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DAY2 温泉とピンボール

金属のボールがけたたましいベルの音と共に回転プルートから飛び出てくる、3000ポイントと書かれた穴を尻目に重力に従って落下する。先には漆黒の闇が待ち受けているが、闇の両脇には聖なる騎士がいて、左右のボタンに従い金属のボールを重力に逆らい弾き返してくれる。勢い良く弾かれたボールが次は3000ポイントの穴に飛び込み、賑やかな音と共に高得点の表示された。
午後14時、私たちは有馬温泉でピンボールに熱狂していた。今日は有給休暇を取得して、会社の後輩2人と日帰り温泉に来ていたのだ。
午前中に大阪から高速バスに乗って、昼前にその温泉街に到着した私たちはほぼ丸腰で何も予定を立てず、先ず誰もがそうする様に観光案内所に向かうことにした。有馬温泉駅周辺では紅葉を楽しむ観光客が多く、四季判定などがあれば一番判断が難しいであろう秋の訪れを感じさせてくれた。紅葉狩りという言葉があるけれど、あれはてっきり紅葉を集めて焼き芋でも焼くのかと思ってたんだけど、目で楽しむという意味だったなとか考えながら、ではおやじ狩りとはおやじを愛でるという意味なのでは?とかよく分からんことをまた考えながら歩いていると観光案内所に到着した。
「立ち寄り湯が出来て露天風呂に入れるところってありますか?」窓口のおばちゃんに問い合わせると快く相談に乗ってくれ、地図に鉛筆で幾つか該当する温泉を丸で囲ってくれた。なんだか、こう言うアナログなやり取りとかもいちいち良いんですよね。
有馬御苑という旅館の露天風呂に入ることにした私たちは、空きっ腹でお湯に入るのは気が引けたので何か軽くつまみましょうと言うことになった。駅前の出店が幾つか賑わっていた中で、湯気が上がっていてすぐに温かい食べ物にありつけそうな気がしたので練り物屋さんに直行した。「じゃがバター」「牛蒡」など串に刺さった温かい練り物が並んでおり、私は後輩にじゃがバターを奢ってもらった。やはり人に奢ってもらう飯は、数倍美味い気がする。
今回の旅はお互いに奢ったり奢られたりおねだりするルールになっており、先輩として大きい決済の時は払うけど、こういうスナック類は速攻で後輩におねだりする様にしている。
買ってもらったじゃがバターを頬張りながら温泉まで向かった。

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