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南直哉老師の講演会

2018/8/30「魂のゆくえ」@愛知学院大学があり、終了後、老師の控室に行き質問をしました。訳あってnoteに採録してました。
            
[遊民]
はじめまして、普通に近所で僧侶をやっている者です。講演とは関係ない質問ですが、失礼します。日本の財政について。主に社会保障費が今後、増加して私たち国民、特に若者の負担がジワリジワリと増えて生活が厳しくなってくと思います。そのような時代において、私のような一介の僧侶が、この問題に対してできることはありますか?並びに老師は、この現状に悲観的か楽観的か、ご意見を頂きたいです。

[南老師]
最近、いろんな僧侶の研修で言うのは、貴方たち30歳位の人間は、60歳以上の人間の言うことを聞いたらダメということ。我々(60代の人間)は高度成長を暮してきた。つまり、人口と経済のパイが大きくなる中でやってきた。そういうところで成功も失敗もしてきた。(翻って)今は、はじめて人口と経済も数学的に収縮していく。つまり、そういう状況を我々は経験したことがない。だからこっから先の話は我々には根本的にアドヴァイスできる体験がないわけ。

そうすると30歳以下の人は、これから少子高齢化の大波をかぶる。それはもうトライ&エラーでやるしかない。トライ&エラーで大事なのは失敗した時にお互い助け合って、もう一回立ち上がること。トライ&エラーは結局どれだけ我慢できるかってこと。一発当てればいい。百不当の一当(一老)って道元禅師も言ってる。一当すればいい。その99の失敗を耐えられるかどうか。この覚悟と努力がいるわけですね。

で、宗門の将来は例え近所でとりあえず僧侶をやってる人であろうと…。君たちに懸ってるんだから、君たちが何とかするしかないわけですよ。だから僕は、今までの、求められれば経験は語るし、自分がそうだろうと思うことは言うが、基本的にこっから先の社会、というかここから先の行く末に関しては、僕の中から智慧が出るとは思ってないですよ。むしろトライ&エラーする君らの世代をバックアップする方が、あるいはその道を空けれる方が上手に道を譲る方が大事なことだろうと思う。

無理ですよ。わかんないもん。だって我々は人口がでかくなって、経済がでかくなるところをずっと走ってきた。で、90年代になって俺が永平寺の講師になって内講をもったときに必ずそうなるって言い続けていた。内講聞いてた奴は聞いてたはずだけどピンときてなかった。ところが、漸くここになってぴんとくるわけでしょ?

だから最近私は浄土真宗とか日蓮宗とか真言宗とか僧侶の研修とか青年会に呼ばれる。曹洞宗の研修の僕が喋ったテープが回ってると言う。それでなんで僕なんですか?と聞くと、こういう話をする人はうちにはいないからと言う。みんな頭の中で思ってる。このままじゃうまくいかないって。わかってる。

これから貴方たちは、僧侶と寺の生き残り戦争の中に入っているんだから。貴方たちが今やらなきゃいけないのは、まず自分の足元固めること。なんで坊さんやってるのか。なんで曹洞宗なのか。それほど坐禅や修行が必要だと本気で思ってるのか。何を人に向かって説くのか。足元固めるのが先です。永平寺とか総持寺とか修行道場万歳じゃなくて、その修行が自分にどんな意味があるのか。明確に言語化できないと、ついてこないですよ!相手はスマナサーラとか、あのレベルなんだから。

自分の中に教えと経本を自覚化しておかないと。対抗できないですよ。それがはっきりわかった上で、例えばボランティアとか社会活動。ボランティアは誰でもやるのに、なぜお坊さんがやるのか。はっきり言えなきゃダメ。やりゃいいってもんじゃないですよ。何をやってもいいが、それはなぜ曹洞宗僧侶としてやるのか。このことを自覚できない限りは、ここからは勝負にならないですよ。

という訳で、みんな待ってるからこの辺で!
暇があったら恐山に遊びにおいでYO!

[遊民]有難うございました(涙)

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南老師の言葉を真に受けて恐山まで会いに行ってきたときのツイート

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なぜ、老師に冒頭の質問をしたのかは、このツイートに遡ります。


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