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『アナログロマンス』のお話 / The Monologue about Creation of "Analog Romance" by daraku (cover)

こんばんは。Asukadogです。
今回は、2024/08/09に投稿した、アナログロマンスの歌ってみたについて色々と綴ってみようと思います。

なお、ただのファンの妄想ですので、イメージが壊れるかもしれません。
そういうのが嫌な方はブラウザバック推奨です。

アナログロマンスの魅力について

原曲はボカロPのdarakuさんによって、2023/06/04に投稿された『アナログロマンス / 初音ミク』です。BPMは134。

投稿時期は初夏ですが、どこか晩夏の昼下がりを思わせるような音作りとイラストが特徴です。イラストはみふるさん。

darakuさんは元々『GEDO』『ウォーキー・トーキー』『タリラ』などで存じ上げておりました。Asukadogの推しボカロPの一人です。『GEDO』も歌わせていただいております。

私が思うdarakuさんの特長は、「作る曲のジャンルの幅の広さ」「音作りのプロ感」「ノりやすさ」などです。
この『アナログロマンス』は今までの作品ともだいぶ違う世界観の楽曲となっています。夜っぽい曲やアウトローっぽい曲が多かったんですよね、今まで。

そんな時、突然『アナログロマンス』が投稿されて本当に興奮しました。え、なんか爽やかそうなサムネだぞ!!と。
そして聞いてみました。イントロ。なんて爽やかな音なんだと。そしてサビ前の展開のエモさ。特にサビのメロディの『僕らは遠ざかる愛を』のあたりは本当にエモいです。
どこか、back numberの『SISTER』を彷彿とさせる展開だなと感じました。

歌詞も秀逸

darakuさんの楽曲はノリがいいものが多いのですが、その理由の一つに「言葉選びのうまさ」があると思っています。

例えば、『GEDO』では「制裁を」「単細胞」を同じメロディで使うことで同一のノリを生み出しています。『ディスバリズム』では、「しっちゃかめっちゃかニッチなパーティーは」で独特のリズムを生み出しています。

今回のアナログロマンスも歌詞が作りこまれているなと感じましたが、今までのいわゆる「韻を踏む」ような歌詞の作り方ではなく、情景が目に浮かびやすいように視覚的な表現(言葉)が多く散りばめられているように感じました。
(自転車、水色の午後、飲みかけのサイダー、目を焼く季節、川の水面、空高く登ってった煙、錆びてる自転車など。いずれも夏、それも田舎寄りの日本の夏を連想させる言葉です。)

加えて、時間表現も秀逸です。言葉の端々から、いま目の前で起きていることじゃなくて、回想しているんだろうなぁ、懐かしんでいるんだろうなぁという事が読み取れます。
(まだ思い出す日々のこと、夢見がちだった景色にもうさよならしなくちゃ、もう一度だけ、抱きしめていた欲しいものすべてずっと守れると意地を張ってた、もう君にさよならしなくちゃな、など。)

『アナログロマンス』歌詞

そもそも、『アナログロマンス』とは何なのか。
アナログの正確な定義、皆さんは知っていますか?
私、歌うにあたってこれを調べたところ、こんな感じでまとめることができました。

アナログ・・・デジタルとの対比。時間の流れであれば、それを連続的に捉える手法。連続した量を他の連続した量で表示すること。

まあ難しいんですが、キーワードとしては「連続性」「相対的」といったものがあげられるのかな、と。

さらに、アナログと聞くと皆さんは何を連想するでしょうか。
おそらく「アナログテレビ」や「アナログ時計」「セピアがかった映像」などじゃないかなと思います。

そしてロマンスですが、デジタル大辞泉によると以下の通りに出てきます。

空想的、冒険的、伝奇的な要素の強い物語。特に中世ヨーロッパの、恋愛・武勇などを扱った物語をいう。ロマン。
恋物語。恋愛小説。
叙情的な内容の歌曲あるいは小規模な器楽曲。
男女の恋愛に関する事柄。恋愛事件。
[補説]元来は、ラテン語の俗化したロマンス語で書かれた物語の意。

「アナログロマンス」はおそらく造語だと思われますが、この言葉から「懐かしさ」「過去の話」「恋愛」、もしかしたら「青春時代」までも連想できるかもしれません。

イラストについて

イラストにも注目しましょう。とても爽やかな印象を感じるこのイラスト。あと女の子がめっちゃ可愛い。しかし、深掘ってみるといろいろなこだわりが分かります。

アナログロマンス サムネイル(みふる様 画)

まずはイラスト全体ですが、拡大してみてみると、アナログノイズがかかっているのが分かるでしょうか。私は絵についての知識は乏しいのですが、鮮やかな青にノイズをかけることで、どこか懐かしさを感じるような印象を与えています。

描かれている雲は、夏の雲ですよね。夏によく見られる入道雲が、傾きかけた西日に彩られているような感じに見えます。

さて、風景は晴れている昼~夕方という印象なのに、どこか涼しげな印象さえあるのは何故でしょうか。それは、少女の姿がすべて影がかかったように描かれているからだと思います。この情報によって、少女が日陰にいることが分かります。

