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【試し読み】新・箇条書き思考(12月新刊のご案内)

「会議」「商談」「ノート」「チャット」「SNS」
箇条書きが「書く仕事」の成果を変える!

「書く力」が今まで以上に求められる時代になりました。
もっと言えば「書く力があれば、それだけで稼げる時代になった」とも言えるでしょう。
なかでも、誰もが使っていて、なじみのある文章技法が「箇条書き」です。

本書では、見過ごされがちな箇条書きにスポット当て、そこから長文を書くまでの一貫した手法をご紹介します。
レポートを量産するリサーチャーならでは独自目線やメソッドも大量に含まれており、注目です!

今回はこの本から「はじめに」と「序章 速く、本質にたどり着く『箇条書き思考』とは何か?(一部抜粋)」をご紹介します。

★著者の菅原大介先生による本書の紹介記事も公開中!
ぜひご覧ください。

〈まえがき〉

ビジネスシーンには「箇条書き」を使う機会がたくさんあります。

・会議資料・商談資料の作成
・ノート・議事録の作成
・ビジネスチャット・メールの連絡
・Twitter・Instagram・noteの投稿

少し思い返しただけでも、多くの場面で心当たりがあるでしょう。

特に近年は、自分が発信するもの、自分が提出するもの、そうした「アウトプットの出来・不出来」で仕事の成果や自分の評価が決まるご時世です。
「作業は速く、発信内容は的確に」という条件をクリアするために、箇条書きを使う頻度は日増しに高まってきているはずです。

ではその箇条書きを、あなたはどれくらい「意識的に」使っているでしょうか。
どんな狙いや意図をもって箇条書きを使ってきたか、ぜひ振り返ってみてください。

もし、箇条書きを使ってきた理由が、
・なんとなく、見た目が整うから
・なんとなく、要約風になるから
・なんとなく、みんなが使っているから

というものだとしたら、とてももったいないんです!
多くの箇条書きは「なんとなく」使われていて、真価を発揮するどころか、逆効果になっていることさえあります。それはたとえば次のようなケースです。

・レイアウト調整のための箇条書き → 文章を改行で区切っただけ
・資料のまとめとしての箇条書き  → 事実情報を焼き直しただけ

箇条書きを使う真価は、「速く、的確に、本質を伝える」ことにあります。しかしこれだと逆に、改行作業に時間を要したり、同じ内容の再掲で冗長になったり、大きな矛盾が生じます。こうした事態は避けねばなりません。


ビジネスで差がつくのは、箇条書きの「中身」

ここで、私たちが定期的に目にすることが多い「会社の経営方針」に使われる箇条書き例を見てみましょう。もし、あなたが勤める会社の経営方針が次のような内容で出てきたら、あなたはどういう印象を持つでしょうか。

会社の経営方針(修正前:中身のない箇条書き)
【今期の戦略】

・①営業強化 前年比売上120%
・②利益改善 不採算事業の見直し・コスト管理の徹底
・③株主還元 5円増配
 →自己変革による飛躍的な成長を

残念ながらこの〝戦略〟発表に対して、ワクワクする人はいないことでしょう。
「ずいぶんと高い目標だな」と途方に暮れたり、「リストラされたら怖いな」と不安を覚えたり、「自己変革? また無理難題を押し付けてきて!」と憤ったりするかもしれません。
では、次のように修正したらどうでしょうか? 特にかっこ書きのところに注目してください。

会社の経営方針(修正後:中身を伴った箇条書き)
【今期の戦略】

・①営業強化 前年比売上120%(初の全国展開、満額賞与基準)
・②利益改善 不採算事業の見直し・コスト管理の徹底(PR強化の財源確保)
・③株主還元 5円増配(創業地域への恩返し)
 →自己変革による飛躍的な成長を

今度は先ほどと違い、ワクワクしてくるのではないでしょうか。
「自分たちの手で会社の歴史を塗り替えよう」と目標達成意欲が湧いたり、「メリハリのきいた予算計画はたしかに大事」と会社の方針に賛同したり、「ギアを上げていかなければ!」と、修正前には反発要因だった「自己変革」を当然のこととして受け止めるかもしれません。

全体的に受ける反応が「自分事」に変わっているのがわかるでしょうか。
つまりこの箇条書きは、人を動かすものになっており、そういう意味で「中身」を伴った箇条書きになっているわけです。

