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愛ある世界へ

https://note.com/asuka201020/n/nb8eb6f0391ae

以前書いたこの内容にも関連するのですが、今回初めて私の好きな芸人さんのことを書こうと思います。

私は4年近く前からお笑い芸人EXITさんのファンです。
最初にテレビで観たときから好感は持っていたのですが、とある番組で、兼近さんが幼少期からものすごく貧乏で
中学生から新聞配達のアルバイトをしていたこと
ご両親が離婚したこと
お金がないから高校進学も諦めたこと
妹さんを高校に行かせるために働いていたこと
などが、再現VTR形式で流れていました。
私がこのテレビを見たとき一番驚いたのは、
兼近さんが家庭環境に対してなにひとつ恨み言も言わず、家族のことが大好きで、親に感謝していると言っていたことでした。

辛い環境に生まれた多くの人は、自分が生まれてきた環境を嘆き、こんなふうになったのは親のせいだ、周りのせいだと怒りをぶつけ、悪い道へ走っていってしまう。
もちろんそんな人ばかりではないですが、心が傷つき荒れてしまう人が多いのも確かです。

この人はなぜこんなふうに思えるんだろう?
辛くなかったはずはないのに、親に感謝しているとキラキラした目で語るこの人の心の内はいったいどうなっているんだろう?
それが、私が兼近さんに興味を持った最初の出来事でした。
ご本人は淡々とVTRを見ていましたが、相方のりんたろーさんはそれを見て泣いていて、なんて優しい人なんだろうと、またまた衝撃を受けました。

私がそれまで見てきたお笑いコンビは、みんなケンカ腰だったり、お互いの悪いところを指摘し合うようなネタが多くて、あまり仲がいい印象はなかったんですが、そのギャップもかなり衝撃だったのかもしれません。
新しい時代の漫才師が出てきたんだなという意味でも印象深かったのを覚えています。

EXITのおふたりの活躍はめざましく、テレビで見かけることが多くなりました。
そんな時に突然、週刊誌が過去の兼近さんの逮捕歴について報じました。
それが2019年9月でした。
私は週刊誌の記事を買って読んでみました。兼近さんご自身が、悪いようには書かれていないから読んでみて、と皆さんに呼びかけていたからです。

確かに悪い書き方はされていませんでした。
ただこの事実を明かすということは、明らかに彼ら二人を潰すことになるということは、週刊誌側も当然わかっていることだと思います。
そういう意味では私は全くこの雑誌社には好感が持てませんでした。
もちろん過去やったことは犯罪と言われる行為であり、そのことに対する認識が甘かったのは事実だと思います。
ただ思うのは、私がファンだからということではなくて、過去の罪を認めて反省し、がんばって新たな道でやり直している人に対して、何のためにこういった報道をするのかと考えたとき、意味がないというか、悪意しか感じられなかったんです。
残念ながら今のこの社会は、表面的なことだけで判断され、その人が現在どんなにいい人であっても、ダークなイメージがあるだけで批判されたり敬遠されたりしてしまいます。
実際にこの記事が出た後、イベント出演が中止になったり、テレビのレギュラーがなくなったりしていました。

当時、兼近さんに対する誹謗中傷、事実よりも悪意を持って書かれるネットの記事。そういうものを目にするたびに、今の社会の不寛容さとか、誰かを攻撃したいだけのストレス発散に使われているというのを感じて、こんな世の中はおかしいと思いました。
攻撃する側もされる側も、何ひとついいことはありません。

私自身はとても恵まれた環境の中で育ち、周りに荒れている人や犯罪に関与した人はいませんでした。
いや、もしかしたら気づいていなかっただけなのかもしれません。
でも私は兼近さんのおかげで、その後もいろいろな人の声を見聞きするようになり、犯罪行為で捕まった人だけでなく、例えばいじめをしている大人や子どもたち、虐待をしたと言われる親たちなども、心の中に抱えている闇があって、そういう行為をやっているんだなということがわかってきました。
必ず何か原因があるから結果があるんです。
社会問題の背景には、人の心が闇に包まれてしまう状況があります。
だからと言って犯罪行為そのものが許されるわけではありません。その人を許しましょうと言っているわけでもありません。実際に被害に遭われた方は一生消えない苦しみを抱えることになります。
だからこそ加害者を減らす必要があり、加害者を生み出さない社会を作る必要があると思っています。

今、再び兼近さんが非難の対象になってしまっています。
攻撃しているのは、兼近さんのことを知ろうとしていない人たちばかりです。
一部の報道の悪い部分だけをピックアップし、悪い人に仕立て上げて、自分の怒りをぶつけているように見えます。
そんな人たちにも正面から向き合い、被害者も加害者も減らしたいと思って行動している兼近さんはとても勇気があり、人としてその姿勢を尊敬できるので、私は応援しています。

本来、人が人を裁くことって本当はおこがましいことだと思います。
誰だって神様のように完璧じゃないし、何が正義で何が悪かなんて、時代や状況で変わっていきます。
正論に見せかけた刃を振りかざして人に切りかかっている人たちが、本当に正義だと言えるでしょうか。
罪を犯した人がやり直せる社会、みんながそれを受け入れて温かく見守っていける社会にならないと、加害者はなくなりません。
罪を犯した少年たちが反省してやり直そうとしても、社会からはじかれて居場所を見つけられず、人間に絶望し、誰も信じられずにまた罪を犯すことでしか生きられない。そんな悲しいことが実際に多々あるようです。
そういう意味では、私たちの認識が加害者を生み出しているのかもしれません。

生まれた時から悪人だった人なんてどこにもいません。
みんな天使のようなピュアで無垢な心を持って生まれてきます。
人間の根本にあるのは愛です。愛を与えられて赤ちゃんは大きくなっていき、その愛を誰かに返そうとするんです。

愛の反対は無関心だと、マザーテレサはおっしゃいました。
この世で起きている様々な社会問題を作っているのは、何も知らずに生きているその他大勢の、私のような人間なのかもしれません。
そう思ったとき、私は知ることを選び、もっと人に対して寛容に、優しさをもって接していきたいと思いました。
大きなことができるわけではありませんが、ずっと兼近さんがおっしゃっている「その人の背景を知る」ことの重要性がわかるようになりました。
知ることで何を感じるか。
相手を責める気持ちがなくなっていきます。
ただただ、自分で気づいて反省して、がんばって立ち直ってほしいという気持ちになります。
自分にできることがあれば、手伝ったり応援したいと思います。

この連鎖をつくって、もっと温かい社会にしたい。
私もこの日本に生きている当事者なのだから、自分から積極的に愛を発信する側になりたいなと思っています。
愛は循環するものですから、自分が誰かに対して発信した愛は、その人がまた次の人へ渡していき、繋がっていくものです。
そうやって助け合っていく。誰かの役に立っていく喜びを感じながら生きていける社会になってほしいと、心から願っています。

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