「GIGAスクール構想」ってなに??【知っておきたい教育キーワード】

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こんにちは。asukaaaです。

昨年末ぐらいから、「GIGAスクール構想」という言葉が話題になっていますね。

そんな言葉初めて聞いたけど一体なんのこと?という方もおられるでしょう。

というわけで、今回はGIGAスクール構想やテクノロジーを活用した教育についてお話したいと思います。

この記事は小学校〜高校生、特別支援校に通う・進学するお子さまを持つ保護者の方や先生方に向けて書いています。

また、GIGAスクール構想によって新たな雇用や市場ニーズが生まれることが予想されますので、テクノロジーに少しでも興味がある方にとっては参考になる内容になると思っています。

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文科省の「GIGAスクール構想」って?

まずはGIGAスクール構想とは何か?という説明をします。

GIGAスクール構想は「Global and Innovation Gateway for All」の略です。

これだけ聞くと意味不明ですが、ざっくりまとめると、「国がお金を出すので学校で1人1台のPCまたはタブレット端末と高速大容量インターネットを用意して、デジタル教科書も使っていきましょう。」ということです。

2019年に閣議決定され、端末や学校の通信設備に必要な経費を組み込んだ補正予算案が可決されました。

実際に導入が始まるのは2020年度から。通信設備の整備などは段階的に進められていきます。

GIGAスクール構想の実現パッケージ 文部科学省

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今までの政策とどう違うの?

これまでも学校現場におけるテクノロジーの活用は議論されてきましたし、コンピュータやタブレットが導入される事例はありました。

しかし、今回は少し違うのです。

先ほども述べたとおり、GIGAスクール構想では「PCやタブレットを1人1台支給」「インターネット設備の整備」などが盛り込まれているのですが、政府はこれらの整備を2025年度までにすべての学校においてを完了することとしています。

GIGAスクール構想によって導入されるPCおよびタブレット端末の数は1,000万台以上。予算もこれまでとは比較にならない規模となります。

現在、各都道府県は大手PCメーカーなどと話し合いを進め、どういった端末を導入するか協議を進めています。

ちなみに1台あたり45,000円の補助が出るので、一般的なPCをそのまま購入することはできません。

文科省が定めた「標準PC」というのがあるのですが、PCメーカーはこの標準PCに準拠した「GIGAスクールPC」という比較的安いパッケージを打ち出し、行政に向けてアピールしています。

日本の企業もこういったハードウェアを発表しているのですが、使用が想定されるソフトウェアは、Apple・Google・Microsoftといった米国大手IT企業が提供している製品です。ここでも日本企業のソフトウェア部門の弱さが露呈してしまっています。

これまでICT環境を積極的に整備してきたのは主に私立学校でした。公立の場合は市町村や都道府県単位でまとめて導入を決める必要がありました。

今回のGIGAスクール構想推進によって、そうした公立校においてもテクノロジーの導入が加速するのが大きなポイントです。

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学校はどう変わっていくの?

では、これにより学校教育はどのように変わるのでしょうか?

これまでの授業は先生が教壇に立ち、一括で授業を進める形がほとんどでした。

ところが生徒一人ひとりが端末を持つと、授業のスタイルは大きく変わります。

例えば算数であれば画面上に問題が表示され、先生がすべての子どもの回答をリアルタイムで確認し、習熟度もチェックしながら授業を進めることができます。

生徒によって理解度は異なりますから、つまづいている生徒には重点的な知識の補充ができますし、どんどん進みたい生徒は他の子どもを待たずに問題を解いていくことができます。

こうした教育が浸透することにより、「誰も取り残されない学習」の実現に近づいていくでしょう。

社会や理科の科目では調べ物学習においてPCが役立ちます。

今までは図書館などで資料を探していましたが、ネット検索を活用することによって授業がスピードアップ&内容の充実が期待されます。

同時に、コピーライトなど知的財産権に関する授業もこの過程で可能になります。

国語ではPC上で作文や読書感想文などを作成しながら、タイピングまで学ぶことができます。文章読解の授業でも、ネットワーク機能を使って生徒同士のディスカッションにも役立てられます。

また、理解度によって問題をコーディネートしてくれるようなAIドリルやデジタル教科書の活用も想定されています。

紙媒体の教科書によってはQRコードが印刷されており、タブレットなどで読み込むことによりオンライン資料にアクセスすることができるものもあるそうです。

さらに、2020年からプログラミング教育が必修になることもこの構想と大きな関わりがあります。

必修化により「プログラミング」や「コーディング」といった科目が増えるわけではないのですが、算数や理科といった科目の中でプログラミング的思考を養うような授業が取り入れられることになっています。

また、将来的に本格的なプログラミングを学ぶ際もコードを書くのに使うのはPC上ですから、早いうちにPC環境に慣れていくことには大きなメリットがあると言えるでしょう。

変化が起こっていくのはハードやソフトの面だけではありません。

教員や職員の役割も大きく変わっていきます。

PCの操作方法はもちろんですが、SNSやインターネット利用のリスクなど、ITリテラシーについての教育をするのも現場の先生の仕事になります。

これまでのような受け身の授業とは違い、生徒が調べ物をして発表するなど、自ら授業を進めていく学習を「アクティブラーニング」といいます。

アクティブラーニング型の授業においての先生の役割は「教える」ことよりも「サポートする」ことが中心になります。

少し前のことですが、ICT教育が進んでいる北欧デンマークでは「ティーチャー」という呼び方を廃止する議論がありました。

現代の教育は、答えありきの問題を解かせるだけではなく「答えのない問題」について生徒同士が議論をすることが増えています。

極端な話ですが「答えがないなら教える者も必要ないだろう」という意見が出たそうです。代わりにどのような言葉がふさわしいかと聞くと「ファシリテーター」だというのです。

教室に25人の生徒がいれば25通りの答えがあります。どの答えがより正しいかは生徒による議論が必要で、教師の役割はファシリテーターとして結論にたどり着くのをサポートすることだそうです。

もちろん日本において呼称を変える議論が急に起こることはないでしょうが、学校における教師や職員の役割が変わっていくことは間違いないでしょう。

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心配なことはないの?

