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HACCPを上手く使うために⑧ ~手順2 製品の記述の目的は?~

こんにちは! あたたけ です。

引き続きHACCPの話です。

前回からようやく『HACCPの7原則12手順』に入りました。
今回は『手順2 製品の記述』を考えます。

スライド1

教科書的には、手順3(意図する用途)とあわせ、
製品仕様書(規格書、説明書)を作成する、みたいに書かれています。

スライド2

さて、食品衛生に関わる人が見れば、
これら項目が『食品表示』に繋がることがすぐにわかります。
で、『表示関連項目は、表示の資料(もしくはラベル)でOK!』と
大きな勘違い
をしてしまうわけです。

なぜ、この考え方は勘違いなのか?
まずは、製品の記述に関して、大元の文書(CODEXのガイドライン)の
日本語訳を見てみましょう。

2)製品を記述する
 製品の十分な記述には、組成、物理的/化学的構造(水分活性、pHなどを含む)、微生物殺菌/静菌処理(加熱処理、冷凍、塩漬、燻煙など)、包装、保存性と貯蔵条件および流通方法のような関連した安全性情報を含めて作成されるべきである。・・・・以下略

※CODEX文書の訳は下記、日本食品衛生協会様HPを参照いたしました。
 (最新版ではないですが、、、概要の理解には充分ということで。)


さて、文書中には記載項目として『組成』という言葉があります。
これがけっこう、誤解を招いてるのかなぁという気がします。

あたたけの場合、『組成』と書くと、『成分』というイメージになります。
で、製品の成分って考えると、食品表示の『原材料表示』、
つまり、最終製品のことが思い浮かぶ。
さらに、他の項目も製品に関わることなので、
最終製品のことで問題ないと考える。

でも、この段階(HACCPプランを計画する準備段階)で
(原材料表示で示される、)製品の成分がどこまで大事なんでしょう?

アレルギー表示や添加物表示は『何が入ってはダメか』考えるため、
何が入って良いか明確にすることは大事です。
ですが、他の成分は何のために知る必要があるのでしょう?

と考えていくと、この組成っていうのは
『製品に入っている成分』じゃなく
『製品を作るための成分』、つまり、
『使う原材料』じゃないかと思います。

この『組成』、原文では『composition』と記載されています。
『構成物』みたいな訳の方が、誤解を招かない気がします。
(英語がダメダメなあたたけがつっこむのも申し訳ありませんが)

製品の記述というものは、
『HACCPチームで最終的に目指すもの(≒ゴール)を共有するための資料』
ですが、
『どんな製品を作るのか』だけではなく、
どんな原材料からどんな製品を作るのか』示さないとダメなんですよね。

だって、ゴール(≒製品)がわかったとしても、
スタート(≒原材料)がわからないと
道(≒管理手段)を決めようがありません
から。

スライド3

※最初に書いた『食品表示』は、あくまで製品の情報のことです。
 表示を作る際には、当然、原材料の情報から作りますので
 原材料⇒製品という流れは、HACCPも表示も同じです。
 ですから、『製品仕様書』と表示の資料を関連させることは
 決して間違いではありません。
 まとめておいた方が、更新モレも防げますし。。。。
 HACCPでは『組成(≒製品)』ではなく『構成物(≒原材料)』を
 明確にすることが大事ということだけお忘れなく。

ちなみに、『原材料の情報(いわゆる原材料規格書)』というものは
自分たちには原材料の情報ですが、仕入先にとっては『製品の情報』です。
ということは、HACCPをうまく使いこなせば、
自分たちの問題だけでなく、仕入先の問題解決、お客さまの事故防止まで、
つまり、フードチェーン全体の食の安全性確保に繋がる、
と言えるのではないかと思います。

スライド4


各項目の解説は、、、長くなりそうなので次回にします。

ということで、今日の一言です。
製品の記述は、「何を」作るのか、だけではない。
 「何から」「何を」作るのか、スタートとゴールを明確にする資料。

それでは、今回はこの辺りで!

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