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porta

本の扉をひらくと私は好きな世界へと

飛んでいくことができるの

今日はアフリカの仮面をつけて

皆とおどりを踊ったわ

物語と現実の境界がまだはっきりとしていない幼い頃、人形が動くことを信じていたり、絵本やアニメの世界の中に私が入り込んだりしていました。ニルスやスプーンおばさん、とんがり帽子のメモルなどの物語は私にとって夢の世界だったのです。

「お母さんすずめがちべたいちべたいて泣いてるよ」

私が3歳ぐらいの頃、母が私を自転車に乗せて雪道を走りながら聞いた私の呟きを愛おしいそうに時々思い出しては話してくれます。その話を聞く度に何だか涙が出そうになります。何故かな。仙台では生まれてから4歳の手前まで住んでいたけれどその時のことは残念ながら殆ど記憶に残っていません。お向かいの農家に暗い納屋があって二階にお姉ちゃんやお兄ちゃんたちが梯子を使って登っていくのを一人見上げていたことだけはぼんやりと覚えています。あの暗闇で皆は何をしているのかな?怖くないのかな?と待っている間空想をしていたように思います。待つのは嫌いじゃなかったかもしれません小さな頃から。

だれでも空想の扉を持っている。

その扉に気づかない人もいる。私が彫るものはその見えない扉のようなもの。そこにあることで景色が現れて風がそよぎ草が揺れて葉が擦れる音がして青い香りが鼻の先にふれるまで私は扉を彫り続けているのです。

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