身近な留学先としてのフィリピンという選択肢
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

身近な留学先としてのフィリピンという選択肢

語学留学など考えたことのない私にとって、英語学習を目的とするならば行き先はアメリカやイギリスなどが当然選ばれるのだと思っていた。
なので、フィリピンが語学留学先として上がることに意外性を感じたのが、本書を手に取った際の初印象だった。

東南アジアに位置するフィリピン共和国は、多国語国家である。母国語となるのはタガログ語だそうだが、7000以上の諸島からなる島国のため、主要に使われる言語だけでも8種はあるらしい。そして、フィリピン国内の公用語のひとつとして英語が広く使われている。

2020年時点のデータでは、国別の英語話者の割合ランキングでフィリピンは第4位となっている。約8割のフィリピン人が英語を使いこなしているという。
ちなみに、1位は当然アメリカ合衆国となるのだが、2位はインド、3位はパキスタンだ。私の拙い想像ではヨーロッパ圏の方が英語話者が多いイメージであったが、6位になってやっとイギリスが登場する。

英語話者の多さからアメリカ企業のコールセンターなども多く設置されるフィリピンは、韓国人の創立した学校を起源とし、今や日本人経営も含めて多くの語学学校が存在する。
どうせ留学するならネイティブの教師にと思ってしまう人も多いだろうが、母国語として英語を話せるからといって人に教えるのが上手とは限らない。
その点、フィリピン人教師は自身も英語学習者であり、教育経験に特化しているのだ。

10時間以上飛行機に乗らないと行けないアメリカより、4時間程度で到着出来るフィリピンでしっかりと英語教育が受けられるのならば、留学先の候補地としてあげるのに申し分はない。

まずは留学を成功させるために必要なことを知る

コロナ禍の2021年現在、語学留学に行くのは残念ながら困難だ。それでも本書は来たる日に留学を考えている人はもちろん、英語学習に関心を持つ多くの人に推薦できる内容である。
なぜなら、フィリピン留学の魅力の紹介に主軸を置きつつ、日本人が英語を第一外国語として取得するためのノウハウがふんだんに紹介されているからである。すぐに留学に行くことが出来ずとも、その下準備として自身の現時点での英語力とその弱点、また、留学の目的をブラッシュアップするのに本書は頼りとなる指針を与えてくれる。

英語しか話せない環境に身を投じれば英語が話せるようになると思う人もいるだろう。だが、旅行で海外に行った際のことを思い出して頂ければ自明の通り、最低限の会話だけでも海外で過ごすことは案外可能なのである。それは滞在期間が長くなったところで大きな差はないだろう。

格安で留学が叶うフィリピンといえども、1ヶ月滞在を想定した最低額15万円から、1年間滞在では200万円台が相場だ。アメリカへ留学を考えた場合、25万円から500万円近くのコストがかかる。アメリカと比較するとフィリピン留学は確かに手を出しやすいが、それでも無駄にするには惜しい額だ。

留学を有意義なものとするポイントとして、本書では自分のパーソナリティを知ることと、留学の目的を明確化させることが強調されている。そして、現状の分析と、課題をクリアするために必要な下準備と、理想的な留学先の選び方が具体的に記載されている。
結果的にフィリピン留学を目指すか否かに関わらず、英語の習得に本気で取り組んでみようと考えた時、本書を指針に現状と目的を明確化させられれば英語学習はより有意義なものとなるだろう。

英語が話せないのは英語力の低さ?コミュニケーション能力の低さ?

本書では語学学習を「英語力」と「コミュニケーション能力」に分けて捉えている。日本人の我々は日本語での日常会話に困ることはない。だが、話のうまさは日本語能力以上にコミュニケーション力によるところが大きいことを知っているはずだ。

それは英語でも当然同じこと。英語を習得しようと思う多くの人は、英文法やリスニング、発音の正しさなどを課題捉えるだろうが、そもそもコミュニケーション能力が低い人は言葉を変えたところで流暢に話せるわけがない。考えてみれば当然のことだが、盲点となる場合も多いのではないだろうかと感じた。
逆に、芸人の出川哲郎氏のようにコミュニケーション力に優れた人の場合、英語力がそこそこでも会話が成立してしまうことがある。伝わるのでそこで英語力も伸び悩むケースもあるそうだ。

