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日々是好日・心理学ノート

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2019年12月の記事一覧

2019年を振り返って

とうとう2019年も大晦日になってしまいました。1年間を振り返って,よく読まれた記事を紹介してみたいと思います。 まとめメール少し前に,noteから2019年をまとめるメールが送られてきました。全体のビューは10万を超えたようです。とはいえ記事数も多いので,1本あたりにすると平均260程度になります。 2019年によく読まれた記事この1年間によく読まれた記事を見てみましょう。次の記事がトップの5の記事です。実はこの5つの記事は,noteを始めてから今までで一番読まれた記事

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2019年に読んだ本のまとめ6

読んだ本のまとめも6回目になりました。あと何回くらいまとめましょうか……。まあ,とりあえず。 今回は,統計に関連したり使ったりして勉強になる3冊の新書について。 教育格差まずは『教育格差──階層・地域・学歴』です。ちくま新書なのですが,なかなかの分厚さです。実は著者の先生は同じ大学で,1冊いただきました(1冊自分で買ってもいたのですが)。 この本では,詳細なデータの分析から,私たちの社会が「生まれ」つまり出身階層や社会階層によって大きな教育の格差が生じており,それは今の

過敏な自己愛はだいたい神経症傾向の問題らしい

自己愛(ナルシシズム)には,誇大な側面と過敏な側面があることが知られています。 臨床的な理論では誇大な自己愛と過敏な自己愛は,あたかも「正反対な特徴」のように書かれることがるのですが,どちらも「自己愛」ですので「正反対」というのは少し違うようにも思いますよね。 誇大と過敏誇大型の自己愛は,傍若無人で他の人の気持ちや状況に注意を払わないタイプです。もうひとつの過敏型は,他の人からの評価を過剰に気にして,他の人から褒められることを求めるタイプになります。 どちらも同じ自己愛

2019年に読んだ本のまとめ5

今回も,2019年に読んだ本のまとめです。今回は,人間の「歪み」について書かれた本を何冊か。「痴漢」に「悪」に,そして「偏見や差別」です。どのテーマも,私たちの生活の一面であり,切り離すことはできません。 痴漢になる理由最初の本は,『男が痴漢になる理由』です。性別がどうあれ,ぜひ一度は読んでおくべき本だと思いました。 この本の中に「痴漢神話」という言葉が出てきます。「痴漢の被害に遭う女性というのはこういうものである」という先入観のことです。たとえば,「あの女性は派手な服装

孤独感は年齢を重ねると高まるのか

2019年のクリスマスも終わってしまいましたが,クリスマスをひとりで過ごすことを「クリぼっち」って言うのですよね。 この言葉,いつ頃から使われるようになったのでしょうか。こういうときは,Google Trendsに聞いてみるのが良いですね! 2004年以降で「クリぼっち」を検索してみた結果をグラフに表すと,次のようになりました。 毎年グラフが上昇しているのは,クリスマスが近づくとこの言葉がよく検索されるからです。どうも,クリスマスシーズンの定番検索用語のひとつになってい

2019年に読んだ本のまとめ4

今回も,2019年に読んだ本について紹介したいと思います。今回のテーマは「科学」と「大学」です。 日本の科学の危機最近流行のテーマのひとつが,「日本の科学をとりまく現状が危ないのではないか」というものです。この本『科学立国の危機—失速する日本の研究力』は,著者がこれまでBlogなどで発表してきた日本の科学関連データに基づいて書かれているものです。 最近の日本の科学技術政策は,基本的に「選択と集中」です。しかし,この「選択と集中」が,今の危機を招いた最大の原因だろうと考えら

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2019年に読んだ本のまとめ3

今回も,2019年に読んだ本の紹介です。今日は,人類や社会の歴史の法則について書かれた本を見てみたいと思います。 不平等を是正するのは崩壊しかないのかまずはこの本『暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病』です。これも分厚いのですが,なかなか読み応えがあって面白い本でした。 この本で描かれている法則というのは,人間の社会は(残念ながら)必ず不平等が拡大する方向に進んでいき,限界に達したときには必ず崩壊にいたり,次に比較的平等な社会が現れる,というものです。そして,そこ

