を変えながらうどんを食べにいった。

2023/04/03 16:41。夕方なので昆布はなし。おいしい。

2023/04/04 10:43。午前中なのでトッピング昆布があった。おいしい。

2023/04/05 10:17。なす天も食べる。早すぎたせいか昆布なし。開店直後だから特別うどんが生き生きとしているようでおいしい。

2023/04/06 10:04。開店と同時に入ると、天かすに刻んだゲソ天が紛れ込んでいることに気がついた。おいしい。

2023/04/07 15:56。素うどんは美しくておいしい。

2023/04/08 15:28。昼下がりでもおいしい。

2023/04/09 14:42。1週間通って、帰京前の最後の1杯もおいしい。

 結論としては、毎日どの時間に食べてもおいしいことがわかった。名玄の営業時間は10:00-20:00で定休日は正月の三が日だけだから、岡山には1年のうち13,032,000秒、おいしいうどんが食べられる瞬間があることがわかった。

※名玄とは岡山にあるこの世で最もおいしいうどん屋です。

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