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ひたすらミニ四駆を改造した話

あらすじ

日々の仕事で精神をすり減らしていた「私」。そんな私が買ったのはミニ四駆のコースだった・・・発狂する妻。日々速くなっていくマシン。そして新たなるライバルの登場。血湧き肉躍る遅い青春のホビー・ストーリー。

オーバルホームサーキット

私が購入した「オーバルホームサーキット」はその名の通り楕円形のミニ四駆コース。ホームサーキットということで2レーン。3レーンの「ジャパンカップ・ジュニアサーキット」だともっと大きく場所を取るので、我が家ではこの大きさが限界である。もちろん妻には「絶対買うな」と言われていたため、突然家に送付された時には大いに呆れられた。飽きたら売りに出すという約束で一時的に設置を許可されている。

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3レーンのコースに比べてサイズが小さいことにより、レーンチェンジの坂がジャンプ台のような急傾斜、かつ素材が柔らかいので、少しスピードが出るとマシンが豪快に吹っ飛んでいくのが特徴。コースアウト防止の屋根も付属しているが、それを付けてしまうと面白く無い。

ネットで検索すると速い人で2周のラップタイムが2.25秒ぐらい。
新型コロナウィルスの外出自粛でゴールデンウィークをミニ四駆の改造に費やし、ついに2.13秒という記録が出たので2020年のゴールデンウィークの記録としてここに残しておこうと思う。

どれだけロスせず走り切れるか

ミニ四駆は実際に走らせることのできる車のプラモデル。前後にローラーを付けることでコースの壁に沿って走る。コースアウトせずに一番速く走り切ったものが勝ちというシンプルかつ奥の深いホビーだ。

MAXのスピードは電池とモーターで決まると言っていい。ミニ四駆の面白さのポイントは、要するに電池とモーターの組み合わせで得たスピードをどれだけロスせず走り切れるか、ということになる。

そもそもかなり速い

発売したばかりの一番新しい車種「ネオVQS」を購入。普通に作ってから徐々に速くしていく。電池はタミヤの充電式ニッケル水素電池「ネオチャンプ」を買った。作っている時は「ちょっとチャチな作りだな」と思ったけども、ノーマルモーターのままでもかなり速い。そして余裕でコースアウトする。どうもこのネオVQS、モーターの製造が国内に戻っているらしく、そのせいか、本体も1,000円超えとちょっとお高い。新型のVZシャーシは車高も低くなっており、バンパーを取り外せるなど、パーツの取り付けもし易くなった。

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モーターは、ノーマルモーター、トルクチューンモーター、レブチューンモーター、アトミックチューンモーター、ハイパーダッシュモーター、パワーダッシュモーター、スプリントダッシュモーターと一通り試して現在はスプリントダッシュモーターが載っている。

やはりスマホは便利

私は大学生の時も社会人になってからもミニ四駆をやった。およそ10年周期でマイブームになるらしい。パーツも知識も大きく変わらないが、今とその時で決定的に違うのはスマホの有無だ。

タイムを計測するためにラップタイマーアプリを使う。また、コースアウトしてしまう瞬間をスロー動画で再生し、その一瞬、何が起きているのか確認することができるのだ。

充電したての電池はとにかくハイパワーで速い。モーターを変える以上に変化するかもしれない。色々試して安定したと思っても電池を再充電したら吹っ飛ぶというのを何度も経験した。しっかりとラップタイマーで計測しておくと、状態変化が良く分かる。

禁じ手

と言うと大袈裟だが、
・ボディやシャーシ、プレートの加工
・タイヤの加工
・マスダンパーの使用
・同じパーツを複数買って良いものを選別
という世界には手を出していない。

複雑で面倒臭いものは性に合わない。
高精度で複雑になればなるほど実運用時のエラーが増えるのはギターやITシステムにも通じる真理だ。
汎用的なパーツの組み合わせでシンプルにどこまで到達できるか?
というのに面白さを感じる。

