アセット_1

「クックパッド流、ユーザーを支える体験デザインと考え方」イベントレポート

こんにちは。クックパッドデザイナーの辻(@cooktsuji)と申します。

今回は、先日12月5日(木)弊社で開催した「Cookpad Product Kitchen #5 クックパッド流、ユーザーを支える体験デザインと考え方」というイベントの模様を皆様にお伝えできればと思います。登壇した4名、それぞれの登壇資料も掲載しておりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
イベント詳細はこちら👇

イベント概要

📝Cookpad Product Kitchenって?

 サービスを作ることで体験を提供し、ユーザーに価値を届ける 「サービス開発者」。しかし、サービス開発を続ける上ではいろいろな困難が立ちはだかります。
そのような中、どのようにサービス開発を進め、どの段階でどう意思決定するのかなどサービス開発の手法や考え方について、クックパッド社内に溜まった知見や学びを共有する勉強会が「Cookpad Product Kitchen」です。


📝クックパッド流、ユーザーを支える体験デザインと考え方を伝えたい

 クックパッドにはUIデザインだけでなく、様々なスキルセットを持ったデザイナーが在籍しています。また、レシピサービスだけでなく 「毎日の料理を楽しみにする」ために、スマートキッチンサービスの「OiCy」、クッキングLive配信が視聴できる「cookpadLive」、おいしい食べ方を学習できる「たべドリ」、生鮮食品ECプラットフォームの「クックパッドマート」、料理が楽しくなるマルシェアプリ「komerco」など様々なサービスを開発しています。

それらのサービスを支えるのは、デザイナーをはじめ、ユーザーのことを常に考え抜きながら体験デザインに関わるエンジニアやディレクターなどのサービス開発者です。そこで今回、Cookpad Product Kitchenでクックパッドならではのユーザーを支える体験デザインと考え方という切り口で日頃得た知見や学びを発信しようという背景からイベント実施に至りました。


📝様々な職種で活躍するクリエイターの方にご参加いただくために

UIデザイナーだけでなく、アートディレクターやグラフィックデザイナーなど幅広い方々にご参加いただきたかったので、先日開催されましたDesignship2019にて以下のようなイベントフライヤーをお配りしました。Designship2019に参加された方の中には、このフライヤーを見た方もいらっしゃるのではないでしょうか。

画像1

👆Designship2019でお配りしたイベントフライヤー


- - - - - 🍳ここからイベント内容です🍳 - - - - -


画像7

発表①:年間100人のユーザーに合って、試して、考える。クックパッドのプロダクトづくり

 1人目の発表者は、投稿開発部にてサービス開発ディレクターを務めています五味です。
ユーザーインタビューを通してどのように仮説検証・課題発見をしプロダクト開発に活かすのかという内容を、年間100人のユーザーに会った経験から発表しました。

画像14


💁‍♀️ユーザーインタビューは終わってからが本番

 そもそもなぜユーザーインタビューをするのでしょうか?「ユーザーのことを知りたい」「仮説が合ってるのかを確かめたい」など色々理由はありますが、一番根底にあるのは 「ユーザーにとって本当に価値のあるプロダクトを作りたい」からです。

そのようなプロダクトを作るには、ユーザーが今「ほしい」と言っているものをそのまま作ってしまってはユーザーの期待を超えることができません 。ユーザー自身も良いかどうかわからない「未知の良さ」を作る必要があります。「未知の良さ」を作り出すために、ユーザー自身も気づいていない 「隠れた欲求」を捉えなけらばならず、その 「隠れた欲求」はインタビューするだけでは見つかりません。その「隠れた欲求」を見つけるために、インタビューが終わったあとの工程が大事になってきます。

画像8


💁‍♀️どうやって「隠れた欲求」を見つけるのか

「隠れた欲求」を見つけるためにやるべきことは

 ・インタビューで「当たり前(=日常)」を聞き出すこと
 ・「当たり前」に潜むギャップを見つけること

の2つです。いずれもとても難しいことではありますが、年間100人のユーザーインタビューから試行錯誤の末に編み出してきた手法をいくつか紹介しました。

画像9

オリジナルの心理テストのようなものを使って対象ユーザーを絞り込んでみるユニークなアプローチから、チーム全員で振り返り・気づきを何度も何度も繰り返す方法などです。

他にも手法の事例がいくつかあります。くわしくは、別途noteにまとめているものがございますのでこちらを御覧ください。

- - - - - 🍳 - - - - -


発表②:料理が楽しくなるモノとの出会いを「グラフィック」で繋げる

 2人目の発表者は、Komerco事業部にてデザイナーを務めています細井です。料理が楽しくなるマルシェアプリ Komercoでの広告の提案・制作、イベントといった各種クリエイティブを作った経験から得られた知見や工夫を、「ADクリエイティブ」「物理的なクリエイティブ」の2つの事例をもとに発表しました。

画像14


💁‍♂️広告から流入した後のことも踏まえてクリエイティブを作成する

 Instagram広告で、写真の分割数であったり、料理ありの写真とうつわのみの写真との違いを出してそれぞれABテストを実施しました。
その結果、料理が盛り付けられているものに対して、うつわだけの広告のほうがインストール数に2倍近くの差が出たそうです。これは、広告から遷移した先のAppStoreに掲載しているスクリーンショットがモノを購入できる内容であったため広告と遷移先との一連の体験が設計できたことによる結果でした。

