裏側が汚いモノを使いたいか?

ネット通販がどんどん便利になってAmazonの当日配送も何も考えずに「すげー」って言って使ってた。

サービスがどんどん消費者の側に寄っていって笑顔にさせてくれる一方で、それを支えている人たちが苦渋に満ちているという状況が、やはり消費者としてはどうしても想像できなくて、それを知った時の何とも言えない痛ましい感じ、佐川の件もヤマトの件もそれがモヤモヤとずっと残ったままになっている。

それから、当日配送みたいな、早い時間指定をするのをやめるようになってしまった。すごい便利でどんどん進化する世の中だと思っていたのは、単純に今まで働いていた人たちが2倍3倍も働かされるという極めて原始的な奴隷的なシステムで構築されていて、それはもう悪魔のサービスにしか感じられなくなってしまった。

これは自分だけではなく、ニュースにもなっていたが宅配の人に労いの言葉を掛ける人が増えたとか、みんな、その大変さをニュースになってやっと知った。自分の周囲でももう当日配送等を使うのが申し訳なくてやめてしまったという人も多かった。


消費者は盲目なのかと思ってしまうが、消費者が笑顔になることは、背景も含めて皆が幸せなのだとやはり疑いなく思い込んでしまう。

アプリやサービスの開発も同じで、発注側も開発側もみんなピリピリしていて、最終的に使う人たちの笑顔を考えている余裕がない。

以前noteで書いたが発注側は軽微な不具合ひとつでトチ狂ったかのようにまくし立てるし、開発側はどんどん鬱で人がいなくなるし、使う人のことなんか二の次、三の次で、リリースして仕事が終わり開放されることをみんな望んでいる。


「幸せな技術」の話も以前noteで書いたが、使う人の笑顔を期待して開発していない、裏側は苦渋に満ちている、これは本当にモノツクリ、サービスとして、正しい姿なのだろうか。

配達サービスは、早く着いたら消費者は嬉しくて、早く配達することを実現するためにそれだけの高待遇が与えられて配達する人たちも嬉しくて、サービス提供側はそれでユーザが増えて売上が増えて嬉しくて、みんながハッピーになれるのが、本当に良いサービスを作った、と誇れると思う。

Amazonは配達業者に対して、顔面に札束を叩きつけるような態度なのだという。ヤマトは早い宅配からの徹底を表明した。大手と契約せずに、小さな宅配業者と組んで、早い配達は、その人らの足元を見ながら、今後も継続していくのだと思う。

なんでこんなことしかできないのだろう。そんなに自分だけがよければいいと思えるものだろうか。

アプリも、開発していて楽しくて、使ってもらえて嬉しくて、の循環になれたらどんなに素晴らしいことか。

開発が辛くて、使ってもらえているかなんてどうでもよくて、はやくその開発に関わったことを忘れたい、なかったことにしたい。

そんなものを日々、我々は知らずに、使っている。汚れたパンツを裏返してそれを知らずに使わされているような気持ち悪さだ。

あるセキュリティソフトを開発している会社で、そのセキュリティソフトを導入しているとパソコンの動作が重くなるから自社では一部の社員が実は搭載していなかった、ということがあって、それが発覚してその社長は社内に対して激怒していた。

社員がその改善を提案しなかったのは、今でも辛い開発が、より一層やること増えて、辛くなるから。

この話は誰が聞いてもおかしいと分かる。よりよいものを作りたい、という意欲なんて、ない。なくなる。


今は、文系、理系、関わらず、アプリやサービスを開発したいという学生は増えている。みんな一様に「楽しそう」と思っている。本来は、それは間違いじゃない。ものをつくること、一から生み出せること、それは本当は楽しい。この業界に来ると、そういう期待を抱いていた子らは、みんな早々に辞めていく。

小学生向けのアプリ開発教室も少しずつ出てきて、それを楽しいと思う子どもたちが増えている。正直、そのまま仕事に繋げることを私は反対したい。趣味にとどめておくのがいい。作っている人が笑顔で、使っている人が笑顔で、そんな日が、来るかわからないから。





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