さらに、前から吹く穏やかで涼しげな風を感じているような少女の表情も素敵です。髪のなびき方からも、緩やかな風が前から吹いてきていると推測できます。

解釈

以上の状況から、2通りの解釈ができると思っています。

ひとつめは、田舎の方の小高い丘の上に屋根付きの休憩所があって、二人で風を感じながら休憩しているところ。晩夏を想像させるような情景描写から、「もう夏休み終わっちゃうね~」みたいな話を二人でしているんでしょうか。その横顔が視点主の印象に焼き付いているんでしょうね。

ふたつめは、自転車の後ろにこの少女が座って二人乗りをしながら、木陰のある田舎道を緩やかに下っている思い出。冒頭の「走れ自転車愛しのロマンスを必死に追いかけた水色の午後まだ思い出す日々のこと」という歌詞とこのイラストから、この情景もありありと浮かんできます。

いずれにせよ、学生時代のこの思い出は「私」にとって素敵で忘れられな思い出で、でもその時間に今は戻ることはできない。
夏の終わりが近づくといつもこんな日々を思い出して、嬉しいような、懐かしいような、ちょっと寂しいような気持ちになっているのではないでしょうか。でも、きっとこの過去とは決別していると思います。過去への後悔などが前面に出てくるような歌詞や音作りではないので。この思い出はきっと、心の中の宝物のような大切な部分の一つを担っているのではないのでしょうか。

みなさんはどんな風に感じましたか?

歌ってみた制作について

本当に大変でした。ものすごく時間がかかりました。その期間なんと3ヶ月。

というか、本当は去年UPするつもりだったんですけど、その時は実力が足りなかったので、実質1年2ヶ月くらいかかってますねこれはwww

「なぜ大変だったのか」ですが、一番の理由は、こういう「歌謡曲」とでもいうのか、いわゆるPOPsを歌ってみたで歌ってきていなかったためです。純粋に経験がなかったので、どうやって表現すればいいのか、どんなふうにすれば自分の中の思いが表に出てくるのかがイマイチわかりませんでした。

普段、歌ってみたを作る時は、1番~サビまで仮で録音して、簡単にmixしてみて、歌唱や音の方向性を決めているのですが、これは「これじゃない感」がすごく強かった。実際に仮で作ってみたときの音源がこちらです。

まず、仮音源作る時点で2か月かかってるんですよねwww
そこからもどれだけ苦戦したのかわかっていただけると思います。

現在公開している完成版の音源と大きく違うのは、サビの歌い方ですね。

今まで歌ってきた曲の中で私が得意だなと思ったジャンルが、ファンクやロック、EDMなどのジャンルです。具体的に言えば、A4。さんの楽曲やてにをはさんの楽曲などです。それらの楽曲は、「ハネ感」のあるリズムであることが多く、語尾の処理をフォールかつ細かく切ることを意識して歌ってきました。もともと自分の歌にそういう性質があったので、そこを生かした感じです。

一方この「アナログロマンス」では、その感じでサビを歌うと、どこか伸びやかさが足りないというか、「何か違う」感がぬぐえませんでした。上のXのポストを聞いてもらうとわかると思います。

転機となったのは、家族で行った秋田旅行です。

もともと、仕事続きでいろいろ根詰めてしまい、羽を伸ばしたいな~という気持ちがあって東北への旅行を決めていました。アナログロマンスの制作もちょうど煮詰まってしまっていたタイミングだったので、自分の中の心象イメージに秋田の田舎の観光地のほうが丁度合いそうだな、という事もあり、秋田へ赴きました。

旅行の途中、田沢湖へ訪れたのですが、ここが本当に良かった。海かと思いました。

田沢湖①
田沢湖②
田沢湖③

波打ち際を、手ぶらで、「アナログロマンス」の原曲を聞きながら、歩いたり走ったりしました。そこで気づいたのは、自分の歌い方には伸びやかさがないという事。もっというと、伸びやかな発声ができているのに、タイム感が失われるのを恐れて、フレーズをつなげて一息で歌いきることをしてこなかったという事。

先ほどの仮音源を聞いてから、今youtubeやニコニコ動画にアップしている歌ってみたのサビを聞いてもらうと、フレーズをつなげてのびのびと歌えているのが分かると思います。

さらに得たものはこれだけではありませんでした。フレーズをつなげて歌うことで、発声上、音が響く位置を変えずに歌いやすくなることに気づきました。そのおかげで、生歌の安定感がものすごく増しました。思わぬ副産物でした。


その他のこだわりポイントは、2Aの「空高く登ってった煙」のフレーズとそれに続くコーラスです。

原曲では、「煙」のあとにディレイが続きます。

しかし、歌ってみたでは「煙」のタイミングをちょっとずらしてレイドバックさせたため、ディレイをかけたときにおかしくなりました。

そこで、コーラスを追加することにしました。歌詞が「空高く登ってった煙」だったため、夏の空に昇っていく煙をイメージして、音程が上がり続けるコーラスにしました。ここはいいアレンジができたなと思っています。


すっごく長くなりましたが、ここまで読んでくれてありがとうございます。
自分にとってすごく好きで大切な曲なので、3ヶ月もの期間をかけてゆっくりと納得いくまで制作ができたのはうれしかったです。この経験は間違いなくこれからの音楽活動にとって財産だと感じます。

本家と自分の歌ってみた、どっちも聞いてね~!!!
聞いてね~~~!!!!


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