第16話 アリスとボブ
実験を開始してから数ヶ月が経過した。遺伝子操作は数種類の原住動物に対して行われたが、最終的にもっとも好ましい成果が見られたのはあの“宇宙ネコ”だった。元来の身体能力と知能の高さが他の動物よりも抜きん出ていたためだろう。十数世代の“進化”を経て、長い尾でバランスを取りながら後脚で直立歩行ができるようになり、自由になった前脚の4本指でモノを掴めるようになった。知能も発達し、簡単な言語を学習し得る可能性も見せはじめた。顔つきはさほど変わらないが、幾分表情が豊かになったか。宇宙ネコは