他人を褒める

 本当に色々と切羽詰まっていてもうまったく時間がないのでさらっと書く。前々から気になっていたことを書く。
 自己肯定感というやつだ。「最近は自己肯定感の弱い人が多い」だとか、「私には自己肯定感がない」なんて言葉をここのところよく耳目にする。いつごろからこの言葉が使われ出したのか、はっきりと意識して調べたことはないけれども、たぶん2000年代の中ごろ以降で、それまでは自尊心と言っていたように思う。
 もちろん自尊心(自己肯定感)の形成には親子関係が大きく関わっているだろうし、無根拠ながらも、褒められて育った子どもは自己肯定感が強くなるのだろうなという手触りのようなものはある。
 大人になるとなかなか褒めてもらえない。でも、だからといって、大人になってからこうした自尊感情が育たないかといえば、そんなこともない。
 自尊心を高める方法は、他人を褒めることだと僕は思っている。逆説的に思われるかもしれないが、自尊心の低い自分を褒めるのではない。いま目の前にいる他人を褒めるのだ。
 他人を褒めるためには自分の中にある種の規範や基準が必要だから、他人を褒めていると、そうした基準が自分の中でしだいに育ち、そして、それがやがて自尊心につながっていく。
 だから自分は自尊心が弱いなと感じている人、自己肯定感がないなと思っている人は、自分を褒めるのではなく、どんどん他人を褒めるといい。
 他人のいいところを見つけて褒めることに慣れないうちは、きっと心の奥底で嫉妬しているだろう。やっかんでいるだろう。そのいやらしい感情をまずは自覚するのだ。自覚した上で、そうした感情を抑えてただ褒めるのだ。
 そうやって他人を褒め続けていれば、いずれは今ここにいる自分こそが、自分そのものなのだと、ある種の諦めを持って受け入れられるようになるはずだ。自己肯定とは自分に自信を持つことだけではなく、できない自分を認めることでもあるのだから。そうして何かを諦めることでもあるのだから。
 人は他者との関係の中で生きているから、他者をしっかり認めることは、自分自身を認めることにつながってる。それはちょうど塗り絵のようなもので、まわりをすべて塗れば、何も塗っていない部分だって、やがて白としてはっきりと浮かび上がってくる。自分が浮かび上がってくる。僕はそんなふうに考えている。

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いつだってエブリデイ!
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たいていのことは苦手です。

コメント3件

「自己肯定とは自分に自信を持つことだけではなく、できない自分を認めることでもある」。この言葉になにか気づかされたように思います。ありがとうございます。
自分の「褒めるのが苦手な理由」がわかった気がします。今日からは訓練だと思ってどんどん褒めていきます!
自分の価値観で相手を評価する行為は、アイデンティティの形成に役立つということなんでしょうね。
褒めて褒められてwin-winな素晴らしい世界です。
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