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マインドフルネスとフロー体験は関連するのか

マインドフルネスという言葉は,「いまここ」に焦点を当てることで,あれこれ考えてしまう思考や,「ああこうすればよかった」といった感情への執着が減少することを特徴とする考え方であり,トレーニングであり,日常生活の中でそのような状態になりやすい傾向のことを指します。

一口にマインドフルネスという言葉を使っても,文脈によって「状態」「トレーニング」「個人差特性」といった異なるものを指すので要注意です。

マインドフルネスの効能

マインドフルネス傾向が高い人は,精神的な健康度も高く,向社会的行動を行い,スポーツのパフォーマンスも良好で,心身共に健康な状態につながりやすいともされています。さまざまな点で「よいこと」につながる心理特性のひとつです。

また,トレーニングの効果が比較的明確なのも利点かもしれません。マインドフルネスはもともと瞑想のトレーニングから来ていますので,やり方もはっきりしています。ぜひ試してみてはどうでしょうか。

フロー体験

マインドフルネスは,今この瞬間に意識を向けます。いろいろなやり方があるのですが,自分自身の内的体験や自分以外の外的な体験に意識を向けて,それぞれに気づいていくような場合もあります。

一方で,フロー体験というものがあります。これは何かに熱中したり没頭したりすることを指します。

このように見ると,マインドフルネスとフロー体験は似たようなものである一方で,異なる側面も指しているといえそうです。マインドフルネスがその瞬間瞬間に気づくことを意味するのであれば,フロー体験をむしろ抑制しそうです。しかし,どちらも今この瞬間に意識が向かっている状態ですので,そういう意味では共通点もあります。

果たして両者の関連はどのようなものなのでしょうか。

ひとつのヒントは,フロー体験を安定した個人差と考えるか,その場での状態と考えるかによって,マインドフルネスとの関連が異なってくるというところにありそうです。

では両者の関連をメタ分析で検討した研究を見てみましょう。こちらの論文です(The connection between mindfulness and flow: A meta-analysis)。

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