修正前の箇条書きも、文章術としての箇条書きの基本は押さえられています。
すなわち、「ポイントは3つに絞る」「情報は数字に置き換える」「事実と意見を書き分ける」など、文章・資料の作成に必要だとよく言われている要素は入っています。

しかし、そうした書き方の基本を守って作成された資料でも、困惑や反発を招きかねない内容になっています。特に修正前のケースでは、次のような意図の伝わりづらさがあって、「一方的な通達」感を助長しています。

「ポイントは3つに絞る」→なぜこの組み合わせに至ったのかよくわからない
「情報は数字に置き換える」→数字の意味合いがよくわからない
「事実と意見を書き分ける」→正論を主張しているだけに見える

そろそろ箇条書きを「意識的に」使う必要性が見えてきましたね。
箇条書きは、意識していなくても誰でも使えるツールです。だからこそ、「意識的に」使わなければ、その効果を最大限に得ることはできません。単に「見た目が整うから」「要約風になるから」という使い方では、ビジネスでは望んだ成果を得られないのです。


箇条書きが「書く仕事」の成果を変える

こんにちは、リサーチャーの菅原です。私は市場調査の活動を主務としており、年間1000ページの資料作成をおこなう中、常に箇条書きを使う仕事をしています。日々数字と言葉を扱い、それぞれの意図や解釈を伝える箇条書きを書き続けてもう10年が経ちます。
そのような中で、中身を伴った箇条書きをつくるには、ふたつの要素が重要であることを突き止めました。
それは、「ファクト」「ロジック」です。
ファクトというと、一般的には「数字を入れること」のように言われています。でも、真に大事な要素は「〝実態を表す〟情報」が入っていることです。
またロジックというと、一般的には「ポイントを3つに絞る」ことが代表的なテクニックとされていますが、より重要なのは「〝共感を呼ぶ〟論拠」です。

前述の「会社の経営方針」の箇条書きで一例を示しましょう(左に再掲)。
ここでは「前年比売上120%」が「初の全国展開」の成果指標であることを明記したことがファクトのポイントです。これにより売上目標の実態がわかるようになりました。
また、その目標が結論部にある「飛躍的な成長」の論拠として納得できるので、自然と経営方針全体に共感できるようなロジックになっています。結果、社員の気持ちを動かす箇条書きになっているのです。

会社の経営方針(修正後:中身を伴った箇条書き)
【今期の戦略】

・①営業強化 前年比売上120%(初の全国展開、満額賞与基準)
・②利益改善 不採算事業の見直し・コスト管理の徹底(PR強化の財源確保)
・③株主還元 5円増配(創業地域への恩返し)
 → 自己変革による飛躍的な成長を

「ファクト」と「ロジック」を身につければ、このように箇条書きの「中身」に命を吹き込んで、高い成果を得ることができます。

本書では、ファクトとロジックからなるこうしたノウハウを「箇条書き思考」と名付け、あらゆるビジネスシーンで活用する方法を紹介していきます。
もちろん、会社の経営方針を書くというような特別な場面だけではありません。本書を読むことによって、私たちのふだんの資料作成や連絡対応の価値は、次のように高まっていきます。

会議資料・商談資料
提出する資料の要点を箇条書きで整理する
→ 企画決裁・情報伝達が速くなる

ノート・メモ
仕事関連のトピックスを箇条書きで蓄積する
→ 必要な時にすぐ企画・提案に着手できる

チャット
自分のアイデアを箇条書きで連絡する
→ 仕事仲間からの反応を事前リサーチできる

SNS
自分の知見やノウハウを箇条書きで発信する
→ 「いいね・シェア」を得やすくなる

自己紹介の部分で年間1000ページの資料作成をしていると書きましたが、私もいきなり1000ページもの資料を書いているわけではありません。日頃のSNSやチャットで少しずつ小さな箇条書きの記録(ファクトの情報)を積み上げていき、それを元に情報を意味のある形に組み合わせて(ロジックの編集)、大きなアウトプットに仕立てているのです。

アウトプットの成果が問われる時代に求められるものは、「書く力」です。
本書を通じて、そのコアスキルとなる「箇条書き」のつくり方・使い方を習得し、あなたの「書く仕事」の成果を大きく変える一歩を踏み出しましょう!

