見えないものを見ようとして。(2023年度入試・甲陽学院中学国語1日目分析)

甲陽学院さんの国語を見ていきます。
55分で大問2題。一日目・二日目で、説明文1題、随筆文1題、物語文2題、という形が固定化しつつあります。

甲陽学院中学校の出題される文章は大きく分けて、三つのパターンがあります。
これはこのnoteで分析を記すようになって以来、ずっと書き続けていることなのですが、①現代社会の問題を踏まえて筆者独自の目線や考え方に気づかせる文章
②出来事や過去の経験から内面の動きに気付かせて主人公の変化に目を向けさせる文章
③子供から大人へと成長する人に向けて人生の先輩として伝えておきたいという人間の価値観や感性を示す文章
というものが主たる出題パターンでした。

近年はこれに加えて、ある側面からのメッセージ性が感じられる文章が出典として選ばれるケースが増えているように思われます。

ある時期はこの①から③の内容(複合されているものも多数)に加えて、「世の中の理不尽さ」に立ち向かう人物が中心になっている文章の出題があったのですが、説明文は③型、随筆文は①型、物語文は②型に、それぞれ「意義と定義づけ」「人生(山あり谷あり、ハンディキャップを負っている状況も含む)」「家族と自立」というサブ項目が付加されるようになってきました。ここ数年は特に顕著で、個人的には「甲陽学院さんが、事実上、社会的知識や人間関係の目線がある子を積極的に確保する方向に動き始めている」というものだと感じています。

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