多職種連携教育(IPE)国際シンポジウム


IPEの相棒と弾丸東京日帰りツアー。

 東京都立大学健康福祉学部・教育改革事業記念 多職種連携教育(IPE)国際シンポジウム 
ー世界と日本のIPEの20年、これまでの変遷とこれからの進化を探るー
に参加してきました。

 日本でのIPEの歴史はまだ20年くらい。その先駆け的存在である東京都立大学、群馬大学、新潟医療福祉大学、埼玉県立大学、千葉大学のIPE立ち上げと発展の経緯、現状の課題や今後に向けての展望などを聴くことができました。各大学の取り組みについては、これまでにも読んだり聞いたりしたことがあったので、新しいと感じる内容ではなかったのですが、5大学の取り組みを一気に聞くと流石に圧倒されてしまいました。
さらには、先駆者たちがモデルとしたCAIPE(The Centre for the Advancement of Interprofessional Education:英国多職種連携教育推進センター)の上級アドバイザーの方の講演もある、とっても贅沢なシンポジウムでした。ドタバタの弾丸ツアーだったので、せっかくお会いできたIPEのトップランナーの方々にご挨拶のひとつもできなかったことが、唯一の心残りです。

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 予算獲得で一時的に勢いづいて、予算が切れると失速するIPEもある中、今日発表をされた5つの大学では、理念をベースに戦略的に予算を獲得してIPEを発展させてきたのだなと思う。それでも、黎明期を担ってきた人たちは後継者の不在が課題と口をそろえる。IPEに意義と価値を見出し、関心を持って開発・実践する教員は足りていない。IPEの理論を教授できる専門家も少ない。どの教員でもIPE科目を担当できるよう内容をパターン化したり、教材を作ったりして継続性を図る取り組みもなされているが、そこには「形骸化」のジレンマがつきまとう。堅実に発展を遂げてきたように見える取り組みも、実は個人の力量と献身によって支えられてきたのかもしれない。
 それに比べると、会員(個人、学校、医療機関)からの会費によって運営されている(政府からの補助はなし)CAIPEは、何故あんなに骨太でいられるのだろう??
 プライマリ・ケアや家庭医療という英国の医療制度の特徴が文化的な基盤となってCAIPEみたいな運営体制を支えているのかも知れないと思うと、立地条件が日本のIPEとは根本的に異なるような気がする(詳しくないので、印象)。

 さて、いくつかの専門職養成でコアカリキュラムにIPEが組み込まれたとはいえ、全国の保健医療福祉専門職養成校にでIPEが実施されるまでの道のりは、まだ遠そうだ。
 私たちがやっている「サードプレイスIPE」は何ができるだろう?

 組織的な実践には至らなくても、個人レベルではIPEを実施していたり、実施したいと思っている教育者はいるだろう。その人たちが、まずは1コマでも「一緒にやってみましょう」となるような、出会いと繋がりが生まれる場所をつくれるといいな。

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