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私の、ポジティブな心臓病の姉の話

私には3歳年上の姉がいる。
この姉は、ファロー四徴症という心疾患を持って産まれてきた。
そして時々聞く、産まれてきた時に産声を上げずに逆さにしてお尻を叩いたりなんだりしてやっと泣き声をあげました、みたいな産まれ方をしてきている。
姉が産まれたのは40年ほど前なので、当時の医療では姉の命は救えるのかはわからない感じだった。
正確には覚えてないが、2.3度大きな開胸手術をしているので、左脇あたりに横に1本と胸の真ん中に縦に1本手術の縫合痕が今もはっきりとわかるくらい残っている。

姉は5歳ほどで命はなくなるかもと言われていたのに、幸いにして今も普通に生きている。
ファロー四徴症に対する手術自体は成功したため、心臓に関しては一応薬などは必要はない。
ただ、手術による神経破損によって心臓が1拍休むため、トントンウントン、みたいな不整脈を常に抱え、激しい運動は出来ないので体育は見学、体調が悪くなることもしばしばある。
でも、本当にかなり普通の人として生きている。
そしてすごくポジティブ思考で、行動派で気も強い。
365日24時間常に幸せ、と言っている。

私は本当に姉を尊敬している。

私はけっこうネガティブで、人に嫌われたくなくてすぐ落ち込んですぐクヨクヨ悩む。
五体満足で運動もできるし、食べ物の好き嫌いもなく、友達も多くて、美貌という面では足りないけれど、割とちゃんとした人間として生きているのに、全面的に幸せ!とはあまり言って来なかったので、いつも姉はすごいな、と思っていた。
余談だが、今は私も色々あったため、姉ほどではないが今が幸せ!と思えるようになっている。

姉にももちろん欠点はある。

けっこうワガママだし、好き嫌いは多く、物事をはっきり言うので敵も作りやすい。
その分味方もけっこういるわけだが、とにかく姉を好きな人と嫌いな人はキッパリ分かれるのだ。
私はもちろん、好き、である。

私には娘が2人いる。

私は婦人科系の疾患を患っているため、なかなか授からなかったし、いざ子供が産まれるならもう男でも女でもなんでも元気に産まれて来てくれ、と思っていたけど、1人目が女の子と聞いて何故かホッとしたのだ。
夫は男の子が欲しかったので、2人目ができた時はそれこそどっちでもいいと思ってたけど蓋を開けてみれば女の子で、でも私はちっともガッカリしなかった。

やはりそれは姉の影響が大きいと思う。
親子でもなく、でもひとときを一緒に過ごし、同じような価値観で幼少期を過ごして、大人になってわかれ、でもふとした時にどうでもいいことをLINEや電話や直接会って話せるのはやっぱり姉だけなのだ。

例えば、夫は私の良き理解者なのだが、育ってきた環境が違うから、私の話を聞き流すことが多い。
しかし、私が育ってきたのは常にディベートする家族に囲まれた環境なのだ。
私の言ったことに対して、それは違うと思う、それは同感だ、こんな意見もある、などとうちの家族はあれこれ意見するのだ。
それに慣れている私は、お母さんはすごくおしゃべりだけど相手が聞いてるか聞いてないかは関係ないので、いつも聞き流していた夫が、私の話を聞き流すことに耐えられない。
私はただしゃべりたいのではなく、私の言ったことに対して意見が欲しい、相手があるというのはそういうことだ、ともう15年以上夫に言い続けているが、未だ聞き流そうとする時がある。
だいぶ減ったけど。

その点、姉は絶対意見を言ってくる。
反対意見も勿論だ。
そして、私も姉の話に意見を言う。
この意見を言い合うことが私にとっては大切なのだ。
そして、同年代で同じ環境で育ち、同じ親を持つ人は姉しかいないので、姉は私にとって非常に貴重な存在なのだ。
同性だというのもけっこう重要だ。
だから、娘達は姉妹で良かったな、と結果論だけど思っている。

姉は昔から目立っていたし、目立つことが好きだった。
対して私はそこまで目立ってなかったし、目立つことも特に好きではなかった。
姉はギャルだったけど、私は茶髪や金髪にしてたことはあったけど、ギャルではなかった。
姉はハウスのDJをやっていてクラブに出入りしていたけど、私はクラブのノリとかも正直苦手だ。
似てないね、お姉さん綺麗だね、など何度言われたかわからない。
それでも、見た目も中身も全然違うけど、私達は本当に仲良しだったし、今も仲良しだと思っている。

そして、こんなに尊敬してやまない姉だが、私は1度も姉みたいになりたいとは思ったことはない。
強さに関しては憧れはあるけど、姉のような人生歩みたいな、とはやっぱり思わないのだ。
もちろん姉もたぶん私のような人生を歩みたいとは全く思っていないと思う。
そこがまた、ずっと仲良くいられる要因だと思ってる。

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