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日々是好日・心理学ノート

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2021年5月の記事一覧

2021年5月のまとめ

今年は梅雨入りのタイミングが早いようです。東海地方は平年よりも21日早く,昨年よりも25日も早い梅雨入りなのだとか。関東地域はまだ梅雨入りはしていないようですが5月なのにもう雨の日が続いたりして,例年とは違うなという印象があります。 温暖化の影響なのかどうかはわかりませんが,雨の被害が少ないといいな,と思うこの頃です。 さて今月も,1ヶ月の記事の中で,よく読まれたものをまとめていきたいと思います。 第5位第5位は,『親子の身長と体重はどれくらい関連するもの?』です。多く

ダークな性格の核心

日本ではそれほどものすごく研究が盛り上がっているというわけではないのかもしれませんが……この20年間,ダークなパーソナリティ(Dark TriadやDark Tetrad)の研究はほんとうに数多く行われました。 マキャベリアニズム,サイコパシー,ナルシシズム,ここまでのまとまりでダーク・トライアドです。これらにサディズムを加えて,ダーク・テトラッドと言います。それぞれが独自の研究の歴史をもつ概念なのですが,互いに関連することから,これらのパーソナリティには共通の基盤があるの

精神病医院潜入実験はほんとうに行われたのか?

今回も本の紹介です。『なりすまし——正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験』というタイトルの本を紹介したいと思います。原題は「The Great Pretender」です。アニメのタイトルにもなっていますし,海外では有名な曲名でもあります。日本語に訳すと「とんでもない詐欺師」といった感じでしょうか。 本のテーマが「心理学者」である一方でタイトルが「詐欺師」とは,どういうことなのでしょうか。 ローゼンハン実験この本のテーマは,次の論文について調べていくというものです。著者は

自分の性格が変わったと感じる人の特徴は?

皆さんは,自分の性格が「変わってきた」と感じるでしょうか,それとも「昔から全く変わっていない」と感じるでしょうか。 パーソナリティの発達の話を授業ですることがあるのですが,おそらく授業を受けたときの反応のしかたは,自分自身がそれをどのようにとらえているかによっても変わってくるように思います。 自分で自分の変化をどのように考えているかということもありますし,周囲の人から指摘されることもあることでしょう。自分では自覚がないのに「変わったね」と言われるような経験です。いや,実際

コロナウィルス感染症蔓延時のメンタルヘルス

2020年にとったデータを分析していて,「もしかして,パンデミックの中で全体的に心理変数の得点がネガティブな方向に」向かったのではないか?と感じました。これから,そういった研究結果が報告されていくかもしれませんね。 一般的な感覚としても,コロナウィルス感染症が拡大する中であまり明るい気分になることもできず,仕事もうまく行かずにストレスをため込んでいく人が多くなっているかもしれません。 自殺者数が11年ぶりに増加傾向にあったり,特に女性や若者の自殺が増えているという報告があ

自殺したい気持ちにつながりやすい性格

日本では2020年,11年ぶりに自殺者数が増加傾向を示しているそうです(11年ぶりの自殺増 手を差し伸べれば私たちも救われる)。 その一方でアメリカでは,2020年に自殺者数が減少傾向を示したそうです(コロナ禍の2020年アメリカで自殺減少、その理由とは?)。 ところが,自殺者数は減少したものの,自殺を考えた人は増えているのではないかという指摘もおこなわれています。 自殺を考える自殺を最後まで遂行して命を落としてしまうことを自殺既遂,最後までは至らなかったものの試みる行

フリースローが失敗するのはどんなとき?

Netflixに,バスケの神様マイケル・ジョーダンの『ラスト・ダンス』というドキュメンタリー・シリーズがあります。私自身はバスケットボールについてそれほど詳しいわけではないのですが,1990年代の盛り上がった雰囲気を知っている人にとっては,とても面白いシリーズになっています。 フリースローバスケットボールのフリースローは,相手チームのファウルやルール違反によって与えられる得点機会です。そしてフリースローをするときにはだれにも邪魔をされることなく,自分だけのタイミングでボール

ナルシストが思いやりに欠けるのはどんな時?

