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ゲームマーケット2019秋で設営にこだわった話

タイトルの通り、ゲームマーケット2019秋におけるバンソウの設営についてお話しようと思います。これからゲムマ出展を予定されている方々の参考に少しでもなれたら嬉しいです。

ゲームマーケット2019秋では、バンソウは企業ブースでの出展でした。出展自体は2019春に続いての2度目ですが、前回は一般ブースだったので初の企業ブースです。
企業ブースは一般ブースに比べて少しだけ広いですし、そのおかげでやれることも増えました。エリア出展にもなれば(お金さえかければ)どんなことでもできそうな気がします。
とは言え一般ブースで再現しようがないことを話しても仕方ないですし、ここでは汎用的な「設営において考えるべきポイント」に特化してお話します。

ちなみに僕は前職がモバイルゲームの開発会社だったのですが、ここ数年はそこで自社のゲームIPを用いたコラボカフェやグッズの企画制作をしていました。そんなバックグラウンドを承知の上で読んでいただくと、「何言ってんだコイツ」感が薄まるんじゃないですかねどうですかね( ◠‿◠ )
あとちょいちょいこの引用スタイルを用いますが、別に何かを引用しているわけではなく注釈のような使い方をしています。

[はじめに] バンソウの設営こんな感じでした

ひとまずバンソウの設営をお見せします。事前に作った設計図と当日準備中の設営写真を並べてみますね。

↓まずは販売エリア。

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↓試遊卓のうち一つを展示エリアにして、片面をコトバグラム、その裏をトポロメモリー3の紹介に充てました。

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当日いざ設営となって、販売エリアのテーブルクロスの丈が足りねぇとか(今見直してみると)商品の置き方が当初の想定と逆になってるじゃんとかありますが、まぁ概ね事前のイメージ通りです。
では何をイメージした結果、この設営になったのでしょうか。最初に汎用的な考えを二つ述べたのち、ちょっとした注意点やテクニックなどを軽くお話したいと思います。

[汎用的な考え方-01] 視線を予想しよう

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たくさんのお店が並ぶ広い空間。何かめぼしいものはないかと探す人は一体どこを見るのか。近くのものを見る時には何に注目する?距離が遠い場合は視線はどこにある?

これを考えることがすべての基本です。しかし想像するだけでは不十分。必ず自身の体験を誤りなく記録し、活かすようにしましょう。
僕の場合、ちょうど同会場でデザインフェスタが開催されたのでそこでいろんなブースを見て回ってみました。案外気づくもの、気づかないもの、欲しいと思わせるもの、欲しいけどなぜか手が進まないもの、そのような自身の体験を持って、視線の動きなどをシミュレーションしました。
結果、一つの結論にたどり着きます。

「来場者の目線は常に上にある」

会場に来る方は、前述の通り「何かめぼしいものはないかと探す人」でしょう。きっと気分が高揚しています。積極的に興味あるものを探しているはずです。そういう人は、視線を下げないんです。(言い換えるならば「ディズニーランドに入った時、足元ばかり見て歩きますか?」という話です)

なので目線を深く下げさせるような設営はNGです。そもそも視界に入ってこないですし、あとは目線を下げている状態というのが、基本的によろしくないと思うんです。

試しに近所を視線を下に向けて歩いて帰ってきてみてください。どこに何があったのか覚えていないばかりか、無意識に他の考え事をしてしまったり、気分がなんか暗かったり静かだったりそんな気持ちにならないですかね。目線を下げさせることは、心を閉じさせることにつながると考えています。

というわけで設営において必ずやるべきことはこれです。

「高さを意識した設営」

飾りが派手だとか、何か大きいものがあるとか、そんなことよりも大事なことがあります。人が視線を向ける先に、見て欲しいものをあらかじめ用意しておくことです。
自然と目に付くものというのは、視線を強制的に誘導するものではないのです。

[汎用的な考え方-02] 設営の意味を考えよう

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ブースを見た人がどんな気持ちになるのか考えましょう。その気持ちはこちらが意図しているものでしょうか?

例えば何か大きいオブジェを置いたとします。通りすがりの方がそれを見て「大きいですね!」と言った時に、「大きいんですよ!」と返すことがやりたいことですか?というお話です。

電車がテーマのボードゲームを販売するブースが、試遊卓の半分を使ってプラレールを走らせたとします。通りすがりの方がそれを見て「電車を走らせてるんですね!」と言った時に、「自分で作ったレールを好きな電車に走らせるのが昔から好きで、そういうボードゲームを作ったんです。電車お好きならぜひ遊んでいただきたいので、少しだけでも試遊いかがですか?」なら意図した通りかもしれません。

「ゲームをイメージしてもらえる設営は理解を早くする」

ということです。
まず立ち止まってくれることだけでもすごいことで、大きなチャンスなんです。だとすれば、立ち止まってくれたきっかけがそのままゲームの説明につながるのが一番スムーズではないでしょうか。