登壇.001


💁‍♂️️様々なコスト障壁にとらわれず、「こだわり」感を作り出す

 次に紹介するのが、お米セットの包装を作った事例です。制作にあたり、こだわり感を伝える必要がある一方で、「金銭的コスト」「時間的コスト」「人的コスト」といった様々な障壁があったそうです。そこで、自分でシルクスクリーン印刷をしたり、社内にあるレーザーカッターを使ってワレモノ・天地シールを作るなどの工夫を凝らし、障壁を乗り越えることができました。グラフィックデザインの経験が豊富な細井が様々な手段・知識を持っているからこそできた判断、選択でした。

登壇.001


見るだけでも楽しい、こだわり感が伝わってくる資料です。ぜひご覧ください。


- - - - - 🍳 - - - - -


発表③:スマート調理機器と繋がるレシピサービスの体験づくり

 3人目の発表者は、スマートキッチン事業部にてプロダクトマネージャーを務めています佐藤です。
スマートキッチンサービスOiCyのサービス開発では、ソフトウェアだけでなくキッチン周辺の環境を考慮したり、複数のハードウェアとのつながりを考えたりと、とても複雑です。そんなOiCyでのスマート調理機器ならではの開発方法について発表しました。

画像14


💁‍♀️DesignSprintをベースとした開発プロセス

 スマートキッチン事業部ではDesignSprintを独自にカスタマイズした手法をベースに5日間でプロトタイプからユーザー検証までを繰り返す方法で開発をしています。開発の大まかな流れとしては「アイデア出し」→「プロトタイプ作成」→「ユーザーテスト」ですが、それぞれ大事なポイントがあると言います。

①百聞は一見(験)に如かず
 アイデア出しには、まず大量のインプットが必要です。そのために既存のサービスを分析し、分析したサービスのビックアイデアをキーワードとして抽出してみたり、「スマキチランチ会」という実際にスマート調理機器を使って料理を作ってみるという体験会を開いて、知識・経験をインプットしています。

②モノを作って語る
 社内に工房と呼ばれる部屋をつくり、そこへ3Dプリンターやレーザーカッターなどモノを実際に作る際に必要な機器を導入しました。モノ一つ一つのクオリティよりもとにかくスピードを意識して作ることが大事です。当日は「まぜまぜくん」と呼ばれる機器の紹介がありました。

③ユーザーがリアルに想像できるように様々な工夫でユーザーテストを実施
 ユーザーテストのフェーズでは、ユーザーに意図が伝わりさえすればいいので黒子役の人をおいて機器を演じてもらったり、タイミングに合わせて遠隔操作で機器を動かしてみたりと考えられる様々な工夫をしながらテストを実施します。

ユーザーテストを繰り返し、素早く行うことで取捨選択のスピードと重大な問題点に気付くことができます。短期間で何回も繰り返し行う集中力と気持ちが大事なんだと僕自身感じました。

- - - - - 🍳 - - - - -


発表④:買い物をもっと自由に -スーパーに行く毎日の“あたりまえ”をリデザインする-

 最後の発表者は、クックパッド買物事業部にてデザイナー兼エンジニアを務めています長野です。
クックパッドマートが、近隣のスーパーに買い物にいくという「あたりまえ」の中に潜む課題をどのように解決・展開しようとしているのか。クックパッドマートが持つ、3つの特徴を事例にあげながらお話しました。

画像14


💁‍♀️ユーザーの元へ配送するその日に各販売者さんから集荷をして、そのままお届けする

 クックパッドマートの1つ目の特徴は、取り扱う商品や消費者に届ける仕組みです。クックパッドマートでは、地域の販売店や生産者さんのこだわりの食材を扱い、さらにどこよりも新鮮な状態で安く提供しています。それを実現しているのが、商品をユーザーにお届けするまでの仕組みです。
商品の在庫を自分たちで持ったり、物流センターに集めたりといったことをしません。ユーザーの元へ配送するその日に各販売者から集荷し、そのままお届けする仕組みを独自に作ることで、実現しています。

画像10


💁‍♀️好きな時間に商品が受け取れる

 2つ目の特徴は、商品受け取り方法です。生鮮品の配達で問題になりがちな再配達の問題を、近所にあるドラッグストアやクリーニング店などに専用の冷蔵庫を設置し、そこを受け取り場所として配送するという形を取ることで解決しています。ユーザーは自分の好きな時間にその受け取り場所から商品をピックアップすることができます。

画像11


💁‍♀️食材を買いながら献立が決まる体験

 3つ目の特徴は、商品を買う体験です。毎日料理をしていると、「今日何作ろうか」と悩んだり、いつも同じ食材で同じ料理ばかり作ってしまうマンネリ化といった悩みが生じます。そうした悩みをクックパッドマートでは食品購入時に、その食材を使ったレシピではなく食べ方を複数提案することで解決しています。

画像12


ここでは、簡単にクックパッドマートの3つの特徴をご紹介しました。詳しくは別途登壇内容をnoteにまとめたものがありますので、こちらをご覧ください。


- - - - - 🍳 - - - - -

QAセッション

このセッションでは、事前にいただいた質問や発表中にslidoを使って参加者の皆様からいただいた質問に答えていただくといった内容でした。

画像14


- - - - - 🍳 - - - - -

おわりに

 クックパッドでは、日々デザイナーもエンジニアも積極的にブログなどで発信していますが、イベントでは登壇者一人ひとりの魅力やそれぞれの深い知見・踏み込んだお話まで聞くことができます。ぜひ興味を持ってくださった方は、次回以降のクックパッドイベントをチェック&参加してみてください!

また、クックパッドでは一緒にサービスを作ってくれる仲間を募集しています。 現在募集中のポジションはこちらからご確認いただけます。


この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?