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コロナへの恐れが権威主義につながる可能性

割引あり

エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』を読んだことはあるでしょうか。

学生時代に読みましたね。なつかしい感覚です。ナチス政権が世の中に広がり,ソ連に侵攻し始める時代,1941年に書かれた本です。久しぶりにまた読んでみましょうか。


権威への服従

『自由からの逃走』の中でも描かれているのですが,脅威や社会的不安を認識することが,権威に対して服従する態度に結びつくと言われています。脅威を認識すると,安心感を得たいと思います。すると,強い権威を受け入れやすくなり,強い指導者を求める傾向につながるのです。

最近の研究でも,安全に対して脅威を抱くと,右翼的権威主義(権威に対して服従する傾向と,規範やルールから外れる人に対する強い攻撃的傾向,そして伝統的な価値観を重視する傾向)が高まることが報告されているようです。

コロナへの懸念

2020年,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の脅威が世界中を席巻しました。このような世界的な危機の中で,権威主義が高まるようなことは見られたのでしょうか。この関連について検討したイタリアの研究がありますので,こちらの論文を見てみましょう(Dark Triad traits, recalled and current quality of the parent-child relationship: A non-western replication and extension)。

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