HACCPを上手く使うために⑨ ~手順2 製品の記述 +ハザードとしてのアレルギー~
こんにちは! あたたけ です。
引き続きHACCPの話です。
今回は『HACCP 手順2 製品の記述』の続きです。
前回、教科書的には手順3(意図する用途)とあわせ、
製品仕様書(規格書、説明書)を作成することを書きましたので、
今回は製品仕様書の記載項目(例)について
気をつけるべき点を見ていきましょう。
※前回の復習になりますが、製品の記述の目的が
『何から何を作るのか、スタートとゴールを明確にする』
ということをお忘れなく!
①製品名/製品の名称・種類
まぁ、そのままですね。
どの製品の仕様書かわかるようにしましょう、というだけです。
製品名は『自社内でわかる区分』、
製品の名称・種類は『法律等で決められた区分』と捉えてOKです。
『どの製品の仕様書かわかる』だけであれば『製品名』のみでOKですが、
後で出てくる『成分規格』は『法律等で決められた区分』と関連しますので
製品の名称や種類ここで明確にしておくのが良いのかなぁと思います。
ちなみに、製品仕様書だけではありませんが
製品の種類が多い場合、製品の規格や製造工程などを考慮し
類似の製品をまとめることも可能です。
そのような時は、製品名ではなく、『製品分類』等にしてOKです。
例:おにぎりの種類はいっぱいある! けど、中身が違うだけ!
⇒製品分類を『おにぎり』として、まとめて考える。
②原材料に関する事項
前回の記事で説明した箇所ですね。
『表示する内容』ではなく、『使用する原材料』を記載しましょう。
『使用する』なので、水や揚げ油、容器包装まで含まれます。
③添加物の名称・使用量
これも原材料と同じく、ハザード分析を行う上で大切なのは
『表示する内容≒使用原材料に含まれる添加物』ではなく
『自分たちで使用する添加物』です。
『使用基準』がある添加物は『使用基準の逸脱=法律違反=ハザード』、
『微生物制御が目的』の添加物は『配合が少ない=微生物増殖=ハザード』
となりますので、明確にしておきましょう。
④アレルギーに関する情報
原材料および添加物に関連して、
『製品に含まれるアレルギー物質』を明確にします。
①で『類似の製品をまとめる』と書きましたが、
アレルギー物質まで考慮するとまとめられないかもしれません。
記載がないアレルギー物質の混入防止を考える(≒製造順を考える)際に
参考とするためにも、アレルギーに関する情報については、
製品分類に入っている個別の製品ごとの一覧などにすると
わかりやすいかもしれません。
◇ハザードとしてのアレルギー
さて、ハザード分析を行う際、
『製品に記載がないアレルギー物質の混入(以下、コンタミ)』が
ハザードとなります。
ですので、その製品に表示しているアレルギー物質が
『特定原材料のみ』か『特定原材料に準ずるものまで』か、によって
ハザードの範囲(≒コンタミ防止に取り組む労力)が変わってきます。
世の中の商品を見ていますと、
準ずるものまで(=28品目)表示している商品が
けっこう多いと感じます。
各メーカー様では真摯に取り組んでいただいていると思いますが、
『本当にコンタミが起こっていないの?』とか
『大変だろうなぁ・・・』とか考えてしまいます。
実際のところ、アレルギー物質のコンタミ管理は、
以下のような理由でとても難しいと感じています。
・動線や作業区分は『微生物の交差汚染対策』が中心で考えられている
・種類が多い
・コンタミ後の除去がとても困難
アレルギーは命に関わる『重篤性の高いハザード』ですので
コンタミ(≒食材の相互汚染)を起こさないような管理が大切ですが
『表示(注意喚起表示含む)』と『コンタミ管理』のバランスを考えないと
形だけの管理手法になりかねないと思います。
※注意喚起表示の是非については、いろいろな意見があると思いますが、
あたたけ的には、現実問題としてコンタミをゼロには出来ないので
いたし方ない制度のかなと思います。
食物アレルギー症状をお持ちの方からは非難されるかもしれませんが、、
今回はこの辺りで。
製品仕様書の以降の項目は次回にします。
ということで、今日の一言です。
『表示とは、お客さまに対しての責任。
理想と現実を見て、何を表示するか決める。
理想だけの表示では、結局、お客さまに迷惑をかける。』
それでは、今回はこの辺りで!
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