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絵ッセイ 「心の声と風が届けた自由」

目次
はじまり
頭の中心で9cmのあなたと巡り合った
あなたはだあれ?


「心の声と風が届けた自由」

これは、実際にいる女の子「あーちゃん」のことを書いたお話しです。

あーちゃんは、よく森や森林の中をひとりで散歩したり、その世界のエネルギーとイマジネーションをコラボさせながら遊んで過ごすことがあった。

ある日もそのように歩いていた。木々を抜けていく風を感じながら心の奥から聞こえる声を眺めていた。1つの疑問を持ちながら。

1つの疑問とは、がんに集まる“ 抱かれた印象 ”は本当にそうなのかな?ということだった。あーちゃんも、もちろんどんな病か知っていた。しかし、未知なことが多かったのかその頃のあーちゃんにはどうしても“ 抱かれた印象 ”と全く直結していなかった。「9cmのあーちゃん」を悪いやつとも思っていなかった。

サワサワサワ〜っと木々が揺れる中をひかりが差す。ひんやりしてあたたかい。
あーちゃんは、じぶんの身の中にも存在しているらしい9cmの“ 抱かれた印象 ”の気配を心の声に集中して眺めることにした。

歩みを進める中、あーちゃんは恐くなった。歩いている空間も少しコワく感じてくる。同時にこの恐さは“ 抱かれた印象 ”から生んだエネルギーから生命を守ろうとする本能のようなセンサーのように感じた。しかし、“ 抱かれた印象 ”の様にそうなるのかそうならないかはどこかで知っているような氣もした。そして、生命の可能性は多様に観えた。何かそこから来てそこへ還るという感覚が飛んでくる。

あーちゃんの歩く先で道の真ん中に立つ1本の木があり、そこから木々の中を深める道ともう片方の細い道があった。気がつけば、真ん中に立つ木のところまで歩いていた。その木の前で足を止めた。ポカホンタスの柳の木のおばあさんみたいだった。その木に風が流れていく。

木は、あーちゃんの心に「あなたは、何を思い巡らせているのでしょう?」と問うてきたように感じた。あーちゃんはイマジネーションと心の巡りを眺めた。あーちゃんには心が満ち満ちるほど幸せへの道が観えた。みんながいることや夢。この地球という世界。その道中がどうかとかはなく、ただそこが観えた。

なんとなく、さっきまでの恐い世界はシュワシュワと空気の中へミストのようになった。そして真ん中に立つ木のところから、もう片方の細い道に意識は向いて歩き出した。
風の広がりと共に野原に出た。そこには草花と木々と空を自由に風が緩やかに舞っている。

その時一瞬イメージが飛んできた。真っ直ぐな力強いママの目が「絶対に良くなるよ。」と伝えた時の瞬間が過ぎる。まるで、あーちゃんよりもその未来を観ているようだったあの目。無常の愛とこの子は生きるという信念。
その時のあーちゃんはなんの疑いもなくシンプルに「うん^^」と生命力に漲って答えた。心には“ 抱かれた印象 ”の気配が全く存在していない。

風は少しひんやりしながら自由に舞い、白い月と平野越しから陽のひかりが澄んだ空に放射する。
そして今に心が落ち着いた。だから、まずは今に集中しようと思った。そして、何か変化も感じた。あーちゃんの心身よりさらに内から、美しい風景の広がりと望みを眺めそこへ向かうことのありがたさの息吹が溢れた。

つづく

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