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5Gに過剰に期待してはいけないという話

5Gの主な特徴は3つある。

1.高速大容量
2.高信頼・低遅延
3.多数同時接続

しかし、実はこの3つの主な特徴のうち、現段階で使えるのは「1.高速大容量」のみで、しかも基地局の整備が終わった限られたエリアでのサービスとなっている。

 「高信頼・低遅延」「多数同時接続」の2点については現在、3GPPという業界団体が標準化を進めている最中。仕様が固まっても、その仕様に準拠した基地局やデバイスがすぐに製品化されるわけではなく、最低でも2年はかかるはず。「2.高信頼・低遅延」や「3.多数同時接続」の実用化は早くても2022年以降になる。日本国内での本格的な普及は3、4年後になるとも言われている。

それでは、3つの主な特徴を具体的にまとめてみる。

1.高速大容量
 当初の5Gの仕様上の最大速度は上り(端末→インターネット)が10Gビット/秒、下りが20Gビット/秒。これは、現行の4Gの100倍に近いともいわれ、例えば2時間程度の映画なら数秒でダウンロードできる。

2.高信頼・低遅延
 無線区間の遅延時間も4Gの10ミリ秒から1ミリ秒になる。これにより、従来のWi-Fiの「通信が遅れたり、途切れたりする」という欠点も解消される。
例えば、新型コロナウイルスで注目されるオンライン診療も、5Gによりほぼタイムロスなく通信がつながるため、1ミリ単位の繊細なメスの使い方が問われるバーチャル手術も遠隔から行える。

3.多数同時接続
 複数回線と同時に接続できるのも5Gの魅力だ。4Gでは、1km四方当たりで10万台のデバイスとの同時接続が限界だったが、5Gでは1km四方当たりで100万台が可能だ。これにより、例えば、生産現場で多数のロボットを無線で滞ることなく制御し、大量のセンサーから確実にデータを無線で送信できるようになる。なかなか実現できなかった「工場の無線化」が現実のものになる。

これ以外にも、高精細な映像を扱えるようになり、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の活用も進むだろう。

◯ただし、設備はまだまだ。
 上記でも記載した通り、スケジュールは押している。日本国内で2020年春にサービスが始まったのは「高速大容量」のみで、しかもエリア限定だ。「高信頼・低遅延」「多数同時接続」という特性を活用できない。

◯5Gと言っても、3種類の周波数帯がある
 日本国内の5Gによる通信には、周波数が
  3.6G~4.1GHzの3.7GHz帯 ←サブロクと呼ばれる
  4.5G~4.6GHzの4.5GHz帯 ←サブロクと呼ばれる
  27.0G~29.5GHzの28GHz帯 ←ミリ波と呼ばれる
という3つの周波数帯がある。

 3.7GHz帯と4.5GHz帯は「サブロク」と呼ばれ、基地局も4Gで使っていた技術が一部流用できる。5Gのサービスは、このサブロクからスタートし、既存の4Gなどの基地局と一部ハードウエアなどを共用するタイプの基地局が使われている。

◯サブロクの通信速度
 上記で記載した高速という特性は、サブロクでは若干見劣りする。より周波数が高い「ミリ波(28GHz帯)」に比べると速度は半分程度となり、下りの最大通信速度で10Gビット/秒程度となる。

 *ミリ波は、サブロクに比べて周波数が高い分、直進性が高かったり、空間を伝わっている間に減衰しやすく、到達距離が短くなる特性があり、基地局の設置場所が難しい。

上記の通り、5Gの本当の実力を感じられるようになるには、まだ少し時間がかかりそうだ。4年後(2024年)くらいかなと僕は思っている。それまで5Gに踊らされる事なく、しっかり足元をみて生活をしていく必要がある。


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