このように語学学習にはその言語そのものの知識に加え、コミュニケーション能力が必ずついてまわる。
言葉は他者とのコミュニケーションツールであることを忘れてはいけない。言語学者を目指すのではない限り、何より必要なのは学んだ言葉を実際に使う経験だ。
自分が英語を話せないのは、英文法や習得している単語数の少なさだろうか。あるいは、そもそも日本語でもコミュニケーションが苦手だろうか。まずはそこをあらためて見つめ直すことが必要だ。

本書の後半では具体的な留学先の紹介を、「周りに流されやすい人」「無口な人」「言葉を選ぶ慎重な人」「自分の意見がない人」「忍耐力がない人」というパーソナリティに分けて記載している。
TOEICやTOEFLの点数だけで割り振るのでははないということが、コミュニケーションを目的としての語学留学という点を非常に真摯に考えての分類だと感じた。

英語を話すために必要なこと

リーディングの重要性についても新たな気づきを与えられる内容があった。
義務教育で英語を第一外国語として学習する日本人は、こと大学受験を経た場合、英語の文章を読むことについてはそこそこの能力を発揮出来る人が多い。実際、英会話には自信のない私も文字になっていれば長文でもある程度その内容を理解することが出来る。

そのため、英語を話せるようになりたいと願う日本人は、義務教育や大学受験の過程であまり触れてこなかったスピーキングやリスニングに注力しがちだという。だが、著者はスピーキングやリスニングのために、リーディングは重要であると述べている。
ここでいうリーディングは、黙読のことではなく、音読だ。音読の重要性の証明として、小学校の国語の授業で音読をすることに触れられていた。確かに、低学年の内は教科書の音読を授業でやっていた記憶がある。考えてみればこれも当然のことだが、「口にしたことのない言葉は使えない」のだ。

英語の授業においても例文の音読などを行うケースもあるだろうが、圧倒的に口に出している時間が足りていないのだろう。文字情報として英語が読めても、口が英語にまだまだ慣れていない日本人は非常に多くいるだろうと感じた。
今やCD音源付きの英語教材は豊富にある。音読のリーディングで口を慣らす練習は国内にいても行うことが出来る。

第5章では『留学前の事前学習』として英語学習のヒントがまとめられている。先述の音読の重要性の他、中学レベルの文法と単語は必須であること、時制表現は現在・過去・未来をまずは抑えることなど、非常に具体的な内容が書かれている。参考となる書籍なども紹介されているので、すぐに準備を始められる。
ある程度英語の学習経験がある人ほど、何が足りないのかわからなくなりがちだろうから、より具体的に学習ポイントや到達レベルの目安が書かれているのはありがたい。

本書は英語学習の課題と目的を見直すための指針となる

本書のメインテーマは、格安で大きな効果を得るための留学先として、フィリピンの語学学校の強みを紹介することである。だが、海外渡航が困難な現在においても、英語学習に本気で取り組もうという人に向け非常に有用な内容が含まれていた。
タイトルだけだと留学に関心のない人はスルーしてしまうかもしれないが、留学仲介エージェントとして働いている著者の豊富な実経験と、留学経験者の声を踏まえてのアドバイスは理にかなっており実用的だ。

今や、スマホがあればリアルタイムで翻訳を見ながら英語で会話をすることが可能だ。だが、日本語は英語と文構成の組み立て方が大きく異なる言語であり、直訳では意図が通じにくい点も多くあろう。最低限の伝達ならば困らないだろうけれど、英語圏の人々と豊かなコミュニケーションを取りたいと願うなら、やはり自身である程度英語力を身につけることは重要である。

勝手にハードルを高く感じていた留学も、アジア圏にすればコストを抑えられるし、長々と飛行機に乗らずとも辿り着ける。英語が話せるようになれたらなあ、と漠然と思っている日本人はたくさんいるだろうが、コスト面や必要な期間がネックになっている人にとって、フィリピン留学という選択肢は行動を躊躇う理由をひとつ減らしてくれる。

本書の初版は2016年であり、現在とは状況が異なる点も多くあるだろう。だが、英語の学習方法や、留学先を選ぶ際に留意する点などは普遍的な内容が網羅されている。実際の留学先や、あるいは留学以外の方法を検討する際には別途最新情報の精査が必須であろうが、英語を習得するための方向性は本書を通してだいぶ明確になるはずだ。

書籍情報

英語は「フィリピン」で学べ! 短期集中 マンツーマン 格安の語学留学
初版 2016年12月26日発行
著者 中谷よしふみ
製作/発行 プチ・レトル株式会社


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
リアクションありがとうございます
ライター✒︎特撮、マンガ、映画、旅行、育児、医薬✒︎好きなジャンルをとことん追究。