〈序章 速く、的確に、本質にたどり着く「箇条書き思考」とは何か?〉

箇条書きの「中身」が問われる時代へ

私は、「リサーチャー」という市場調査をする仕事をしています。皆さんの周りにはあまりいない職種かもしれませんが、アンケートやインタビューをおこなう仕事です。
こう自己紹介すると、文章表現の技法である「箇条書き」を、なぜリサーチャーが書いているのか? と、不思議に思うかもしれませんね。でも次のように説明すれば、その必然性をわかっていただけることでしょう。

市場調査の仕事特性
・平均回答者数1000人のアンケート調査
→対象者の年代・地域などが様々であっても、回答者によって質問の解釈が変わってはいけない。
・各調査約100ページに及ぶレポート報告
→報告会・メールを通じて短時間のうちに依頼主・顧客に理解してもらわないといけない。

つまり、アンケート調査票や市場調査レポートなどのビジネスアウトプットは、できるだけ「簡潔に・正確に」物事を伝えられないと、成り立たない仕事なのです。

私は今、市場調査のレポートを書く仕事を10年以上続け、年1000ページほどの報告書・企画書を書くうえ、個人でも1万字のnote記事を書いたり本を書いたりしています。そして、どのアウトプットにも箇条書きを活用しています。

こうした活動を続ける中で、箇条書き表現に必要なものが見えてきました。
それは、「形式」ではなく「中身」が問われていることです。
ひとくちに箇条書きといってもその出来は千差万別です。
中には、「文章を細かく改行しているだけ」「資料内の数字を更新しているだけ」という箇条書きもあります。もちろんこうした箇条書きの資料では、作成者が介在する意義が薄いので、仕事は評価されません。
箇条書きの中身をよくして仕事の価値を上げるには、これからお伝えするふたつの要素を気にかける必要があります。


ファクト ─大切なのは数字、だけじゃない!

箇条書きの中身を良くする要素のひとつめは、「ファクト」です。
ファクトというと、一般的には、「何でも数字に置き換えて説明することが大事」と言われることが増えてきましたが、ここでは必ずしもそうではない例を紹介します。
下に記載したある飲食店の特徴(女性が毎日通いたくなる理由)についてまとめた箇条書き例を見てください。ポイントを簡潔にまとめた箇条書きによって、「どんな飲食店」なのかが瞬時にわかるでしょう。

では、〝数字〟はどれくらい入っているでしょうか?
確かにスープの種類のところで数字は入っていますが、それ以外のポイントがすべて数値化されているわけではありません。たとえばイスについては、高さの寸法ではなく、「バッグが掛けられる」と表現されています。私たちにとってはこの方が「女性にとって使い勝手がいい店」であることがよく伝わってきます。
つまりファクトは、数字が入っていれば何でもよいわけではなく、「物事の実態をよく表していること」の方が大事なのです。

スープストックトーキョー
女性が毎日通いたくなる7個の秘密


・好奇心をくすぐるメニュー名
・スープの種類をあえて8種に
・注文前に予約カードで席を確保できる
・バッグが掛けられるイスの背もたれ
・食べる姿が見えないよう目隠し
・大盛りでもバレない器
・最後の1滴まですくえるスプーン

「坂上&指原のつぶれない店」
2020年3月22日(日)TV番組(テロップ)より
▶ https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=8518

この例では、それぞれの項目の特徴に合わせて、数字と言葉による説明を柔軟に使い分け、「女性が毎日通いたくなる店」であることを証明しています。
ここに新たな箇条書きのパワーが見えてきました。


ロジック ─「3つにまとめよ」が正解とは限らない

箇条書きの中身を良くする要素のふたつめは、「ロジック」です。
ロジックというと、「ロジカルな人はポイントを3つに絞って説明する」とよく言われていますが、このテクニックも万能と言えるのかどうか、検証してみましょう。

次の箇条書き例は、ネット通販アプリを使ってできることをまとめたものです。こちらもやはり箇条書きを通じて、「どんなアプリサービスなのか」が瞬時にわかります。

イトーヨーカドーのネットスーパー
・私はどんな日もネットスーパーでお買い物 (アプリ)
・仕事で忙しい日はお惣菜を中心に (惣菜)
・新鮮な食材が届くのも嬉しい (生鮮食品)
・買い置きすると便利なあれこれ (冷凍食品)
・重たいものも気にせず選べる (日用品)
・nanacoポイントもどんどん貯まる (nanaco)
・今日も私はイトーヨーカドーのネットスーパー (自宅配送受取)

「イトーヨーカドーのネットスーパー」2020年ウェブ動画(ナレーション)
https://www.iy-net.jp/nspc/info/serviceinfo.do

