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11月27日独り言朝刊ニュース

ブルース・リーの日。日経新聞の朝刊から気になるニュースを抜粋。

"老いるニッポンの株主"

 日本企業の株主が老いている。70代以上の割合は30年前の1割台から4割台に高まった。人口構成を超えるスピードで高齢化した背景には、若・中年層の日本株離れがある。国内のリスクマネーが静かに減少している。
 バブルに沸いた1987年。NTTの株式上場は70万人近い新たな株主を生んだ。当時働き盛りの世代が株式ブームを担い、同社の株主の中心は30-40代だった。35年後の今、同社の株主は推計で60代以上が8割を超える。
 株主高齢化の第一の理由は人口構成にある。成人のうち70代以上の人口の割合は1989年の10%から2019年に26%に高まり、自然と株主も高齢化した。その間に70代以上の株主の割合は15%から41%に上昇しており、比率の高まりが大きい。若・中年層が日本株に投資せず、人口構成以上に高齢者に偏るようになった。高齢者が売却した株式は外国人などが受け皿になり、個人株主比率の低下を招いた。
 1998年にインターネット取引が本格化し、ネット証券の顧客は比較的に若い層、対面証券は高齢者という棲み分けが生まれた。ところが、ネット証券の草分けである野村證券では現在、70代以上が年代別の売買代金で最大35%を占めるようになった。
 バブル崩壊後、日経平均株価は2009年に大底入れるまで20年かかった。その後は右肩上がりで若い層に損失のトラウマはない。投資には前向きだが、投資先は日本株に比べて米国株など海外だ。コストの低い投資信託も普及した。情報が得やすく、海外投資はかってに比べて身近になった。
 企業は、日本の個人マネーの争奪戦でも海外勢と競わなければならなくなったわけだ。投信の売買を分析すると、2012年以降の累計では海外株を10兆円近く買い越している。その間、日本株は売り越しだ。
 日本株の魅力は見劣りする。過去10年の日経平均採用企業の売上高の伸び3割に対して、米主要500社は5割だ。成長力やや稼ぐ力が高い。投資の手軽さも米国が上だ。足元の株価ではファーストリテーリングの株主になるには800万円必要だが、米Apple社は2万円。株主数が増える事務コストを嫌って最低投資資金額を下げてこなかった。
 相続税も株式に不利だ。上場株は時価が評価額になる。時価80%が目安の「路線価」で評価する不動産のような優遇措置がない。高齢株主は相続前に株を売って不動産を買う動機が生じやすく、若い層に引き継がれない。
 今後、「資産所得倍増プラン」を打ち出した政権はNISAの恒久化を進める構えだ。40代以下の利用が増える可能性が高く、手を打たなければ個人マネーは益々海外に向かう。国内にリスクマネーを循環させる取り組みが欠かせない。

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