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日々是好日・心理学ノート

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2020年6月の記事一覧

2020年6月のまとめ:もうすぐ2年

2018年7月に始めたこのnoteの更新ですが,来月で丸2年が経つことになります。早いものです。 一人で書いていますので,やる気が出ることもあれば,どうしても書きたくないこともあります。当然ですがしなければいけないこともあってこちらにまで手が回らないこともありますし,特に書くことが思い浮かばないこともあります。そういうことがあることはわかっていますので,できるだけ余裕のあるときに記事を貯めるようにする,というのが自分の書き方ですね。 これは他の仕事も同じで,できるときにや

あと10年で消えてなくなる仕事の話

AIが発展すると消える仕事,というのがずいぶん前から話題になっています。 たとえばこの記事です。『オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」』では,30種類以上の仕事が,今後なくなる確率が90%以上だと書かれています。 消える仕事の受け止め方この話題ですが,受け止め方に温度差があるように思います。たしかにこのリストに載っている仕事をしている人にとっては,これは切実な問題です。その一方で,企業で働く人たちにとっては,そんなに大きな問題に思えないの

特殊行動部隊は特殊な性格の持ち主なのか

特殊行動部隊(Special Operations Forces; SOF)と呼ばれる軍隊の部隊があります。国によって呼び方はさまざまで,日本にも陸上自衛隊には特殊作戦群,海上自衛隊には特別警備隊,警察にも特殊部隊と呼ばれる部隊があります。 通常の作戦ではなく,小さなチームで偵察や直接的な攻撃,救出,転覆作戦,また心理戦やテロ活動など,特別な作戦を実行する部隊のことを総称して,特殊行動部隊と呼ぶようです。 特殊な選抜特殊行動部隊は,肉体的にも過酷であったり精神的にもつらい

専門知は,もういらないのか

今日は,最近読んだ本の紹介をしてみようと思います。 紹介したい本は,トム・ニコルズ著『専門知は、もういらないのか――無知礼賛と民主主義』(みすず書房, 2019)です。 コロナウィルス感染症のなか,SNSではさまざまな議論が行われています。その中では,感染書の専門家もいればその他の医療関係者,また研究者も,多くの意見を書き込んでいます。そして,特段なにかの専門でもない人も,多くの情報を集めて発信し続けている人がいます。 そういう状況を見ていると,十分にネットを中心に情報

絵文字を使った研究の方向性

皆さんがふだん画面を見ているなかで,どれくらい絵文字を目にしているでしょうか。 以前,「外向的な人は笑顔の絵文字を使いやすい?」という記事を書いたことがあります。その中でも触れたのですが,絵文字は日本発の世界中に広まった文化のひとつです。 これから期待される研究今回は絵文字研究のレビュー論文を見てみましょう。そして,これから絵文字についてどんな研究が期待されているか,という部分を見てみたいと思います。この論文です(A Systematic Review of Emoji:

第一印象と投票

選挙の期間が始まると,ポスターが貼られ始めます。私が住んでいる地域は東京でもはずれの方ですので,なかなか貼られない候補者のポスターもあります。人手がないと全ての場所に貼っていくのは難しいですよね。 子供たちもよくポスターを眺めてあれこれと言っている様子を目にします。私も選挙のポスターが貼られたところで顔を見て,「どんな人だろうな」と想像することがあります。もちろん,公約の内容をチェックするべきなのですけれども,どうしても第一印象で選んでしまう面もありますよね。 第一印象ど

背の低い男性は背の高い男性を攻撃するのか?