様々な検証

タイムを測ったり、スロー動画を研究することで沢山の気付きがあった。とにかくレーンチェンジで車体が浮いた時の動きは、スピードのあるモーターを取り付けないと分からないこともあり、速度によりベストなセッティングが変わるといった面白さがあった。

1. 壁に接触するローラーの数は速度に影響するか
前後左右に上下2枚ずつ同じ直径のローラーを計8枚取り付けるのと、計4枚に留めるのとでは後者の方が速い。同時に壁に接触するローラーの数は少ない方が速い。

2.ベアリングと低摩擦プラベアリングはどちらが速いか
比較に使ったのはHGではない通常の丸穴ベアリングだったが、意外にもプラベアリングの方が速い。

3.ホイールとベアリングの間に隙間があるのと無いのではどちらが速いか
カタカタするのでロスが大きいように思っていたが、実際は隙間がある方が速かったし安定もしていた。適度な「遊び」ということか。

4.上下のローラー径は揃えた方が安定するか
「ミニ四駆 超速ガイド2019・2020」で、優勝者の多くが上下同じ径のローラーを採用していたが、実際にはローラー径を揃えるとレーンチェンジをクリアできなかった。

5.上下のローラーの大きさでレーンチェンジの挙動はどう変わるか
上のローラー径を大きく、下を小さくした方がレーンチェンジのクリア率は高かった。リアよりもフロントの影響が大きく、フロントローラーは上下のローラー径を揃えるより、上を大きく、下を小さくした方が安定することが分かった。また空中で車体が傾いて上下ローラーが両方とも壁に接触した際には、ダウンスラスト方向に車体を誘導する効果が見られた。

6.上のローラーを高くすればするほど安定するか
しなかった。上のローラー位置が高過ぎた場合、レーンチェンジで車体が浮いた際に壁にうまくぶつからずにコースアウトしてしまう。ただし、ホイールスタビのようなものでこれを回避するやり方はあると思う。

7.下のローラーを低くすればするほど安定するか
下のローラーは低い方がレーンチェンジを安定してクリアした。ただし、低すぎるとブレーキを使えないため、車軸よりも下、ブレーキプレートよりも上、という位置でなくてはならない。

8.ゴールドターミナルを使うと速くなるか
ならない。誤差程度だがキット付属の銅製ターミナルの方が速かった。

色も塗らず、シールも貼らずにただひたすらスプリントダッシュモーターでオーバルホームサーキットを安定して完走できるマシンを作るという試行錯誤。
一つ一つ煮詰めていった結果、フロントバンパーの下側ローラーは左右で径の異なるものになった。ブレーキはリア側だけ。フロントバンパーにはスペーサーを挟んで傾斜を付けてある。通常時は上のローラーだけがコースの壁に接触するがレーンチェンジで車体が浮いた一瞬だけ下側のローラーが機能し、ダウンスラストがかかる。

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買えば買うほど欲しくなる

パーツ単体でミニ四駆の本体価格を超えるカーボン製パーツやHGベアリングなど、本当にこれに手を出すのか?という葛藤がある。ただ、パーツの必要性を良く考えるようになるし、消費によるストレス解消効果もある。飲み会が無くなったことで、ビール換算で自分に言い訳することも可能だ。色違いのパーツや期間限定商品が毎月のように登場するし、本当によくできたシステムである。

新たなライバルの登場

我が家の3人の娘に与えたマシンにも似たような改造を施したところ、長女のFM-Aマシンがハイパーダッシュモーターで2:10というタイムを叩き出してしまった。子は親を超えていくものなのか。

長女のマシンはリアにスライドダンパーをセット。ブレーキプレートと下側のローラーが干渉するためスライドダンパーの可動域は通常の半分ぐらいなのだが、逆にそれが良さそうだったりもする。とにかくコーナーが速い。
新たな強敵の出現、まだまだ検証すべき項目が多いことに打ちのめされる私。奥が深すぎる・・・


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