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当時の家賃は宿舎より安かった

西安旅行から帰った後、最初に取り掛かったのは引っ越しでした。
南京に来てから1ヶ月が経ち、中国での生活にもだいぶ慣れてきた頃だったので、マンションの契約は学校では学べない貴重な経験となりました。

現在は賃貸価格が4~5倍ほどになり、留学生にとって外のマンションを借りる人は少ないようですが、当時は学生寮を借りるよりずっと安く外部の部屋を借りられたので、マンションやアパートから学校へ通う学生も多くいました。
(2003年当時)


不動産探しのプロセス

学生が中国でマンションを借りることは、意外とシンプルでした。南京では、日本とは比べ物にならないほど不動産屋が多く、案内も手慣れていて、フラッと突然立ち寄っても、すぐに内見してもらえました。

ただ、賃貸契約でさえ値引き交渉が当たり前なので、いくつか回って相場感覚を掴み、交渉する必要があります。

中国の不動産市場の背景

南京に限らず、中国全体では不動産屋の数が驚くほど多いです。これは、中国が不動産ビジネスに門戸を開いたのが90年代後半と比較的最近であり、急速な経済成長と都市化に伴い、多くの不動産屋がビジネスチャンスを求めて参入しているからです。

1980年代後半までの中国では、住宅とは国家や国営企業から「分配」されるもので、「分譲」という概念はありませんでした。しかし、1998年に政府が不動産市場の自由化を進め、分譲住宅が急速に普及し始めました。私が選んだ「怡景花园」もその時期に建設された分譲マンションです。

私の借りたマンション

「怡景花园」は、南京大学と南京中医薬大学の間に位置しています。26階建ての高層マンションと10階建ての低層マンションが13棟、約1400戸の住戸を持つ、大きめの住宅団地です。

敷地は壁で囲われており、24時間体制で守衛さんが常駐しています。とはいえ、うちのマンションの守衛さんは何をするでもなく、基本的には見守りの役割を果たしているだけですが、いるとちょっとだけ安心感はあります。

マンションの入り口の一つ

住環境と設備

「怡景花园」の中には、生活雑貨を売る店や小さな食堂など、住民が共同で使用する施設や設備が整っており、マンション内には木々が植えられたスペースや公園のようなエリアもあります。こういった複数の建物が集まった居住区を住宅小区(zhùzhái xiǎoqū)と呼ぶようです。

不動産屋によれば、「ここは文化度が高いから治安も抜群」とのことです。

近くには市民向けのスポーツ施設や病院もあり、学区も良いため、子育て世帯や中高年層に人気の分譲住宅なのだそうです。お隣の小学生の女の子が礼儀正しく挨拶してくれることもあり、なるほど、落ち着いた住宅地なのだな、と感じています。

少し驚いたのは、こんな大規模マンション群なのに、専用の駐車場がないことです。一応車も入れるのですが、狭いスペースにギチギチに縦列駐車していて、お互いにぶつけやしないかハラハラします。

南京ではマイカーが普及してきているそうなのですが、5、6年前のマンション建設計画には駐車場がほとんど考慮されていなかったということにびっくりしました。それだけ、ここ数年の中国の経済発展が急速だということなのでしょう。私は数年前の南京の状況を直接知ることはできないけれど、こういう状況目にするたびに、たった5、6年の間に、日本と比べ物にならないほど、街の様子が変わってきたのだろうなと感じます。

部屋の詳細と家賃

私が借りた部屋は、9号棟の14階にある1402号室です。棟内にはエレベーターが2つあり、ワンフロアに4戸の設置です。南西に向いた角部屋で、2LDKの65平米です。

家賃は月々1400元で、当初は2000元と言われていましたが、他の物件を見た感じで1700〜1800元が妥当だと考え、1週間ほど交渉して値引きを受けました。

1400元は、ドルに直すと約168ドル。
為替レートが1ドル=120円程度(2003年)なので、日本円でおよそ20,000円の家賃です。そうすると、南京大学の宿舎よりも月々70ドル(約8,400円)安いのですが、2部屋あるのでルームメイトを探して、さらに家賃をシェアできたらいいなと考えています。

大家さんからは「日本人はトラブルが少ないと聞いているから、あなたに決めたよ。清潔に使ってね」と言われました。

日本人の評判を落とさないよう気をつけねば。

家具付き物件は便利

中国の賃貸マンションは基本的に家具付きです。
私が借りた部屋には、ベッドが2つ、机、ソファ、ダイニングテーブル、テレビ2台、洗濯機、固定電話など、生活に必要な基本的な家具が一通り揃っていました。さらに、前の住人の私物も多く残されており、コートハンガーや掃除用具、布団、トレーニングマシン、家族のアルバムまでそのまま残っていました。この大雑把な管理には少し驚きましたが、不動産屋も大家さんも気にする様子もなく、「学生さんだから、あるものは買わずに何でも使っちゃえばいいんだよ」と言うので、そのまま使うことにしました。私も相当大雑把な人間なので、問題ありません。

リビング
キッチンには扉が設置されていて、油物の調理が多い中国ならではという感じ。
本当に5年前の建築かな?というくらいシミ汚れが多かったキッチン。
ゴミ箱や洗剤、やかんや皿まで残されていました。
統一感のないベッドだけど、寝心地抜群の主寝室。
寝室の奥にはテラスがあり、洗濯物がよく乾きます。


テラスにはコートハンガーや椅子や謎の布など
不用品と思わしきものが並べられていました。
もう一つの部屋にもベッドが。マリメッコの布はこちらで買いました。

2003年9月29日

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