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オレンズ〈芯径0.2〉推し語り

左手の相棒

高校3年の梅雨どきから、ずっと使っているシャープペンシルがある。物持ちが良い方ではないので、2度壊してその度に新調しているものではあるけれど。

オレンズの0.2㎜。弟がディズニーシーのお土産でくれたことがきっかけで、この沼にはまってしまったのだ。
高校3年生の夏、受験生にとって夏は一番大事な時期である。私の人生で一番勉強したであろうその夏が始まる頃には、弟にもらったオレンズに描かれたアリスの可愛いイラストは手汗と摩擦によって消えてしまっていた。

ペンの持ち方が綺麗でなく、手全体で握ってしまう私には、オレンズの細い軸はストレスなく文字が書けるちょうどいい太さであった。指の当たる位置に余計なでっぱりがないから、長時間握っていても指が痛くなりにくい。左手で使うとペン先が緩んできてしまうペンも多く存在するが、オレンズはそんなこともない。

受験頑張れという言葉と共に贈られたペンであったから、デザインが消えても使い続けた。中身が詰まって駄目になってしまったときは、新しい中身と入れ替えて使った。授業中、学校の自習室、自室の机、果てには電車の中でさえ、柄のはげたピンクのオレンズは私の左手に収まっていた。文字は入っていなかったから受験会場でも活躍したし、今でもお守りのように筆箱に入っている。

今使っているネイビーのオレンズは、3本目のものである。2本目は購入してすぐに分解して、中身はピンクのアリスのオレンズと交換してしまったからほぼ握っていない。今のものを買ったのが浪人期だったか大学に入ってからだったかは覚えていないが、受験期の2年ほどシャープペンを握ることもなくなってしまったから、まだまだ現役で活躍してくれると思う。

世界を変えた0.2㎜

Pentelの公式サイトのオレンズのページによると、「0.2㎜で世界が変わる」という。このnoteを書いている途中でホームページを覗きに行って、悔しいほどにその通りだと感じた。

0.2㎜の芯は0.5㎜のものよりも持ちが悪いし、コストパフォーマンスもいいとは言えない。0.3㎜であれば様々なメーカーから出ているが、0.2㎜は(おそらく)Pentelだけであろう。少なくとも当時、近所の文房具店を回った限りで他のメーカー産の0.2㎜の芯は見たことがない。

筆圧が強い私にはその細さがちょうどよかった。聴覚情報をすべて文字起こししていた高校3年生の世界史の授業、浪人期に予備校で受けた英語の授業……。プリントやノートの隙間に書くには0.5㎜の芯は太すぎた。手帳に日記をつけるのにも、ルーズリーフに愚痴を書くのにも、0.2㎜が一番向いていた。

大学生の今も、授業の板書やレポートの下書き、noteに書くことの整理、ちょっとしたメモ……ペンを握る時間は以前よりも減ったが、0.2㎜芯の世界で書きたいものはまだまだたくさんある。

0.2㎜芯の世界で、これから何を見よう。

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