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アニメ『天官賜福』その後を小説で知ろう その五 第39章

こんにちは。ふわちゃまるです。
今日は『天官賜福』二巻 第三十九章のお話をしたいと思います。

温柔郷事件から数か月後、仙楽国はほんの少しだけ平安が訪れて謝憐も散歩をするくらいの日でした。でもね、これは嵐の前の静けさ…
皇城内で人面疫が発生したのです。

人面疫はアニメでも何度も触れていた仙楽国を滅亡に導いた疫病で、顔や体に人の顔のような腫物ができる呪詛です。小説の描写は凄惨でこれまたホラー映画並みの気味の悪さがあって何度も本を閉じました。
うぅっ、こんなの体にできたら嫌だっ!

でも、一番の問題は人面疫が発生したことで仙楽国の人々の感情が揺れだしたことです。
仙楽太子は神様なのに病は治せないのか…、あんなに怒ってもっと温和な人だと思っていたのに…、そんな失望の声があちこちから沸き上がります。

なんというか…、胸がざわつく。
気楽に神官をやっていればよかったのか、民のために人界に降りたのになぜこんな言葉を受けるのか、考え抜いて出した結論だったのになぜこうも失敗だと言われるのか…
謝憐の苦悩は募り武神なのに戦いでも劣勢を強いられるようになります。

そんな謝憐の葛藤を「若者は自分で転ばないとわからない」と国師は突っぱねました。もう、謝憐にはすがるものがない。どんどん追いつめられます。
でもね、私は謝憐を責めるのは間違っていると思った。花城の言葉を借りれば「愚かだけど勇気がある」ですよ。
すさまじい覚悟で挑んだ彼を責めるなんて私にはできません。

『天官賜福』はBL小説とカテゴライズされていますが、問いているのは人の善悪、道徳心、両者間の争いと普遍的なことだと思います。
なんなら学校の授業で使ったらいいんじゃない?温柔郷のところは省くとして…と思ったりするぐらい深い部分ですよ。

今も世界中で戦争は起きて多くの犠牲者を伴っている。でも、どれだけ第三者が介入しても解決に向かわない。それはどちらも正しいという信念のもとに戦っているからでしょう。
『天官賜福』を読むと、人はなぜ争うのか、正しさとは何かを深く考えさせられます。

さて、今月半ばには日本語翻訳三巻が発売されます。
もちろん、予約済みです。
またこの続きは三巻を読破後にまとめたいと思います。

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