さて、ポイントは〝3つ〟に絞られているでしょうか? 特にそういうことはありませんよね。
私はネットスーパー利用者への市場調査をおこなう機会もあるのですが、イトーヨーカドーのアプリが支持されている特長は、本当にここに出てくるまんまです。1つも欠けていませんし、また、1つも支持が弱いものが紛れ込んでいません。取り上げるべき必然性のある数にそろっていることがわかります。
つまりロジックは、「論旨に共感を集められること」の方が大事であることがわかります。無理に形式的な論理関係を用いる必要はないのです。

またまた新たな箇条書きのパワーが見えてきました。


「箇条書き」と「箇条書き思考」の違い

このようにしてファクトとロジックを駆使して、箇条書きの中身を鍛え上げていく手法が「箇条書き思考」です。
「箇条書き思考」では、「情報は数字に置き換えましょう」「ポイントは3つに絞りましょう」などの決まりきった処理ではなく、相手を動かす目的に合わせて一番適した表現方法を取ることを可能にする思考法です。
「箇条書き」と「箇条書き思考」の違いをまとめると、次のようになります。


【箇条書き】
・文章や資料の見た目を整えるために使う(文章術)
・「書き方」(How)が重要
・得られる評価:「見やすい、読みやすい」
・具体的な手法:「情報は数字に置き換える」「ポイントは3つに絞る」

【箇条書き思考】
・受け手の行動を変化させるために使う(思考法)
・「中身」(What)が重要
・得られる評価:「知りたい、使いたい、行きたい、買いたい」
・具体的な手法:「ファクト」(〝実態を表す〟情報)と「ロジック」(〝共感を呼ぶ〟論拠)


決して通常の箇条書きが劣っているわけではありません。文章や資料の見た目を整える基礎があることで、読んでもらう、見てもらう入口は突破することができます。
でも、文章術としての箇条書きがあったうえで、さらに思考法としての箇条書きが備わると、「どんな場面でも、誰にでも通用する表現」を駆使することができます。

本書では誰でも「箇条書き思考」を身につけることができるよう、順を追って箇条書きの中身を鍛え上げていく構成を取っています。
第1章では、そもそもの「箇条書きの特徴や効果」について説明しつつ、「伝わらない典型パターン」も注意点として紹介します。
第2章と3章では、箇条書きの構成要素である「ファクト」について、「目的と対象の整理」、「数字と言葉の使い方」、「トレンドの情報収集法」に焦点を当てて説明します。
第4章と5章では、箇条書きの発信作法となる「ロジック」について、「情報の論拠の整え方」、「共感を集める編集技法」に焦点を当てて説明します。
最後の第6章では、私自身が日々実践している、SNSや資料作成を通じた箇条書きのトレーニング方法をまとめています。

皆さんがこれから携わる、社内資料・商品広告・SNS投稿等を考える際に、意識的に「箇条書き思考」を使うことで、「見やすい、読みやすい」だけでなく、「知りたい、使いたい、行きたい、買いたい」と言われるようになる —。
そんなゴールをイメージしながら、私がリサーチャー業務で蓄積してきた箇条書きノウハウをお伝えしていきたいと思います。

〈もくじ〉

序章 速く、的確に、本質にたどり着く「箇条書き思考」とは何か?
第1章 箇条書きこそビジネスプロフェッショナルの証
第2章 ファクト(情報)を整理する
第3章 ファクト(情報)に強くなる
第4章 ロジック(根拠)を厚くする
第5章 ロジック(編集)で共感を呼び込む
第6章 日常の中で鍛える!箇条書き実践トレーニング

〈著者略歴〉

菅原 大介(すがわら・だいすけ)

リサーチャー。上智大学文学部新聞学科卒業。
マーケティングリサーチのリーディングカンパニー「マクロミル」で、外資系コンサル・大手広告代理店・シンクタンクチームに所属し、月次500点以上のファクトデータを収集するリサーチ業務に携わる。
現在は国内通信最大手のグループ企業にて、中期経営計画・ブランド策定など会社の意思決定に関わるロジックデータを手がけ、企画立案のために作成する資料は年間1,000ページ超に及ぶ。
数字と言葉を駆使するプロフェッショナル職として、箇条書きを駆使した情報収集・情報発信に定評があり、アンケート・データ分析・資料作成などのテーマで書くnoteや講習会が好評を得ている。
著書に『売れるしくみをつくる マーケットリサーチ大全』(明日香出版社)『ウェブ担当者のためのサイトユーザー図鑑』(マイナビ出版)がある。


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