言葉にうっとりする

太宰治「女生徒」の中で
めちゃくちゃ好きなうっとりする文章。

【ごはんをすまして、戸じまりして、登校。大丈夫、雨が降らないとは思うけれど、それでも、きのうお母さんから、もらったよき雨傘どうしても持って歩きたくて、そいつを携帯。このアンブレラは、お母さんが、昔、娘さん時代に使ったもの。面白い傘を見つけて、私は、少し得意。こんな傘を持って、パリイの下町を歩きたい。きっと、いまの戦争が終ったころ、こんな、夢を持ったような古風のアンブレラが流行するだろう。この傘には、ボンネット風の帽子が、きっと似合う。ピンクの裾《すそ》の長い、衿《えり》の大きく開いた着物に、黒い絹レエスで編んだ長い手袋をして、大きな鍔《つば》の広い帽子には、美しい紫のすみれをつける。そうして深緑のころにパリイのレストランに昼食をしに行く。もの憂《う》そうに軽く頬杖して、外を通る人の流れを見ていると、誰かが、そっと私の肩を叩《たた》く。急に音楽、薔薇のワルツ。ああ、おかしい、おかしい。現実は、この古ぼけた奇態な、柄《え》のひょろ長い雨傘一本。】

この言葉の先にイメージする映像にも
きゅんとするけれど、
この言葉の表現自体にもきゅんとする。

「急に音楽、薔薇のワルツ」とは
恋に落ちる瞬間を表したものだろうか?

何度読んでも、何度見ても?、
心くすぐられる文章。

それにしてもこの女の子の妄想は、
自分と似てる気がする。笑

きっとこの子は内向的未来思考。


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