【実質0円大学生活のすすめ】第44回:大学図書館を使いこなす(6):書店と図書館は何が違う?02
前回から、書店と図書館の違いとして、並んでいる本の「良質さ」と「深さ」の多様性が異なる点を紹介しながら、「良質さ」について深堀りしています。今回も一般書店にはない図書館の特徴を考えてみましょう。
書店と図書館の違い(つづき)
一般書店と比べて、図書館は営利活動を目的としていません。利用者に対して書籍を通した文化的な価値を提供しています。そのため、営業利益確保の面から書店の店頭には並べにくい書籍を蔵書としてもっているのです。
世界や日本の歴史を学ぶ際に登場する詩人・小説家・哲学者などの著作は、図書館に行けば大抵は揃っています。大判かつ何十冊もの巻数で構成される百科事典などの参考文献も充実しています。近年はインターネットやスマートフォンのアプリでも百科事典が参照できるため、個人で購入する人は激減しているようですが、図書館に行けば紙バージョンが利用できるのです。
なお、同じタイトルの百科事典であっても、デジタル版ではデータ容量の制限などがあり、オリジナルの紙バージョンに掲載されている図版などが削除されていることもあります。デジタル版と冊子版は別物と考えたほうがよいでしょうね。
さらに、書店と異なり図書館では棚に並ぶ本が目まぐるしく入れ替わることはありません。もちろん、規模の小さな図書館ではスペースに制限があるので、書籍によっては廃棄処分にされたり、来館者に無料配布する対象になったりすることはあります。ただし、古典といわれるような定評のある本や貸出回数が安定しているような本は、たいていはいつもの場所に並んでいて、読者を待っているのです。
もう一点は、書店と図書館では選書の基準が異なる点です。書店はさまざまな種類の書籍を扱います。話題になっていれば売上も立つので、内容を問わずに棚に並べるのが商売の基本です。買うか買わないかの判断はすべて読み手に任されています。
図書館では、各館ごとに決められた「収集方針」や「収集基準」という一定のルールのもとに、蔵書の受け入れを決めています。つまり、簡単にいえば、本のプロが選んだ良書が棚に並んでいる場所を図書館というのです。
今日のまとめ
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