もちろんGIGAスクール構想によってもたらされるのはメリットばかりではありません。

PCやタブレットが生徒の手元にあることで、「遊びと学びの境目があいまいになってしまう」という懸念を持つ人もいます。

各生徒が個人の端末を持つとなると、「管理はどうするのか?」という問題も出てきます。

家に持ち帰るとなると、登下校時に落としてしまうかもしれませんし、学校で保管するのであれば充電の場所やそれなりの警備が必要になります。

また、ITリテラシーやネットの正しい使い方を教える教師のスキルを疑問視する人もいるでしょう。

教師はPC上で生徒の個人情報などを保管します。「教師が生徒のテスト答案を紛失」なんてニュースをたまに見かけますが、これからは今まで以上に徹底した管理の意識が必要になります。

GIGAスクール構想では「ICT活用アドバイザーによる説明会・ワークショップ」や「外部からのICT支援員の活用」などの方法で教員や職員を支えるとしています。

しかし、新しいハード・ソフトの導入に対して「人間の指導」は時間がかかるものなので、果たして追いつくのか?といった問題もあります。

若い人は大丈夫かと思いますが、そうでない古い考えを持った先生達はマインドをアップデートしてくれるのでしょうか?

いずれにしても実際の現場で働く先生方の負担が増えることは間違いなしですので、改善のためのフィードバックがしっかりと伝わり、反映される仕組みができていくことを期待したいですね。

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保護者はどう準備していくべき?

では、実際に学校に通うお子さまを持つ保護者の方々は何をすれば良いでしょうか?

まずは、おうちにあるタブレットやスマートフォンを触らせてみることから始めましょう。

「ゲームばっかりしそう」「ネットには危険もあるし見せたくないものもある」

という声も聞こえてきそうですが、これからの時代にテクノロジーやインターネットから自分たちを切り離して暮らすことは絶対にできません。

これまでの保守的なマインドは少しだけアップデートしてみましょう。

大事なのは「リスクを理解しながらテクノロジーをどう上手く使うか」を教えることです

よくある例え話ですが、海や川に連れて行かずに魚釣りを教えることはできませんよね?「流れが早い場所や波が高いところには近づいてはいけないよ」と理解させながら魚釣りを教えるのが親の役割かなと思います。

社会の変化はますます早くなっていきます。特にテクノロジーの分野の変化は顕著です。そんな中で「変化を恐れずテクノロジーを素早く学び、賢く使う姿」を見せられる大人は、子どもにとって素晴らしいロールモデルになります。

また、小学校でのプログラミングの必修化に備えてロボット教材やプログラミング教室を検討している方も多いようです。

楽しみながら学び感覚を掴むことで、早い段階でテクノロジーに対するハードルを下げることも大切ですね。

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さいごに

変化が起こり続ける社会においては、「変化を楽しむこと」「戦略的に学び続けること」が大事になってきます。

とりわけ次の10年の間には「AI」により、「仕事」が大きく変容すると予想されています。

数学者の新井紀子氏は著書『AI vs 教科書が読めない子どもたち』の中で、「AIがMARCHレベルの大学に合格可能になってきている」と述べています。

これまでは競争する相手が人間でした。しかしこれからの時代は、「人間にできてAIにできないことは何か?」を考えて行かなければなりません。

これまでの日本の教育は「正解」があり、その「正解」をいかに早くたくさん集めるかが大事とされてきました。

その「正解」は知識の積み上げによって導かれるものがほとんどでした。

しかし、AI時代に必要なのは「なぜ?を問うこと」「知識と知識をつなげること」「新しいアイデアを生み出すこと」です。

そのことは、国際的な学力テストPISA(Programme for International Student Assessment)の結果でも顕著に表れています。

日本の子どもたちは科学的リテラシーで2位、数学リテラシーで5位と健闘していますが、読解力では8位でした。

「言葉を定義し、持っている情報を利用することによって答えを導き出す」能力にオポチュニティがあるようです。

この能力は暗記ではなく、自分で調べて、周りとディスカッションをし、納得できるまで深く深く考えることにより身につくものです。

端末1人1台体制を目指すGIGAスクール構想はまさに、こういったアクティブラーニングに最適な環境であり、国際的に遅れをとった読解力の向上が期待されています。

同時に、僕たちのような今の20代や30代は「学生時代は終わったから」とタカを括らず、大きな危機感を抱くべきです。

「GIGAスクール世代」が社会に出てくる10年後、15年後に淘汰されないためにも新しいスキルを習得し、自分自身の市場価値を高め続けなければなりません。

AIをはじめとしたテクノロジーにより、多くの仕事が消滅し、今では想像もつかない新たな仕事が登場します。

その時のためにも、過去の成功にとらわれることなく常に変化していくことが大切です。

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外資系IT(GAFAMのどれが)で働いています。でもかなりのポンコツです。現在転職活動中。noteでは「在宅ワーク」「時事」「小売」「チーム」「リーダーシップ」的なことについて書こうかと思っています。
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