北海道の釧路に「あの人はナルシスト」という名前のベーカリーがオープンしたそうです。 このネーミング,気になります。ナルシストも研究対象にしている立場からすると一度行ってみたいなと思うのですが,ふらっと訪れるにはあまりに遠いですね…… 自宅から自動車で20時間くらいかかるとGoogle Mapに教えてもらいました(どうして自動車……)。羽田空港から釧路まで飛行機で1時間40分です。 自己愛と共感性さて,ナルシシズム(自己愛)というパーソナリティ特性ですが,いくつかの内容か

それは副反応?

今回は,最近,自分の身体に起きた出来事を書いてみたいと思います。 歯茎が痛いこれまでの人生の中でも,たまに歯茎が痛くなることがありました。小学校の頃なんて,あまりちゃんと歯を磨いていなかったせいなのか歯並びの悪さのせいなのか,もともと虫歯になりやすいせいなのか,よくわからないのですが,よく虫歯になって歯茎が腫れていました。治療した後も虫歯になって痛くなったりして,口のなかの環境は相当悪い状況でした。 大学生から大学院生の頃に,いちど全部ちゃんと直そうと思って親知らずも抜き

研究者のコピペと捏造

今回は,『研究者のコピペと捏造』という本を紹介したいと思います。 研究者なのにコピペ?捏造?と疑問に思う人がいるかもしれません。しかし,世界中で研究を行う際の問題が指摘されていて,何らかの問題から論文が撤回されるということもよく起きることです。 再現性の問題心理学でも近年話題になるのが,再現性の問題です。心理学の実験結果のうち,他の研究者が同じ手続きで必ず結果が再現されるわけではありません。そして,研究の再現性を検討するプロジェクトも行われていて,そこで結果が再現された研

ダークな人は落ち込みやすい

他の人を自分の都合のよいように操作するマキャベリアニズム,自分は特別なのでそのような扱いを受けるのが当然だと考えるナルシシズム(自己愛),そして冷淡で罪悪感を抱きにくいサイコパシーの3つが,ダーク・トライアドという組み合わせです。 ダークな人は落ち込みやすいのかこういった,冷淡で他の人をのことをあまり考えないようなパーソナリティを持つ人たちというのは,落ち込みやすいのでしょうか,それとも落ち込みにくいのでしょうか。 ダークな性格というのは大胆さにも関連しています。細かいこ

太った人は偏頭痛になりやすい?

BMIが25以上のことを肥満と言うようです。下のサイトにもグラフが載っているのですが,おおよそ女性よりも男性の方が肥満率は高く,男性は40代から50代の肥満率が高め,女性では60代以上が高めという数値になっています。 とはいえ,日本の肥満率は世界的に見ても非常に低いと言えます。このランキングサイトによれば,日本の肥満率は世界200カ国・地域の中で157位です。 もっとも,BMIが25というのは,まだまだそれほどひどい肥満ではありません。年齢を重ねたときには少し肥満くらいの

2019年なのか2020年なのか……それが問題だった

今回は,とある先生からお問い合わせをいただいて確認したという経緯について,メモと注意喚起を兼ねて書いておこうと思います。 *なお,現在は修正されています。 何かと言いますと,以前にもこの記事で紹介した論文についてです。 J-STAGE日本心理学会が発行する心理学研究という雑誌は,J-STAGEで全文を読むことができます。先ほどの論文は,こちらのページに掲載されています。 第6号心理学研究は1年間に6号,刊行されます。2ヶ月に1冊の雑誌が発行されるというわけです。そして

ナルシシズムは経済動向に連動する?

どうして見出し画像がオバマ元大統領なのかというと……それは最後のお楽しみです。 アメリカでは,ナルシストがどんどん増えてきている,という話はこの20年くらいのあいだに良く言われてきたことでした。この『自己愛過剰社会』という本が,まさにその研究結果をもとに書かれたものです。 ナルシシズム(自己愛傾向)が蔓延している要因のひとつは,子どもたちの自尊感情を高めようとしたさまざまな方策が,副作用としてナルシシズムの増加を招いてしまったという解釈のようですね。 上がったのか下がっ