「ゾッとする」とはどういうときに抱く感情か

「ゾッとしないねえ」という言い回しがあります。どういう意味だと思いますか? A. 面白くない B. 恐ろしくない C. 両方の意味がある D. それ以外 選択肢を選んでみてください。 ゾッとしない「文化庁月報」という記事の中に,この言い回しの答えとアンケート結果が掲載されていました。 問1 「ぞっとしない」とは,本来どのような意味なのでしょうか。 答 面白くない,という意味です。 というわけで,「ぞっとしない」の意味は「面白くない」「感心しない」ということです。

2019年に読んだ本のまとめ2

今回も,2019年に読んだ本をいくつか紹介したいと思います。今回は,世の中の「仕組み」の本質に迫る2冊です。 測りすぎ2019年に読んだ本の中で,一二を争う面白さだったのがこの本『測りすぎーなぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』です。 現代ではどんなことでも「達成したことを評価すべきだ」ということをよく言いますよね。大学でも同じですし,大学教員も「成果」で評価しろ,それに従って給与に差をつけたり研究資金に差をつけたりするべきだ,と言われがちです。 でも,そうなった時に

2019年に読んだ本のまとめ1

今年読んだ本を何回かに分けてまとめてみたいと思います。今日は,世の中のことを知ることができる,古い本と新しい本です。 フィラリアまずは25年くらい前の本(!)なのですが,とても面白かったものです。『フィラリア―難病根絶に賭けた人間の記録』というタイトルです。 フィラリアといえば犬の病気を思い浮かべます。実家で飼っていた犬を,フィラリアで死なせてしまったこともあります。心臓に寄生虫が湧いてしまって,最後は衰弱して死んでしまいました。 今ではもう根絶されていますが人間にもフ

妻の稼ぎと夫の健康の難しい問題

収入の多さと幸福感との関連は,昔からよくある研究のテーマです。 基本的には収入が多くなるほど幸福感は高まる傾向にあるのですが,その関連はそれほど大きいものではなく,だいたい相関係数で0.10から0.20程度なのだそうです。 また,収入が増えれば増えるほど直線的に幸福感が上昇していくのかというとそういうわけでもなく,基本的な欲求が満たされる程度の年収があると,それ以上は年収が増えても幸福感はあまり上昇しなくなるような,曲線的な関係があるそうです。でもこれは,なんとなく想像で

大学生は就活の履歴書に何を書くのですか?

何年前のことだったでしょうか。春先にカナダの某大学に通う学生からメールが送られてきました。 大学教員をしていると,海外からメールが送られてくるのは珍しいことではありません。もちろんSPAMメールのようなものもあるのですが「大学院に進学したい」というものや「そちらの大学に滞在して研究活動をしたい」というものなど様々です。 その時のメールは,「夏休みの間に先生のラボに参加して研究活動の補助をしたい」という内容のものでした。カナダの大学の夏休み期間(5月から夏休みですからね)に

早く死ぬか遅く死ぬかを予測する性格

先日,『ご長寿猫は何が違う? 猫生“100歳”時代「健康管理」のコツ』という記事を読みました。猫も人間と同じように長生きをするようになってきているのですが,高齢猫がかかりやすい病気もあるそうです。 特に腎不全や膀胱炎などなのだそうですが,こういったことも研究が進むと,ますます猫の寿命が延びていくかもしれませんね。 ちなみにネコについてはこの本も面白かったです。オススメ。 人間の高齢者人間の高齢者を対象にした性格の研究も行われています。たとえば,100歳以上の人々(百寿者

ダークな特性とH因子

以前,ビッグ・ファイブ・パーソナリティ以外の全体的なパーソナリティ・モデルのひとつにHEXACO(ヘキサコ)モデルがあるという話を書いたことがあります。 HEXACOの6因子HEXACOモデルは,ビッグ・ファイブ・パーソナリティに「H因子」を加えたようなかたちになっています。ただし,同じような名前はついていても,内容は少しズレたりしているのですけどね。 ・H: Honesty-Humility(正直さ—謙虚さ) ・E: Emotional Stability(情緒安定性)