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留学生同士で話す中国語

宿舎で暮らすと、たとえ相部屋でなくても、四六時中留学生同士で生活を共にすることになります。皆同じように異国からやって来た同年代ですので、共通点が多く、毎日顔を合わせるうちに自然と打ち解け、次第に深い話をする仲になることもあります。

その際に使う言葉は、覚えたての中国語です。
ネイティブとの会話より非ネイティブとの会話が増える、そんな状況で生まれるのが、限定的なコミュニティでしか通じない「留学生中国語」です。

日本人女性が1人もいない留学生宿舎

南京に来て10日が経ち、宿舎に住んでいるおかげで同年代の友人もできました。南京中医薬大学には日本人女子がおらず、最初に知り合ったのが日本人男性だったため、友人の多くが異性になりました。

現在、三人の留学生と行動を共にすることが多いです。彼らは私よりも半年前に南京に到着し、様々な背景を持っています。

日本から来たシンジは、大学卒業後にアルバイトをして語学留学に来ました。韓国から来たジニョンとソンフンは、高校卒業後に中医学を学ぶために来た本科生です。韓国では伝統的な東洋医学が深く根付いており、中医学を学ぶのは自然な選択なのだそう。

共通の感覚や経験が多く、会話は尽きることがありません。くだらない話題ばかりだけど、覚えたての中国語で、冗談を交えながら好き勝手話せるのはとても楽しいです。彼らが男子学生であるためか、感情に寄り添った共感よりも、率直で直接的なフィードバックが多く、お互い時々喧嘩にもなりますが、それもまた新鮮で興味深いです。

話せば話すほど、自分自身を日本人として強く意識したり、客観的に見つめ直す機会が増えました。一方で、直接的な中国語の表現も相まって、私も以前より率直に感情を表現するようになりました。自国で培った「当たり前」に、他者の影響で新たな自分が融合する感覚です。

「留学生中国語」を突破するために

彼らと四六時中一緒に過ごしているため、授業が始まる前の2週間を通じて、中国語を街中で自信を持って使えるようになりました。しかし、一つ懸念があるとすれば、語学のブレイクスルーを設けないと、中級の壁を超えるのが難しいことです。私たちの話す中国語は、非母語の留学生中国語であり、文法が不安定で、発音も母語の影響を受けてしまっています。

例えば、语言伙伴を互相と呼んだり、可怜をコーリエェーンと間違って発音したまま使ったり、你知道这个什么?と什么と吗を混同したりしています。日本語と韓国語は文法が似ており、発音も音節の構造が似ているため、ついついお互いにしか通じないようなオリジナルな中国語を話してしまいます。

また、共通点が多く同じ感覚を共有しやすいため、言葉を尽くさなくとも衝突が起きにくく、限られた語彙の中で互いへの信頼をベースに意図を汲み取り合い、効率的なコミュニケーションを取ってしまいがちです。これは中国の現地の人たちには通じない方法です。異国でのコミュニケーションを学びに来たのに、結局似た感覚同士で固まってしまうのは皮肉なものです。これも人の持つ環境適応能力の現れなのでしょうが、いつまでも「留学生中国語」のままでは言語の進歩はありません。関係性に頼らずに上級レベルに到達するためには、さらなる努力と突破が必要なのだと思います。


そんな彼らとは翌月、西安旅行へ行くことになりました。

西安旅行をまとめています。


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