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【障害者の親なきあとって?】

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#介護福祉士

親なきあとの問題はいつ頃からあるのか?

親なきあとの問題はいつ頃からあるのか?

知的障害者の「親なきあと」をどうするかというテーマは、1953年の「精神薄弱児対策基本要綱」、および1960年の「精神薄弱者福祉法」制定のころから、徐々に社会の関心を引くようになってきました。

では、それ以前が問題がなかったのかというと、もちろんまったくそうではありません。

知的障害者に関しては、家族にすべての負担を負わせ、家単位で解決せざるをえない状況がずっと長く続いてきました。

そのため

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本人の状況によって有効な制度を選ぶ【2】

本人の状況によって有効な制度を選ぶ【2】

たとえば、きょうだい、親戚、信頼できる知人に、子どもの資産の管理を頼んだとして、その人たちが確実に、子どもによかれと思われる対応をしてくれるでしょうか?

最初のうちは誠実に対応していても、何らかの理由で自分自身が経済的に厳しくなったとき、預けられた財産をちょっとだけのつもりで借りる。

この繰り返しでどんどん資産が減っていってしまったという事件も、やはり少なからず起きています。

頼まれた側も人

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親なきあとのお金の管理について【3】

親なきあとのお金の管理について【3】

就労して賃金を受け取る、障害年金を受け取るなど、本人の能力に応じていろいろなケースがありますが、お金の多寡にかかわらず、子どもがどのように定期的な収入を手に入れて、いかに計画的にそれを使うのか、子どもの能力に照らして考えてみる必要があります。

そして、自分でお金を使えるという場合は、騙されたり、浪費したりして、生活費が無くなってしまわないように、子どもの財布を管理する人、管理するシステムが必要に

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親なきあとのお金の管理について【2】

親なきあとのお金の管理について【2】

障害者の収入は、一般の人よりも少ない場合がほとんどです。

内閣府の発行している障害者白書(平成24年版)によりますと、雇用されている人の平均賃金は、労働者全体の26.4万円に対して、知的障害者は11.8万円、精神障害者12.9万円とたいへん低い水準になっています。

この現実を知ると、何とか子どものためにある程度まとまったお金を残したいと、親なら誰でも思うことでしょう。

でも、そのお金を残せた

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親子がともに老いてからの厳しい現実

家庭の事情により、高齢者が高齢者の介護をせざるえない状況は「老老介護」と呼ばれています。

先が見えない状況の中で、家族が共倒れになったり、介護疲れによる心中事件があったりと大きな社会問題になっています。

そして、年老いた親が障害者のめんどうを見ている状況について、最近は「老障介護」という言葉が使われることもあります。

こちらも非常に深刻な問題です。

親の立場としては、障害者の子どもには、自

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「親なきあと」は「親いるあいだ」の準備で決まる

「親なきあと」は「親いるあいだ」の準備で決まる

さて、「親なきあと」という言葉を聞いて、皆さんはどのような印象を持ちますか?

障害者の親がいなくなったあとに、障害者の子どもが一人で生きていく、という意味はおわかりいただいていると思います。

それは言い換えれば、一人で生きるために必要な準備を、親が生きている間にしておかなければいけない、ということです。

では、「一人で生きる」というのは具体的にどういうことでしょうか?

一人で生きるといって

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