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ダークな管理職は環境に配慮しない

学校の中でも企業活動の中でも,SDGs(持続可能な開発目標)を意識することは当然のこととなってきています。ちなみにSDGsには17の目標が掲げられているのですが,すべてを思い浮かべることはできますか?

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤を作ろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任、つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

こういった目標が整理されて掲げられると,研究をする側もそれを意識するようになります。それに,SDGsを研究の動機や目的として書くことで,研究を遂行することへの説得力を増しますからね。心理学も同じように,これらすべてではありませんがその一部に関連する研究が世界中で増えていると言えるのではないでしょうか。


企業の持続可能性

企業を対象とした心理学の研究でも同じです。たとえば今回紹介する研究は,企業の中で管理職となっている人たちが,どれくらい環境に配慮するのかに焦点を当てるものです。

そして,パーソナリティ(性格)特性にも焦点を当てて,特定のパーソナリティ特性を持つことが環境に配慮する傾向を妨げることがあるのかを検討しようと試みています。

ここで取り上げられるのがダークなパーソナリティで,マキャベリアニズム,ナルシシズム,サイコパシーの3つからなるダーク・トライアドと呼ばれるパーソナリティです。

◎マキャベリアニズム:人を操ろうとする,自分の目的のためには手段を選ばない,自分自身の利益に関心があり,人の利益をあまり考えない。
◎サイコパシー:共感性に欠ける,衝動の抑制があまりきかない,良心の呵責を感じない,恐怖心を感じない。
◎ナルシシズム(自己愛):自分が好き,自己中心的,自分が特別な扱いを受ける権利があると感じる,自分への賞賛を求める。

サステナビリティマネージャー

企業の中にはサステナビリティマネージャー(環境部門長,持続可能性担当マネージャーなど)と呼ばれるポストがあるそうです。倫理的で規範的な側面が強い社会的・環境的なプロジェクトを計画して実施する立場にありますので,こういった人たちがダークなパーソナリティをもっていると,何か問題が生じてしまうかもしれません。

というわけで,ダークな性格を持つサステナビリティマネージャーは,環境を重視しなかったり社会への影響を重視しなかったりするのだろうかという点を検討することが,この研究の中で行われています。

The dark triad and corporate sustainability: An empirical analysis of personality traits of sustainability managers

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