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【絵本レビュー】 『ばけばけばけばけ ばけたくん』

作者/絵:岩田明子
出版社:大日本図書
発行日:2012年7月

『ばけばけばけばけ ばけたくん』のあらすじ:


ばけたくんはおばけのこ。くいしんぼうなおばけのこ。
ばけたくんが活躍するシリーズの3作目では、ばけたくんがふわふわやってきて、夜のお祭り屋台でつまみぐい。。。

『ばけばけばけばけ ばけたくん』を読んだ感想:

お祭りの屋台にある食べ物って、なんでも美味しそうに見えますよね。普段は家で食べられないようなものばかりあって、お祭り自体よりも出店を見るのをいつも楽しみにしていました。ばけたくんじゃなくても、思わず食べ過ぎてしまいそうです。

私の父は出店の食べ物をあまりよく思っていなくて、特に気にしていたのは衛生面だったようです。「屋台の人はトイレなんかないんだから、その辺でして手も洗わずに料理してるんだぞ。そんなものは食べるんじゃない」というのが彼の理論でした。でも大抵祭りに連れていってくれるのは祭り好きな母で、母は父の「食べるのはかき氷だけだぞ!」という声をさらりとかわし、私を家の外へと追い立てます。太鼓の音に合わせてウキウキしているのは、私より母の方でした。

祭りの場所に着くと、道の両側には屋台がずらりと並び、オレンジ色の明かりは幻想的で、なんだか違う世界に入り込んでしまったようです。食べ物はもちろんですが、何よりも気になったのはのれんに書かれた文字です。「りんご飴」は丸みを帯びたリンゴが飴の殻に包まれているように見えたし、字がぎゅっと詰まった「お好み焼き」は、中に具が詰まったお好み焼きのように見えました。私は何を食べたらいいのかわからず、同じ道を何度も行ったり来たりしましたが、母は割とこだわらずにさっさと買って、もう手にはいくつかのプラスチック容器を持っていました。それを見ると私は焦るのですが、母の「冷めるから早く決めてよ」という声に焦りはさらに増します。それで結局一番近くのたこ焼きやお好み焼きを買って落ち着き、そのあとでかき氷のブルーハワイといういつものパターンに落ちるのでした。

屋台を見るとなんでも食べられるような気がしました。小さい頃私はすごく少食だったので、お祭りでは結構食べたと思います。本当に違う世界に行っていたのかもしれませんね。

『ばけばけばけばけ ばけたくん』の作者紹介:

岩田明子
1967年、東京生まれ。1991年、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科を卒業。2004年、子どもの本専門店「メリーゴーランド」(三重県四日市市)主催の「絵本塾」に参加。絵本作品に「ばけばけばけばけ ばけたくん」シリーズ、『とんねる とんねる』『どっしーん!』『どんどん くるくる(中尾昌稔・文)』『そらからふるものなんだっけ?』(ともに大日本図書)、『こちら たこたびょういん』(PHP研究所)、『はらぺこソーダくん』(佼成出版社)、『でてくる でてくる』(ひかりのくに)がある。

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