設営も世界観を大事にしましょう。ゲームのフレーバーと設営のフレーバーがあべこべだったら、お客さんはやっぱり戸惑いますよね。
ゲームマーケットにおいては販売ブースもまたゲームのパッケージなのだと考えて、自身のゲームに合わせた設営をしましょう。

[お金の話] 設営にかかる費用の考え方

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今はコミケもデザフェスもありますし、設営に関しても様々なオーダーメイドサービスがありますよね。それらを駆使すれば素晴らしすぎる設営が出来てしまうわけですが、お値段もそれなりにかかるもの…。出展費用もあるし、当日どれだけ売れるかわからないし、設営費なんて捻出できないよという人も多いかと思います。

大前提として、設営で赤字になるのは絶対ダメです。

あらかじめ売れる見込み数を固めに試算し、そこからいくらなら設営に使えるのか(参考値はもちろんあるものの、企業のプロジェクトとして取り組んでいる訳でもないならこの辺りは人それぞれ、各々の価値観で良いと思います)を考えて、きちんと収まるようにしましょう。

そして基本的には、設営の小道具はありものを使うで良いと思います。ポスターやパネル、タペストリーなどはどうしても作る必要があるかもしれませんが、工夫を凝らせば多くのモノがありもので済ませられます。

逆に言えば、わざわざ作らなくとも(作れないという人も)適度なサイズのありものをamazonで探して買ってしまえばいいのです。
什器(じゅうき)で検索すると色々なものが出てきます。ゲームのパッケージサイズを測って、ちょうど良い塩梅のものを取り寄せてみましょう。綺麗に使えば今後数回に渡って使いまわすこともできます。

ちなみにバンソウの展示エリアで、六角形の黒いボックスの上に商品を展示してみたんですが、そのボックスは帽子ケースとしてamazonで販売されていたものだったりします。アイデア次第でどんなものでも設営に使えちゃいます。

[できればやった方がいいこと] 設計図を描こう

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上の画像はバンソウブースを上から見た際の設計図です。ざっくりしたものですので最終的にはここから結構変わりましたが、それでもこれ(および最初にお見せした設計図)があったおかげで、当日の不安やトラブルは極力抑えられたと思います。

ブース卓(机)のサイズは運営から知らされているので、簡単にでも設計図が作れるはずです。方眼紙買ってきてフリーハンドで描くでもいいんです。この手間はなるべくなら惜しまない方がいいです。

設営にあたりまずは設計図を描く。なんなら設営アイデアは描きながら考えましょう。そして設計図に近しい什器を探す。什器ありきで設計図を描くのもアリかもしれませんが、前述の通り目的を見誤らないようにだけ注意しましょう。

そうやって形にしていくことで、当日どのように売るのかのイメージもまたついてくるはずです。

[それなりに見えるテクニック] 立体感を出そう

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立体的なものは平面的なものよりも目につきやすいです。人間の目がそういう風にできてるんですよね。
別に模型を作れとか等身大フィギュアを置こうとか大それた話ではありません。安価で実現させるのにオススメしたいのが、切り抜きパネルです。

サイズによって値段はまちまちですが、注文自体は非常に簡単にできます。これらをうまく使うことでブースが華やかに、奥行きある見た目になるでしょう。

バンソウでは展示卓に横幅900mmサイズのパネルを立てて、そこに切り抜きパネルを貼りました。わざわざ切り抜かなくとも、900mmパネルの中に印刷することももちろん出来たのですが、あえてデザインを分割して貼り付けることで、立体感を出し、目につきやすくさせたという意図があります。

[最後に大事なこと] 設営は楽しいが、可能なら誰かにお願いしよう

ゲームデザイナーの方々はゲームを作ることで手いっぱいかと思います。僕はそれで良いと思っています。ゲームを作った人が、その売り方を一番理解しているとは限らないからです。

バンソウは分業スタイルを取っています。ゲームデザイナーであるミヤザキがゲームを作り、僕はそれがいかに素晴らしいものなのかを知ってもらうために頭を悩ませます。一緒になってゲームのルールを考えたりはしません。(トポロメモリーやコトバグラムにおいてカードのアイデアを出したりはしますが、根幹部分に口を出したりはしないということです)

今回の設営に関しても、ミヤザキからの強いオーダーはありません。僕が「こうあるのが良いのでは」と思う設営を提案し、そのまま形となりました。その結果、ミヤザキはゲムマ前の様々なテストプレイ会に集中できたのではないかと思いますし、ゲームデザイナーがいつでもゲームのことを中心に考えていられるというのは健全だと思うのです。

なのでゲームデザイナーの方々は、自分が作ったゲームの売り方を他人に任すという選択肢もぜひ考えてみてください。そして販売や告知のお手伝いをされている方々は、作ることだけがゲームへの関わり方ではないということを知り、自信を持っていただければと思います。

素晴らしいプロダクトは素晴らしいチームから生まれる。バンソウはそんなことを証明していけるチームでありたいですね。

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