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陽キャだろうとオタクだろうと、みんなが一体感を感じられる場所

いま、私はニューヨークのクイーンズという街にいる。1ヶ月以上が経過して、なんとなくニューヨークのエネルギーや人がわかってきたような気がしているので今日はそのことを書きたい。

と思ってたけど、まだそこまで語れない気がしてきた。なにせ、どの街へ行ってもどの駅で降りても、風景が全く違っていて当然そこに住んでいる人々180度違うからだ。奥深すぎる。ワクワクする情報が多すぎる。

これだから、日本では基本引きこもりで体力のない私も、ほぼ毎日外出して街を散策しては日焼けをして黒くなってしまった。

まだこの国のことを私はなにも知らない。だけどすでに帰りたくないと思ってしまっている。それくらいニューヨークにはエネルギーが満ち満ちている。

ある日、私は日本から一緒に来た友人(彼女は2週間の滞在)と、ブルックリンにあるクラブへ出向いた。お目当てはJon Hopkinsというミュージシャン・プロデューサーのイベント。幻覚セラピーのための音楽”と言われるほど、リスナーを新たな次元へと導く新感覚の体感型ミュージックを感じることができる。

偶然に二人ともJon Hopkinsが好きで、「ニューヨークにいったら絶対に生で音を聴きにいこう!」と出発する前から生き込んでいた。


当日になって、私たちは高揚感と同時に不安も感じていてドキドキしていた。なぜなら、ニューヨークのクラブというだけで、ドラッグにナンパ、暴力に拳銃。映画の影響が強くイメージにあるからだ。

恐る恐る、開場の時間に現地に向かう。IDとオンラインDISEで買ったチケットを見せて無事に中に入ることができた。中には見たことのない機械があってみんなそこで何かを登録して入場していく。

その機械に自分のカードを登録して、入り口でもらったバーコード付きの紙でできた腕輪をかざすだけで、バーでお酒を買えるというものだった。画期的だ。酔っ払って財布を無くすことも少なくなるし、多額の現金を持ち込んで盗まれることもない。(ちなみに私が頼んだレッドブルウォッカは1杯3000円した。お酒は元々単価が高いけど円安が恐ろしくなった。)


フロアへ入ると、まだ人は少なくガラガラだった。お目当てのJon Hopkinsがはじまるまで代わりのDJが音を鳴らしている。トイレがしたくなりレストルームを探して2階へ上がると、そこには見たことのないマークがあった。♂マークと♀マークが重なって下には“gender neutral”と書かれてある。性別不問のトイレだった。

人生で初めて見たので、かなり衝撃を受けた。さすが多様性の街!

ただ、ここはニューヨークのクラブ。何があるかわからない・・。中に入るとスタッフらしい黒人男性が入り口に立っている。洗面台には白人男性が腰をかけて電話をしている。(見た目は)ごつい男性ばかりだ。私はビビる。


どうしていいかわからないでソワソワしていると、そこが空いてるぞとスタッフらしき男性が声をかけてくれた。thank youと言って、私はトイレを済ます。手を洗ってメイクを確認していると鏡に「勝」と落書きが書かれてあった。意味はわからないが漢字を見つけて少しホッとした。

何事もなくフロアに戻ると少し人が増えていた。しかし、何かがおかしい。


来る人来る人、みんな真面目な格好をしている。中には露出の激しい女性もいるけどむしろ少数派で、派手な人はほとんどいない。

いわゆる真面目な会社員やオタク系の人たちばかりだった。私たちが恐れていたクラブのイメージとはまったく違う。もちろん、ナンパもなく暴力的な喧嘩もない。みんな本気で踊って、本気で音を感じにきている人たちばかりだ。

外のスモーキングエリアには人が大勢いて、WEED(マリファナ)の匂いが立ち込めている。見た目は真面目でお酒やタバコなども一切しない健康志向に見えても(マリファナは健康にいいけど、そうじゃないと思う人もいる)、ちゃんと楽しむとこは楽しむという姿勢がとても好感を持てた。


私はもう何年もクラブは行っていないけど、こんな光景は日本では見たことがない。正直、日本のクラブは音を聴いてる人は少数派で、女を求めて男がくるような(逆も然り)出会いの場と化している。来る客層もいわゆる陽キャばかりで、オタクや真面目な人は迫害されている印象だ。


このクラブに入ってから、カルチャーショックだらけだった。

私たちの不安はいっきに吹き飛び、異常なまでに居心地がよかった。いろんな人種の人がいたけど、アジア人は少ない。旅行者で日本人はおそらく私たちのみ。それでも、みんなが同じ音を好み、何か求めてここにやってきている。招かれているような気持ちになった。

Jon Hopkinsのライブは想像以上に素晴らしかった。久しぶりに一体感を感じて、多幸感が長らく続いた。(ライブの雰囲気はYouTubeでご覧いただけます

23時頃にイベントが終わると、人々はそそくさと会場を出て行った。まだてっぺんを回ってないのになんて健全なんだ。笑 


私たちも外に出て、おとなしく帰ろうかと帰りを調べていると、どこからともなくバイブスの上がる音が聴こえてくる。しかもかなり大きな音で遠くから聴こえるのに身体に振動が伝わってくる。(深夜の住宅もある街だよ?)

これは行くしかないと、夜のブルックリン(しかも夜は危ないと言われるブッシュウィック)を音の成る方へ走り出した。

残念ながら中には入れなかったけど、東京ドーム3つ分はありそうな大きな開場でDavid Guettaがイベントをしていた。当日券は売り切れでキャンセル待ちのような人がちらほら並んでいた。中からもれてくる音と人々の熱で、勝手にテンションが上がってくる。ひと昔前はかなり流行っていたけど、最近はもっぱら聴かなくなった。ライブになるとこんなにヤバいのかと衝撃を受けた。

このまま朝までいようかと思ったけど、次の日も予定が詰まっていたのでしぶしぶ帰った。だけど、一生思い出に残るほどの最高の夜だった。


どんな性別も、どんな人種も、どんな人も、招かれているような気持ちになる場所。陽キャだろうとオタクだろうと、みんなが繋がって一体感を感じられる場所。誰一人として「自分はここにいていいのだろうか」と疑問を持たないでいられる場所。

そんな場所がニューヨークにはある。


人が明るく生きていくためには、そんな場所を一つは持っていないといけない。無条件に「自分はここにいていい」と思える場所。それがどこにもないのであれば自分で作るしかない。誰かが誘ってくれるのを待つのではなく、自分たちで動いて、自分の足で探し出さないといけない。

私の知る限り、日本にはまだない。 がんばろうね。


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