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研究生活セット

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研究活動,研究生活,研究環境に関連するトピックを集めました。研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセットです。
研究者の生活についてまとめた,研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセット…
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2019年3月の記事一覧

高いところにしずくを垂らすこと

知識の価値が生まれる場所は,水が高いところから低いところに流れる場所のようだと感じることがあります。フラットな状態では水は流れません。高さに差があれば,水が流れていきます。水と同じように,知識も高いところから流れていって,最終的には水面のようにフラットな状態になります。 そして,高低差があるところに,価値が生まれるというイメージです。 授業や本私たちは大学で授業をすることでお金をもらっています(仕事はそれだけではありませんが)。教える側は,教えられる側よりも多くの知識を持

基準とは何だろうか

その昔,大学院生の頃のことです。とある先生がこう言っていました。 「よくわからないのに『何々妥当性』という言葉を安易に使わないほうがいい」 ということで今回は,この『何々妥当性』のうち,基準関連妥当性(criterion-related validity)という言葉について考えてみようと思います。この話は,心理学で質問紙尺度を使おうとする時以外にはあまり関係のない話だと思うかもしれません。しかしこれは,テストを作ろうというときや,何かで人を選別しようとするとき,合格・不合

疑似相関を見つけることはできるのか

「疑似相関」(Spurious correlation)という言葉も,ずいぶん広まってきた印象があります。疑似相関について取り上げた記事やwebサイトもよく見かけますし,SNSでも何かの記事に対して「それは疑似相関ではないか」という書き込みを目にすることがあります。 このページ「疑似相関に気をつけろ!」でも,疑似相関について解説がされています。 目次・疑似相関コレクション ・疑似相関でも関連はある ・相関関係と因果関係 ・疑似相関 ・疑似相関はなかなか見つからない 疑似

考えていることを平面に配置する整理方法

一時期,青年心理学の研究や発達心理学の研究では,よくこのやり方が概念の整理方法のひとつとして使われていました。それは,縦軸と横軸の2次元を平面状に描いて,概念整理を試みることです。 うまくいけばとても良いアイデアの整理になるのでオススメなのですが,いつもうまくいくとは限りません。今回は,この平面で整理するときのコツについて考えてみたいと思います。 軸を考える平面のことを考える前に,1次元のことを考えましょう。 直前を引きます。そして,片方の端を「高い」,もう片方の端を「