ナポレオンは身長が低かった,というのはよくネタとして使われる話です。 映画『ナイトミュージアム2』にも,ナポレオンが自分の身長を嘆く場面がありました。 背が低い?各国の平均身長についても,まとめられたサイトが数多くあります。たとえばこのページ「平均身長の国際比較」に描かれたグラフを見ると,世界の地域によってずいぶん平均身長が違っていることがわかります。 ヨーロッパ地域がやはり平均身長は高く,次に欧米やオセアニア地域,アジアやラテンアメリカは比較的平均身長が低い地域に入っ

リーダーシップを発揮する性格

リーダーというのは,グループを統率する役割の人物のことです。集団が集まると,なぜだか自然に誰かがリーダーの役割を担っていくことがあって,見ていてなかなか興味深いなと思うことがあります。 学生をグループに分けて作業させるときにも,誰かがリーダーの役割をしていきます。今学期は残念ながら,オンライン授業ばかりですのでそういう姿をなかなか目にすることができないのですが……。 そして,リーダーとしての行動だけでなく,心理的な側面や資質のようなものも含めて考えるときに,リーダーシップ

SNSを使う傾向に関連する性格は?

すっかり日常生活に浸透したSNSですが,皆さんはどれくらい使っているでしょうか。どうして日々SNSが気になって,見てしまうのでしょうね。そのSNSの活動には,どのような要素が隠れているのでしょうか。 さまざまな活動とパーソナリティとの関連を検討するひとつの目的は,もしかしたらその行動の背後にどのような理由があるかを推測することができるかもしれないということがあります。たとえば,外向性や開放性というパーソナリティ特性は,目の前にある報酬を取りに行こうとする志向性に関連します。

そういうことか!と思った瞬間

以前,「完璧主義」と書くのか「完全主義」と書くのかという問題について,記事を書いたことがあります。心理学の論文では明らかに「完全主義」が多いにもかかわらず,一般的には「完璧主義」と書くことがとても多いという内容の記事です。 WikipediaもWikipediaの項目も完全主義ではなく「完璧主義」ですからね。 どうして論文で「完全主義」と書くかというと,「完璧」は「完全ですばらしく,優れている状態」である一方で,完全主義は必ずしも良い状態ではないからではないかな,と思って

社会の側が変化する可能性

同じことをしていても,その評価が変わるということがあり得ます。 そういった現象で思い浮かびやすいもののひとつが,喫煙です。 平成30年間の喫煙率の変化をグラフに表すと,下のようになります。太い折れ線は男女の平均です。平成元年には男性喫煙率は50%を越えていたのですが,現在は30%を割り込むまでになっています。男性の70歳以上の喫煙率も低くなっていますね。年を取ってから禁煙する人が増えてきたことが想像されます。 未成年の喫煙経験率未成年の喫煙についても情報があるのですが,

子どもたちのビッグ・ファイブ・パーソナリティを人形劇で測る

授業の際には,よく学生たちの感想を集めます。出欠を取る代わりでもあるのですが,そこから何かしら学ぶこともあります。学生たちの間で何が流行っているのかを知ることにもつながりますし,自分でもよくわかっていない部分があることに気づいて調べることもあります。 でも,たまに気になる回答もあるのですよね。そのひとつが,こういう回答です。 ◎……ということをするのは無理だなと思います。 ちゃんと測るのは無理たとえば,心理学の授業を聞いて「こういうことをちゃんと測るのは無理だなと思いま

世の中を公正だと信じる心の非対称性

次のようなことが,どれくらいの確率で生じると思いますか?「まったく起こらないと思う」(0点)から「絶対に起こると思う」(100点)までで答えてみてください。 A. 太郎君は隣の家の庭掃除を手伝いました。一週間後,彼は町内のくじ引きで無料の映画チケットを手に入れました。 B. 二郎君はSNSで人種差別的な発言をしました。一週間後,彼は転んで足をくじいてしまいました。 C. 三郎君は宝くじで1万円を当てました。一週間前,彼は友人の悩みの相談に乗っていました。 D. 四郎君

マラソンランナーたちの性格の特徴

それにしても,都知事選でも公約になってきていますが,来年のオリンピックはどうなるのでしょうね。 オリンピックのようなトップを決める競技と,私たちが日常的に楽しむ運動のしかたは,ずいぶん違います。もちろん,日常的な運動でも「より多く」「より速く」「より上手く」と向上を目的とすることはあるのですが,それよりも気分がよかったり体調がよかったり,楽しいという動機づけが大きいのではないでしょうか。 そして,普段から運動している人というのは,何か心理面で特徴をもっているのでしょうか。